第44回ジャパンC(24日/GI、東京芝2400m)には、天皇賞・秋を制したハーツクライ産駒のドウデュース、ディープインパクトのラストクロップ・オーギュストロダン、3歳二冠牝馬のチェルヴィニアなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「チェルヴィニア」を取り上げる。
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目次
■チェルヴィニア
【中間調整】牝馬クラシック1冠目の桜花賞は13着に終わったものの、左トモの違和感で阪神JFを見送って5カ月半ぶりのぶっつけだったし、主戦のC.ルメール騎手が負傷で乗れなかった影響もあったか。さらに言えば大外18番ゲート、直線での不利もあり能力通りの結果ではなかったはず。そこから中5週で陣営はしっかり立ち直らせ、オークスでは桜花賞馬ステレンボッシュを差し切って勝利。そして秋初戦の秋華賞は大敗した桜花賞と同様のぶっつけ&関西遠征だったが、中団から鋭く抜け出し2冠目をゲットしてみせた。
おそらくオークス快勝の時点で秋の大目標をジャパンCに据えていたはず。ある程度余裕を持たせた仕上げの秋華賞快勝で同世代相手に力の違いを見せつけ、予定通り古馬相手のGIに進むこととなった。ノーザンファーム天栄での短期放牧を挟み11月7日に帰厩。10日の初時計でウッド5F66秒2(馬なり)という速い時計をさっそくマークしたあたり、緩んだ雰囲気は一切感じられない。13日の1週前ウッド追いでは自身が先導する形で速いラップを刻み、後方からの馬を迎え撃つ併せ馬を行った。意図通り淀みないペースで進みつつ、それでいて抑えが利いた雰囲気で直線に入ると、並んできた格下馬をアオって併入。内目を回ったとはいえ、楽にウッド6F79秒8(馬なり)。この時点で心肺機能はほぼ出来上がったようだ。
【最終追い切り】レース当週は木村厩舎お馴染みの3頭併せ。直線では左右から挟まれる恒例の形だが、いつも以上にタイトな間隔ながらリズムを崩さず泰然自若の雰囲気で加速していく。結局最優勢の手応えを保って2頭と併入とした。
【見解】GI快勝後の中5週だが、強い負荷を掛けたオークス時と異なり、前走・秋華賞は明らかに続けて使うことを意識した調整だっただけに上積みの余地は十二分。前走時の中間から取り入れた、自身が先導し速いラップを刻む併せ馬を今回も取り入れ最後まで余力を残して相手をアオった。このひと追いが効果あったようで、今週の動きは文句なしのレベル。相手は一気に強化されるが、斤量54キロなら太刀打ち可能。中5週という臨戦間隔がオークス制覇時と同じというのも魅力だ。
総合評価「S」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。