なぜドウデュースは再び頂点に輝けたのか スペシャルウィークを目覚めさせた“ユタカマジック”のさらなる進化【天皇賞秋】

ドウデュース/2024年天皇賞秋(C)Toshihiko Yanagi
ドウデュース/2024年天皇賞秋(C)Toshihiko Yanagi

■2年前の糧、クラシックを制することの意義

3頭の共通点は2年前にクラシックを制していること。生涯一度の舞台に立ち、かつそれを勝ち切るのは非常に高い壁である。その壁を乗り越えられるのは潜在能力の高さの証であり、3歳で示した底力が天皇賞・秋というハイレベルな2000m戦で再び引き出される。

クラシックを制することの意義を改めてドウデュースは示したのだ。もちろん、クラシックで結果を残せなかった馬も、のちに成長力を発揮して頂点に立つケースもあるので、クラシックの結果がすべてとは言えない。だが、クラシックウイナーには底力がある。その意味では2着に昨年のダービー馬タスティエーラが入ったのは感慨深い。

タスティエーラの2020年世代はドウデュース、イクイノックスがいたひとつ年上と比べると、見劣るという論調が張られがちだが、宝塚記念ではソールオリエンスが2着に入り、今回はタスティエーラが復調の兆しを感じさせた。やはり底力によるものだ。どちらも条件を選ぶタイプではあるが、ドウデュースだってそれは変わらない。ここからもうひと踏ん張りし、次の時代を引っ張る存在になっていってほしい。ゆったりとした流れを好位で立ち回り、勝負根性を発揮し、しぶとく凌ぐタスティエーラにとって、ジャパンCは条件面で合いそうだ。世代交代の好機だろう。やはりダービー馬は日本競馬界の看板馬。活躍してもらわないと困る。格式高き天皇賞で1、2着がダービー馬だったという結果は喜ばしく、この先の希望になるはずだ。

さて、ジャパンCはドウデュースにとってもダービーと同じ舞台であり、負けられない。連勝を飾り、頂点の座を維持したまま、最後の有馬記念へ進んでほしい。だが、ジャパンCには英国ダービー馬ディープインパクト産駒のオーギュストロダンがやってくる。日本代表は当然、ハーツクライ産駒ドウデュース。日英ダービー馬対決であり、それがかつて日本競馬で何度も激突した「ディープインパクト産駒対ハーツクライ産駒」というのも不思議な因縁を感じざるを得ない。2005年有馬記念。ハーツクライがディープインパクトを完封したときから続く、長きにわたる大河絵巻が世界対決として日本で実現する。

夢のジャパンCは4週間後。贅沢すぎる秋はまだまだ続く。

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◆著者プロフィール

勝木淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬ニュース・コラムサイト『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)などに寄稿。