【eスポーツ】プロゲーマーたぬかな 人生の“やりこみ”要素 vol.1「女性プレイヤーの苦悩を乗り越えて」

「CYCLOPS athlete gaming」に所属するプロゲーマーたぬかな選手

プロゲーミングチーム「CYCLOPS athlete gaming」に所属するプロゲーマー、たぬかな選手は、「Red Bull 」アスリートとしても活動している。

2018年には流行語大賞のトップ10に入り、近年世界中で大きな盛り上がりを見せている「eスポーツ」の世界で、対戦格闘ゲーム「鉄拳」を舞台に活躍中だ。

今回、たぬかな選手にはゲームとの出会いやプロ活動について、また、コロナ禍においての変化や趣味などを語っていただき、その素顔に迫った。

【独占インタビュー・後編】プロゲーマーたぬかな 人生の“やりこみ”要素 vol.2「コロナ禍のプロ活動とプライベート」

■はじめてのゲームはドラクエのレベル上げ

―ゲームとの出会いについて教えてください。

元々は父親がゲームセンターで遊んでいたくらいにゲーム好きだったんです。その影響か「スーパーファミコン」が家にあり、それをやっているのを見ていたのが本当の最初ですかね。

初めてプレイしたのは姉がやっていた「ドラゴンクエスト6」で、隣で見てちょっと触らせてもらうみたいな感じでした。小さいのでまだゲームのことをよくわかってなかったんで、レベル上げをやらせてもらっていましたね(笑)。「とりあえずここでレベル上げしろ」って言われて、魔術師の塔の周りで一生敵を倒すみたいな(笑)。

―ご家族でゲームをされいてたんですね。

そうですね。姉と弟と三人でゲームをすることが多かったですね。そこから「ゲームキューブ」がでたり「プレイステーション」が発売して、それら各種ゲーム機を三人の誕生日ごとに買ってもらって、三人で回しながらプレイしていましたね。

中学生になってからは部活に入ってゲームをする時間は少し減ったんですが、それでも夜中までゲームしていた時もあり寝不足になったりしました(笑)。 授業中ウトウトというか結構寝ちゃって職員室に呼ばれたり(笑)。

■「鉄拳」でゲームセンターの“門番”に勝利

―幼少期からゲームと触れ合う中で、現在プロとして活動されている「鉄拳」とは、どのように出会ったのですか?

ゲームはずっと好きだったんですけど、格闘ゲームには全然興味はなかったんですね。ゲームセンターもプリクラを撮るくらいしか行くことはなくて。

ただ高校2年生の時に、当時通っていた学校が合併して、その時に新しく出会った友達と仲良くなって、そのグループの友達らが「鉄拳」にハマっていたんです。

みんなで学校帰りにゲームセンターに寄るのが習慣で、最初はみんながプレイしているのを見てたんです。でもそのうち自分もやりたくなっちゃって、同級生に教わりながら始めましたのが出会いですね。

―そこからのめり込むきっかけは?

学生の頃に出会う人って、学校以外だと普通だったらバイト先くらいだと思うんです。ただ、ゲームセンターって様々な職種や年齢だったり、いろんな人がいるんです。そういう人達とコミュニケーションをとったりするのがすごく新鮮で楽しくて。

あと教えてもらいながら上達していくっていうのもすごく楽しかったですね。同級生とかゲームセンターにいるお兄さんに勝ちたいとか、そういう目標を一個ずつクリアして勝てるようになっていくのが嬉しすぎて、のめり込んじゃいましたね。

―始めた当初の実力はいかがでしたか?

だいたい半年くらいで結構勝てるようになってきました。同時期に始めた女の子よりも早く勝てるようにはなったんですが、これは私自身のやる気がすごくあったと思っていて、ゲームの勉強をすごくしたんですよ(笑)。技のフレームを書き出して暗記したりとか。

―そこから一つ抜きん出た瞬間はいつ頃でしたか?

それは2つあって、1つは同級生の中で一番強くなった時ですね。同級生の中で抜けて強い男の子がいたんですけど、その子と対戦して勝った時に対戦してくれなくなったんですよ。

当時学生だったんで、多分同級生の女の子に負けるのが嫌っていうのがあったと思うんですけどね。負けると「もうやらん!」って言われたりして(笑)。 

もう一つが、ゲームセンターにいる“門番”を倒せた時。各ゲームセンターには門番みたいな人がいて、その人にはなかなか勝てなくて。「鉄拳」を始めから2、3年後に、ようやくこの人に勝てた時は強くなったと思ったし、嬉しかったですね。

なにしろこっちはお金もない高校生でしたし、しかも「鉄拳」には段位というランクみたいなものがあって、負けるとこっちの段位が下がって向こうが上がるんですよ。それをさんざん吸い散らかしてくれたんで、倒せた時はもうほんと嬉しかったですね。「やっとこいつ倒せた」みたいな(笑)。

―そこからプロゲーマーを意識し始めたのはいつ頃ですか?

正直最初は全然意識してなかったです。というかそもそもプロになったきっかけが、今所属している「CYCLOPS athlete gaming」が公募していて、そこで初めてプロゲーマーってあるんだって知ったんですよ。

それこそ格闘ゲームで有名なウメハラさんとかも知らなくて、「プロゲーマーとか架空の仕事じゃないの?」とか思っていましたね。世間にもそこまで認知されていませんでしたし、親も「それ騙されてない?」と言っていました。

それに応募した時も、プロゲーマーになりたいと思って面接に行ったというよりも、「プロゲーマーって何するんですか?」って聞きに行ったみたいな感じだったんです。そこで色々お話を聞いてやってみようかなという感じになりました。でもすぐに辞めたいと思いました(笑)。

■想像とは違ったプロ活動の苦痛

幼少期からゲームに触れ、同級生同士で切磋琢磨し「鉄拳」の腕を磨き続けたたぬかな選手。プロになったものの、ネットの声で一時期はプロ活動を辞めたいと感じることもあったと言う。

―それはどういう理由で?

プロ活動の中にはメディアに出演することもあると思うんですけど、そこで私の見た目に対して誹謗中傷を結構受けることがあって、それで当時心を病んでしまっていましたね。なんでゲームじゃなくて見た目のことを言われてしまうんだろうと。

当時田舎から出てきて、特に大会の実績とかもあるわけではなかったんで言われても仕方ないかもしれなかったんですけど。他にもゲーム内のランクが高いことについて「別の人が代わりにランクを上げてるんじゃないか?」って言われたり。

あとは女ってだけとか、プロゲーマーのくせにとか、顔もかわいくないじゃんみたいな「そんなん言わんでよくない?!」って思っていましたね。

私自身、気は強い方で反抗してやる!ってタイプなんですけど、その誹謗中傷してくる相手が匿名で、無敵なんですよ。なので、何も返せず病んじゃっていましたね。

だってどんな人でも普通に生きていたらそんなにブスって言われることないと思うんですよ。なのに、なんでここまで言われないといけないんだって。「そこまで悪いことした?!」って。そのせいで、週に一回くらい監督呼び出して「もう辞めてもいいですか」みたいな時期がありました。

―そこから前向きになれたきっかけは?

プロになってから最初の海外大会で9位になって、その後のアメリカの大きい大会でも3位に入ったんですよ。そこで結構前向きになりましたね。ネットの声も「すげー!」ってなってくれたし、やってけるなこれは、と。すごく単純なんですけどね(笑)。

その結果海外でも取材していただいたんですけど、そこでも「あいつは女装した男ではないのか」みたいなこと言われたんです。というのも、女性格闘ゲーマーで強い人がトランスジェンダーの方が多かったんです。

ただこれに関しては最近海外の方に言われていたんですけど「強すぎてこいつ女じゃないだろ」みたいな感じで、強さは認めているニュアンスだよとも言われて。そこで溜飲が下がったんですけど(笑)。

■ゲームの世界で感じる女性プレイヤー特有の悩み

―そういう性別に関しても言われたりするんですね。

ゲーム業界で女の子が出てくるとネットの配信でもコメントで「女だ!女だ!」みたいな感じで言われることもあるんです。山賊がふもとの女性を見て言うみたいな(笑)。

ただ「せっかく貴重な女性プレイヤーなんだから大事にする派」と「うるせぇ弱ぇ女が俺らの世界に入って来るんじゃねぇ!派」と二分していたりするんですけど。

他にも複数人でやるゲームでは、高い水準でプレイしてる女性プレイヤーでも、同じチームの上手な男性プレイヤーのおかげで勝ててるだけ、とか言われたり。やっぱり性差別っていうのかそういうのはあったりしますね。

その代わり優遇されている部分もあるとは思います。自分より成績が良い男性プレイヤーよりもメディアに出させていただく機会は多いですし。なので、一概に良い悪いとは言えないところもありますね。

若い女性プレイヤーに共通して言えるのが、努力を継続していける子が少ないなと感じます。どうしても実力よりも目立ちたいが先行してるぶん、認められにくくなってる気がします。

やっぱりある程度の実力は必要で、私がプロになった時でもゲーム内のランクでいうと一番上までなったことはあるんです。ただ最近の子は「強くしてください」っていう感覚で来る人が多くて。

もちろん可愛らしいアイドルのような子が「ゲーム頑張ってます!」っていうのは嬉しいんですけど、本質はそこじゃないと思うので。女性限定大会とかも増えて人口が増えるのはすごく良いことだし、嬉しいんですけどせっかく「eスポーツ」のいいところである性別を問わない勝負ができるっていうのがあるので。

女性プロゲーマーとして活動していくなかで、さまざまな苦難と向き合いながらも結果を出し、周りを納得させてきたたぬかな選手。

次の記事では、コロナ禍でこれまでの活動から変化した部分や趣味であるミニチュアクラフトについてうかがい、普段みられないアスリートの素顔の部分に迫る。

取材/文・SPREAD編集部

【eスポーツ】プロゲーマーたぬかな 人生の“やりこみ”要素 vol.2「コロナ禍のプロ活動とプライベート」

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