新型コロナウイルス蔓延により1年延期となった東京五輪が開催され、各競技に半生を捧げてきたアスリートたちをホッとさせたことだろう。その証と言ってはなんだが開会式の選手入場では、嬉々として行進するオリンピアンたちの姿が印象的だった。
開会式は、聖火最終ランナーが誰になるか日本中の耳目を集めたものの、実際に読者からもっとも脚光を浴びたのは、長嶋茂雄や王貞治、松井秀喜、大坂なおみでもなく、各国の「美人旗手」だったのだから、これも興味深い。
◆カザフスタンが“お姫様旗手”の舞台裏動画を公開「私達の美しい旗手がお好きなんでしょう?」
■開会式で話題のリパコワは政治家としての顔も
なかでもカザフスタンのオルガ・リパコワは、ユニフォームではなく思わず二度見させる「カザフのお姫様」コスチュームで登場、ネット民をざわつかせたことでも記憶に新しい。
東ヨーロッパから中央アジアは、アレクサンダー大王の頃から民族の交流が活発であり、そのため、カザフスタンも美人の産地(?)とさえ揶揄される。多数派のカザフ人は、われわれ日本人同様モンゴロイドながら、金髪碧眼も多いタタール系(フレンチの「ステーキ・タールタール」の語源)や、現在でもドイツ系やロシア系も多く、かつての首都アルマトゥイは、アフリカ系のいないニューヨークかと思わんばかりに多民族で賑わう。日本人の私も平気でロシア語で道を訊ねられるほどだ。
さて、そのカザフスタン女子三段跳びロンドンの金メダリスト・リパコワは残念ながら予選落ち。五輪4大会連続メダリストならずとなったが、母国では政治家としての顔も持つ。次に日本を訪れる際は、大統領としてか……と想像すると興味深い。
同じくカザフスタン代表、新体操のアリーナ・アジルハノワに目をやれば、同国の民族多様性が理解できるだろう。ブロンドのリパコワと異なり、その妖艶な美貌に国籍を問うことすら、バカバカしい気分になろう。アジア大会金メダリストながら、東京での結果は、予選21位となった。日本の各競技金メダル候補同様、本番の難しさが理解できる。
■悔し涙のビロディド、世界新で歓喜のスクンマーカー
今大会もっと話題になってもよかったのでは……と思わせるのは、柔道女子48キロ級銅メダリスト、ウクライナのダリア・ビロディドだろう。柔道世界選手権では2連覇。2019年に東京で開催された世界柔道でも頂点に。柔道の母国・日本での優勝に嬉し泣きしたほどで、金メダル候補、日本選手の最大のライバルと目されていたが、渡名喜風南に準決勝で破れ銅メダルに。8等身の抜群のスタイルからモデル活動も広げる彼女の悔し泣きはあまりにも印象的だった。まだまだパリでの活躍も期待されるだけに、日本柔道界としても目が離せない美女だろう。
注目女子選手が多いのは水泳界の伝統だろうか。平泳ぎ200mで世界新を叩き出し、その喜びを爆発させた南アフリカのタチアナ・スクンマーカーもそのひとり。
世界記録を称え合うスイマーたちの映像とともに、東京五輪のひとコマとして次世代に受け継がれることだろう。
我らが大橋悠依の2冠で少々霞んでしまったが、同種目銀メダリスト、米国のアレックス・ウォルシュも金メダルを期待されたスイマー。表彰台でも大橋の隣で、白い歯を見せ満面の笑みを浮かべる彼女を記憶している方もいるだろう。アメリカの正統派美女……と目されるだけに、インスタフォロワーも今大会で倍増。3年後のパリでも大橋のライバルとなるのか。