■いよいよ東京五輪「自分の味を出していきたい」
さらに彼女は現代の女子テニスの変化についても教えてくれた。
「以前より本当にサーブのいい選手が増えましたよ。サーブが軸になっている。(アシュリー・)バーティをはじめ(カロリナ・)プリスコバもそうですけど、スピードもあるし精度も高い。それプラス、パワーがあって展開力が速くコートの中に入って打つ選手が増えていて、テニスのレベルがどんどん上がってきています。イガちゃん(イガ・シフィオンテク)なんて本当にタイミングが速くて、ぐんぐん攻め込んできますから!」
ライバルたちの成長を実感しながら、自身もテニス人生の苦楽を味わい、めげることなくここまでやってきた。テニスに懸ける純粋無垢な眼差しは、ジュニア時代から変わることなく月日が経ったようにも感じる。そんな彼女だからこそ、時代が変わり続けるテニス界でも成長し続けられるのだろう。
長い道のりを経て、土居はいよいよ東京五輪に臨む。
「やるからには自分の味を出していきたいですね。また無観客開催ではありますが全アスリートの戦いや挑戦に何か感じ取ってもらえたら嬉しいです。とにかく本番の舞台で出し切ります!」
最後に威勢のいい笑顔を見せてくれた土居は、ホームであるここ日本で一心一意に高みを目指す。
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著者プロフィール
久見香奈恵●元プロ・テニス・プレーヤー、日本テニス協会 広報委員
1987年京都府生まれ。10歳の時からテニスを始め、13歳でRSK全国選抜ジュニアテニス大会で全国初優勝を果たし、ワールドジュニア日本代表U14に選出される。園田学園高等学校を卒業後、2005年にプロ入り。国内外のプロツアーでITFシングルス3勝、ダブルス10勝、WTAダブルス1勝のタイトルを持つ。2015年には全日本選手権ダブルスで優勝し国内タイトルを獲得。2017年に現役を引退し、現在はテニス普及活動をはじめ後世への強化指導合宿で活躍中。国内でのプロツアーの大会運営にも力を注ぐ。