昨季4年ぶり8回目の世界一に輝いた、ナ・リーグ西地区の名門ドジャース。大谷翔平投手やムーキー・ベッツ内野手、フレディ・フリーマン内野手らを擁するメジャー屈指の強力打線は今季も他球団の脅威だが、数少ない懸念点として挙げられるのが安定感を欠く守備力だ。
とりわけ、遊撃手に再チャレンジするベッツの状態次第では、チーム編成に大きな影響を及ぼすと見られる。ここでは、ベッツの守備力を公式データで掘り下げてみたい。
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■外野手としては6度のゴールドグラブも……
ベッツは昨季序盤、不慣れな遊撃手に苦戦。8個の送球エラーを記録するなど、守備面では振るわなかった。メジャー11年間で右翼手1021試合、中堅手223試合、二塁手118試合、遊撃手は81試合(昨季65試合)に出場。外野手としては6度のゴールドグラブを受賞した名手でも、遊撃手のOAA(Outs Above Average)は-4でナ・リーグワースト3位に。平均よりどれだけアウトを奪ったかを示す指標でも、厳しい評価が下された。
試合前には、遊撃手を本職とするベテランのミゲル・ロハスに指導を受けるなど課題克服に取り組んだが、6月16日(日本時間17日)に死球を受けて左手を骨折。負担を考慮して、8月に復帰以降は本来の右翼手へと戻った。
今季のドジャースはベテランのロハスに加え、トミー・エドマン、新加入のキム・ヘソンと遊撃手の経験者は豊富にいる。昨季と同じ轍を踏むようだと、再びポジション変更を余儀なくされるだろう。センス抜群で打撃、走塁、守備と何でもこなしてきたベッツであれば、必ず壁を乗り越えてくれるはずだ。
OAA(Outs Above Average)
選手が「平均よりどれだけ多くのアウトを奪ったか」を示す、守備範囲に基づいた指標。2020年以前は外野手専用の指標だったが、現在は内野手にも適用される。外野手は打球の「捕球確率」を基に成否だけを判定するのに対し、内野手はスピードや反応などの「打球に追いつく能力」と、距離や強さ、正確さを考慮した「送球の難易度」も含めるため、両者の算出方法は異なる。外野手が捕球確率75%の打球を捕球すれば「+0.25」ポイントを獲得、できなければ「-0.75」ポイントといった具合に、プレーごとの数値を合計したものが「OAA」となる。
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