【MLB】筒香嘉智、課題を克服できず“戦力外” データから見た150キロ超え速球への苦手意識

速球への対応に苦しんだレイズ・筒香嘉智 (C) Getty Images

タンパベイ・レイズは11日、筒香嘉智外野手をメジャー出場の前提となる40人枠から外し、事実上の戦力外とした。2年契約最終年の今季は、26試合に出場し打率1割6分7厘、0本塁打、5打点と不振だった。今後は7日以内にトレードされるかウエーバーにかけられ、獲得を希望する球団がなければ自由契約となり、移籍先を探すかレイズのマイナーに残留するなどの可能性がある。

【図表】筒香はどれだけ150キロ超え速球を苦手にしていたのか? 過去2年の速球に対しての打率・打席結果一覧

■打率.167、0本塁打と大不振 三振率も30%超え

成績を見れば、「戦力外」は当然の帰結だろう。筒香は今季、チェ・ジマンの故障により一塁のポジションを与えられ、「1番・一塁」として開幕を迎えた。しかし、26試合に出場して打率.167、0本塁打、5打点と大不振。さらに、三振率が30%を超えた。期待されたリードオフマンの役割を果たせず、打順も下位に変更。それでも打撃は上向かず、加えてチェ・ジマンの戦列復帰が迫っていたため、このタイミングで40人枠から外れることになった。

そもそも、スラッガータイプの筒香に1番を任せることに違和感を覚えたファンもいただろうが、レイズとしては昨季の四球率がメジャー上位15%以内に入っていたことを評価し、出塁(出塁率は昨季.314)に期待しての抜擢だった。ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジが1番を務めたこともあるように、長距離砲がトップバッターに入ることは近年では珍しくないし、何より筒香自身、DeNA時代にも1番を経験しているので、打順的に奇策というわけでもなかった。

しかし、1番で結果が出ず、打順が変わっても快音が響くことはなかった。さらに、相手投手によって打線を組み替える傾向が強いレイズにおいて、筒香は左腕相手にはベンチスタートが増えた。ただ、昨季の成績でいえば、対右腕の打率1割8分3厘に対し、対左腕は2割4分3厘。数字の良い左対左で外され、分の悪い右腕相手に結果を出さなければならないという状況も不利に働いた。

■150キロ超えストレートを克服できず“悪循環”

20~21年にかけて筒香に投じられた球種分布(出典:Baseball Savant)

「メジャーはアジャストのリーグ」とも言われる。成功するには、どんな選手も常に適応していかなければならないという意味だ。分かりやすい例は、広く知られているように日本人投手のケースだ。日本とメジャーのボールでは、サイズも重さも縫い目の高さも違うため、まずはこの違いにアジャストしなければならない。打者の場合でも、シンシナティ・レッズの秋山翔吾がメジャー1年目を終えた際、「力負けしないように強いスイングを手に入れる必要がある」と語っていたが、直面する課題に対して解決策を講じ、日々進化を遂げる必要があるのがメジャーの世界だ。

筒香は残念ながら、ここまでで言えば適応できなかった。特に日本でプレーしていた時から「速球」の対応には疑問符がついており、本塁打と打点の2冠に輝いた2016年でさえ150キロ以上の打率は1割台だった。メジャー1年目の昨季、93マイル(150キロ)以上のストレートに対する打率は.065(31打数2安打)に終わり、適応が期待された今季も.154(13打数2安打)と結果が出なかった。

20~21年にかけての筒香の打席結果。外角速球での三振が目立つ結果となっている。(93マイル以上の速球が対象/出典:Baseball Savant)

20~21年にかけての筒香のゾーン別打率。外角への投球でほぼ完全に抑え込まれている(93マイル以上の速球が対象/出典:Baseball Savant)

懸念されていた速球対応を気にするあまり、逆に本来のバッティングを見失い、捉えていた変化球も打ち損じ、悪循環に陥った可能性もある。ただ、まだ29歳。他球団へ移籍するにせよ、一度マイナーに降格するにせよ、あるいは日本に戻るにせよ、もうひと華咲かせることは十分に可能だ。


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