【スポーツ回顧録】男子ゴルフ、「経団連シリーズ」の消滅とパナソニックの石川遼所属契約見送り事情

石川遼(C)Getty Images

2012年12月13日、パナソニックが国民的ヒーロー・石川遼プロとの所属契約を5年の満了を持って延長しないと各紙が報道した。現在行われている冠大会「パナソニック・オープン」も2013年大会を持って、打ち切りとなる。

トーナメントの冠はともかく、石川選手との契約見送りは、パナソニックの窮状を雄弁に物語っている。同社はすでに女子バドミントン部と男子バスケットボール部の休部も決定。2013年3月期の連結純損失が約7650億円となり、2年連続で巨額赤字に陥ると見られている。国民的人気選手を手放してでも、なりふり構わず業績回復を図る。

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■ゴルフを利用したアジア市場拡大の戦略も立ち消えに

パナソニックはそもそも、ゴルフ・トーナメントをアジア市場拡大のキャンペーンに利用しており、インド、タイ、インドネシアにおいて、それぞれ「Panasonic Open India」、「ROAD TO Panasonic OPEN in Thailand」、「ROAD TO Panasonic OPEN in Indonesia」を開催。各大会の優勝者らを日本のパナソニック・オープンに招待する戦略を打ち立ててきた。そのため同オープンは、「アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ」の看板も背負っているが、トーナメント打ち切りにより、既定戦略も立ち消えとなる。

元を正せば、トヨタキヤノンとともに日本男子ゴルフ界を盛り立てるべく、男子ツアーに参画。3社ともに2008年シーズンに、冠トーナメントとして、「レクサス選手権」、「キヤノン・オープン」、「パナソニック・オープン」をそれぞれスタートさせた。この音頭を取ったのは、トヨタだと言われている。財界を知る者は、3社参画に当たり「経団連シリーズ」と囁いたものだ。

しかし、主導したトヨタは2010年、いちはやく自身のトーナメントを打ち切ってしまう。そして、キヤノンも11月30日、2012年限りで大会の打ち切りを発表したばかり。他2社が撤退してしまった事実は、業績の悪化に苦しむパナソニックの背中を後押ししてしまったかたちとなった。

それにしても「5年5億」という破格の条件で締結した石川選手との所属契約は、更新時に契約金の高騰も想定されるものの、数多のスポンサーからお呼びがかかる石川選手との契約更新のテーブルにさえつかないとは、経営陣の温度感も相当低下しているのだろう。「数億円」という契約やトーナメントの運用経費は莫大な金額とは言え、四ケタ億円の赤字に対し、その程度の削減は焼け石に水以外の何物でもなく、ましてや、こうした報道が、企業イメージの低下に与える影響は、金額換算不能だ。


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