6月6日は東京競馬場で安田記念(GI、芝1600m)が行われます。
東京GI5連戦のフィナーレを飾るレースで、1番人気がなかなか勝ち切れない本命党泣かせのGIと言えるかもしれません。一昨年は単勝オッズ1.7倍の1番人気に推されたアーモンドアイが3着に敗れ、昨年もそのアーモンドアイ(単勝オッズ1.3倍の1番人気)が2着に敗れました。
今年は昨年のレースでアーモンドアイに土をつけたグランアレグリア(牝5、美浦・藤沢和)&C.ルメール騎手が抜けた1番人気となりそうですね。果たして人気に応えられるのでしょうか。
それでは安田記念の過去データ、東京芝1600m戦の過去データを交え気になる騎手データを見ていきましょう。
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■着順と人気のバランスに優れた3騎手
まずは2000年以降の安田記念の成績データを基に、今年の安田記念に乗り鞍がある騎手の成績を表にまとめています。
安田記念は騎手ごとの得意、不得意がはっきりしているレースで、着順と人気のバランスに優れ、連対率も優秀な騎手が3名います。それが田辺裕信騎手、C.ルメール騎手、池添謙一騎手です。
田辺裕信騎手は2015年のクラレント(12番人気3着)、2016年のロゴタイプ(8番人気1着)、2017年のロゴタイプ(8番人気2着)と、人気薄を馬券圏内に持ってきた回数が実に3度もありますね。今年は一昨年のNHKマイルCで3着に好走した実績があるカテドラル(牡5、栗東・池添学)に騎乗します。
GIで人気馬に騎乗する機会が多いC.ルメール騎手ですが、2018年は9番人気のモズアスコットを1着に導いています。近2年、1番人気のアーモンドアイで続けて負けているのは気になりますが、ここまでのデータからは人気以上の走り、高い連対率が確認できます。割り引きが必要なデータは見当たりません。
さらに池添謙一騎手も注目すべき騎手のひとり。2005年に10番人気のスイープトウショウを2着に好走させ、昨年は3番人気のグランアレグリアで勝利しました。騎乗馬の質を思えば高い連対率を記録しているため、少ないチャンスを着実にものにしている騎手と言えます。今年は4年前の朝日杯FS優勝馬ダノンプレミアム(牡6、栗東・中内田)に騎乗します。
伏兵に騎乗するとまさに“鬼”と化す、穴ジョッキー・田辺裕信騎手と池添謙一騎手には注目です。
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■松山弘平は過去データから判断不能
さて、今年の安田記念は一昨年の朝日杯FS覇者サリオス(牡4、美浦・堀)が、前日15時時点で2番人気に推されています。同馬に跨るのは松山弘平騎手です。そして4番人気が今年のNHKマイルCを勝った3歳馬のシュネルマイスター(牡3、美浦・手塚)。同馬は横山武史騎手と新コンビを結成します。
しかしながら、松山弘平騎手は過去の安田記念騎乗が1度のみ、横山武史騎手は騎乗経験がないため、過去データからは判断不能です。そのため東京芝1600m戦の過去データも合わせて見ていきましょう。
■東京芝1600mなら松山弘平は人気通り
ここからは2000年以降の東京芝1600m戦の成績データを基に、今年の安田記念に乗り鞍がある騎手の成績も見ていきましょう。このデータを見ていくことで松山弘平騎手、横山武史騎手の東京芝1600m戦の良し悪しが分かりそうです。
この舞台で着順と人気のバランスが優れるのは菅原明良騎手ですが、騎乗数が他の騎手に比べて少ないですね。
そして肝心の松山弘平騎手、横山武史騎手のデータですが、悪くないデータとなりました。松山弘平騎手は1着数0が気になるものの、人気通りの着順がこの舞台で見込めます。
横山武史騎手は若干着順が落ち込みますが、この程度の落ち込みなら許容範囲と言えます。両騎手とも大きく強調できるデータではありませんが、逆に割り引きも必要なさそうです。
■東京芝1600mはC.ルメールが中心
最後にC.ルメール騎手のデータも見ていきましょう。人気馬に騎乗する機会が多いため、どうしても着順が落ち込んでしまいますが、39.9%という高い連対率を記録しています。これだけ高い連対率を記録できていれば着順の落ち込みを気にしなくていいでしょう。
さて、今回も2つの異なる騎手データを見ていきましたが、ともに優れた数値を示すC.ルメールをデータ注目騎手としてピックアップします。
騎乗馬のグランアレグリアは人気も人気ですから、サリオス(松山弘平騎手騎乗)、ダノンプレミアム(池添謙一騎手騎乗)、シュネルマイスター(横山武史騎手騎乗)、カテドラル(田辺裕信騎手)の4頭に相手を絞り勝負してみるのが騎手データを重視した最善手と考えます。
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著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。