「いつかWWEで」今井絵理子さん長男・礼夢選手がプロレスデビュー そして師匠が語る「プロテスト合格秘話」

プロデビュー戦を前に今井礼夢は「障害のある人、ない人関係なく、いろんな人に見てもらえれば」と意気込む

先天性難聴のハンデを抱えながら、今井礼夢(らいむ)選手が12月7日にプロレス団体「HEAT-UP(ヒートアップ)」所属のプロレスラーとしてデビューする。母は女性4人組ダンス&ボーカルグループ「SPEED」の元メンバーで、現在は参議院議員を務める今井絵理子さんだ。

デビューを10日ほど前に控えた11月下旬、川崎市のHEAT-UP道場でデビュー戦に向けトレーニングを続ける今井礼夢選手にインタビュー取材を行った。

■プロになりたいという気持ちが強くて、辞めたいというのはなかった

-まず、初めてプロレスファンになったきっかけを教えてもらっていいですか?

「小学生のころテレビやYouTubeを見てWWEが好きになって、です」

-確かにもう今井選手ぐらいの世代ですと、身近にYouTubeがある時代ですものね。いま、この選手が好きだ、尊敬するって選手はいますか?

「WWEの戸澤陽選手、あとは新日本プロレスの鷹木信悟選手ですね」

-なるほど。どちらも男臭くかつ技が切れる、共通点がありますね。ちなみに人生で最初に遭った、見たプロレスラーってどなたになるのでしょうか?

「自分は覚えていないんですが、母(今井絵理子さん)と女子プロレスラーの伊藤薫選手が仲良くさせていただいているので伊藤選手です。母によれば、赤ちゃんのときに伊藤選手にオムツを替えてもらったこともあるとか。ただ、自分が意識して好きになったのはやっぱりWWEですね」

-なるほど(笑) じゃあもう物心つく前にプロレスラーとの初遭遇を果たしていた感じなんですね。

「だから、生まれて初めてプロレスの試合を生観戦したのも伊藤選手の女子プロレス団体でした。小学校1年生ぐらいのときで、場所は新宿だったかな」

-初めてプロレスを生で見た感想って、どんな思い出がありますか?

「怖かった……」

-小学1年生ですものね(笑) プロレスファンからプロレスラーになる……というのは気持ちの壁というか、距離があるようにも感じるのですが、その点はどうたったのでしょうか?

「HEAT-UPの道場に通ううちに、だんだんとプロレスラーになりたいな……という気持ちが芽生えたので、壁というのは感じなかったかもしれません。ちなみにHEAT-UP道場は代表のTAMURA選手が母の仕事場に障害者支援の件でご挨拶にいらして、そのきっかけで体験入門して通うようになったんです」

-実際のプロレスラーを目指すとなってキツいな、諦めたいなとなる瞬間があったかもしれませんが。

「キツくて辞めたいというのはなかったです。ただし新型コロナウィルスの影響で道場が一時期閉鎖となり“ステイホーム”で練習してたんですけど、道場に通えなかったこと自体がツラい時期がありました。ですけどプロになりたいという気持ちが強くて、辞めたいというのはなかった」

-12月7日のデビュー戦にあたって率直な気持ちを改めて聞かせてもらっていいでしょうか?

「緊張してますけど、とにかく頑張りたいです。障害のある人、ない人関係なく、いろんな人に見てもらえれば」

-では最後に将来的な目標を。

「チャンピオンになること、そしてアメリカのWWEで試合をすることですね」

-ありがとうございました!

チャンピオンになる、そしてアメリカのWWEで試合をするために、HEAT-UP道場でトレーニングを続ける

■こっからが試練なんだ。師匠が語る弟子への想い

「HEAT-UP」の代表であり直接指導する師匠、そしてデビュー戦の相手でもあるTAMURA選手にも話を伺った。

-まず彼の長所、いいところについて聞かせていただければ。

「長所はコミュニケーション能力が高いところですかね」

-難聴というハンデがあるのですけど……。

「それは越えてくる感じですね。なんでもプラスに捉えてニコニコ聞いてくるあたりが長所かなと。逆にいつもニコニコ聞いているんで、ボクらの指導がわかってくれてるのかなって思ったら案外聞いてなかったりもして(笑)」

-表裏一体ってとこですかね。でも、変に考え込まなかったりするのはいいですね。

「ネガディブな面がないのはいいところかな」

-プロレスラーになるにあたって体力面ってどんな感じだったのでしょう?

「最初は体力、体幹ともにまだまだで徐々に時間を掛けて強くなってった、成長してきたなって感じ。中等部で野球はやってたらしいけど、人間に対する格闘技はまったく初めてでしたし。力の入れ方なんかはまだこれから」

-プロデビューするにあたって体力を見るプロテストがあったと思うのですが。

「テストのメニューに5分間縄跳びを飛び続ける、つっかえていいのは3回までっていうのがあるけど、これが全然できなくて。前の日の夜11時ごろまで練習しててもできなくて、これは本番ダメだろと思ってたら……本番で、できちゃった」

-なんと!

「お母さんによれば聴覚障害の人って足の裏やつま先で振動を捉えたりするので足の使い方が健常者とは異なり、リズムを取ることも苦手なんで縄跳びは本当に難しいらしいんです。でも本番でやれちゃった。本番に強いタイプなのかも」

-持って生まれた資質というか……。

「縄跳びは全体のテストメニューの初っパナだけど、縄跳びができたら礼夢君泣き出しちゃって。まだテスト全部終わってないよって(笑) その後ずっと泣きながらテストメニューこなしながら、結局合格したんですよね」

-本番に強いってのはプロレスラーになるにあたっては心強いですね。では最後に彼にかける言葉を聞かせてください。

「プロになるのがゴールじゃなく、こっからが試練なんだってのを思い知ってもらわないと。プロの壁の高さを礼夢君に見せたい」

TAMURA選手が礼夢選手について語ったツイートがこちら。資格やライセンスなどはなく“誰でもなれる”と揶揄されることもあるプロレスラーだが、HEAT-UPはその“誰でもなれる”を認めない団体だ。

念願の、そして試練のデビュー戦は12月7日、川崎市の新百合トゥエンティワンホールで。

対戦カードは「シングルマッチ30分1本勝負 TAMURA vs 今井礼夢」だ。

シングルマッチ 30分1本勝負 TAMURA vs 今井礼夢(12/7、新百合トゥエンティワンホール)

著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター

競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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