【水泳】手術、不調、休養…萩野公介が逆境を乗り越え五輪切符獲得

萩野公介 (C)Getty Images

8日に行なわれた東京五輪代表の選考会を兼ねた競泳・日本選手権で、男子200メートル個人メドレーに登場した萩野公介(ブリヂストン)が、1分57秒43をマークして2位。派遣標準記録1分57秒98を突破して、東京五輪代表の座をつかんだ。2016年リオデジャネイロ五輪で金、銀、銅メダルを獲得してから5年。試練を乗り越えた男が、ついに東京五輪にたどりついた。

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■同学年のライバル、瀬戸大也と一騎打ち

萩野の隣のレーンには、ライバルの瀬戸大也(TEAM DAIYA)。「瀬戸がいるから萩野がいる、萩野がいるから瀬戸がいる」と言われるほど、お互い切磋琢磨してきた同学年ライバルとの一騎打ち。

レースは、最初のバタフライで瀬戸がまず先行し、続く背泳ぎで萩野が逆転する。そして、平泳ぎで瀬戸が萩野との差を詰めると、最後は自由形勝負に。白熱のデッドヒートは最後までもつれ、ほぼ同時にフィニッシュ。その差は100分の2秒。すでに五輪代表に決定している瀬戸が1分57秒41で接戦を制したが、萩野も1分57秒43で2位となり五輪切符を手に入れた。

3大会連続の五輪出場を決めた萩野だが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。2016年8月のリオ五輪では400メートル個人メドレーの金など、金、銀、銅のメダル3個を獲得。絶頂期を迎えていたが、翌9月に古傷の右ひじを手術。これを境に調子を落とし、レース決勝の棄権や海外合宿の参加取りやめなどがあった。タイムも伸び悩むなか、19年3月に「モチベーションを保つのがきびしくなった」と無期限休養を発表した。

■無期限休養も経験。自分を見つめ直し復活

この休養期間に自分を見つめ直すべく旅に出た萩野は、ドイツとギリシャを訪ねた。水泳から距離を置き、異文化に触れるなかで、引き際も含めて考えを巡らせたという。

そして、休養宣言から3カ月後の6月、悩んだ末に結論を出した。都内で会見し、復帰を明言したのだ。ただ、8月にレース復帰したものの、調子が一気に上がることはなく、一進一退が続いた。そんななか、20年3月、東京五輪の1年延期が決定した。

仕切り直しとなった20年の後半、復調気配が漂い出す。10、11月の国際リーグ(ブタペスト)に参戦すると、400メートル個人メドレーで5戦5勝。12月の日本選手権では、個人メドレーで2冠に輝くなど好結果が出るようになった。

今回の日本選手権では、リオで金を獲得した400メートル個人メドレー出場を回避し、200メートル個人メドレーに勝負をかけた。レース後、「これが今の萩野公介」と話したように、五輪連覇に固執することなく、現状を鑑みての決断だった。

背伸びすることなく、自分の泳ぎを表現する。手術、不調、休養……逆境を乗り越えた「NEW萩野」に期待だ。

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文・SPREAD編集部


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