【MLB】大谷翔平が越えた伝説の「ミスター・オクトーバー」レジー・ジャクソン

「ミスター・オクトーバー」として知られたレジー・ジャクソン(写真は1977年ワールドシリーズ時)(C)Getty Images

ロサンゼルス・エンゼルス大谷翔平は18日(日本時間19日)、デトロイト・タイガース戦で40号ホームランを放ち、エンゼルスに在籍した左バッターとして初めてシーズン40本の大台に乗せた。これまでは「ミスター・オクトーバー」と呼ばれたレジー・ジャクソンによる1982年の記録。ちなみに、この頃のチーム名は「カリフォルニア・エンゼルス」だった。大谷は14日(同15日)にその記録に並んでいたが、実にあっさりと塗り替えた。

【実際の映像】打った瞬間に分かる超特大弾…大谷翔平、レジー・ジャクソンの球団記録を更新する両リーグ最速40号

■ワールドシリーズで無類の強さを発揮した伝説の打者

たかが、左打者の球団記録……と思うなかれ。レジー・ジャクソンは通算563本を放っている殿堂入り打者。オールドファンにとって、その打棒、風貌、ビッグマウス……そのどれをとっても「メジャーリーガーとはこういうものか」と思わせた伝説の打者だ。

「ミスター・オクトーバー」の異名通り、ポストシーズンでの勝負強さでジャクソンほどの印象を残した打者はいない。オークランド・アスレチックスは1972年からワールドシリーズ(WS)を3連覇したが、レジーはその立役者。特に1973年の第7戦では2ランし勝利を手繰り寄せ、シリーズ6打点を叩き出し、MVPに選出された。

その後、76年のオフに14年間WS制覇から遠ざかっていたニューヨーク・ヤンキースへ移籍。ドジャースを相手に迎えた1977年のWS第6戦では、すべて初球を叩き3打席連続ホームランを放ち、シリーズ5本塁打で15年ぶりのWS制覇を牽引、ここでもMVPに輝いた。長いメジャーの歴史の中でも、WSでのMVP複数回受賞は、レジーの他サンディ・コーファックスボブ・ギブソンの計3人しかいない。

78年のポストシーズンでも、レッドソックスとのワンゲームプレーオフでホームランを放ち、チームをリーグチャンピオンシップへと導くと、ここでも2本のホームランで6打点。続くワールドシリーズでも2本塁打8打点と、ヤンキースの2連覇に貢献。「ミスター・オクトーバー」の名をほしいままとした。

レジーはキャリア終盤、エンゼルスへと移籍。82年に39本をスタンドに放り込み、自身4度目にしてキャリア最後のホームラン王を獲得。大谷は実にこの時の記録を更新したわけだ。なお、レジーの背番号はアスレチックス、ヤンキースの両チームにおいて永久欠番となっている。

■大谷は球団記録の47本塁打超えなるか

日本人バッターは通用しない」と卑下された1990年代のメジャーリーグを知る者として、そんな「伝説の打者」が持つ記録を、大谷が更新するなど痛快でしかない。

2009年に我らが松井秀喜もWSで1試合6打点を記録、彼もまたシリーズMVPとなり、ヤンキースを9年ぶりのチャンピオンへと導いた。このシリーズでの松井はニューヨーカーにとって、まさにレジーを彷彿とさせる活躍であり、クラッチヒッターとして礼賛されるのは、伝説の打者に肩を並べる記録があるからだ。この後、ヤンキースは11年、WSから遠ざかっているが、これがMVP松井と契約を延長しなかったチームとして「秀喜の呪い」とされなければいいのだが……。

さて、大谷が次に狙うのは、「アナハイム・エンゼルス」のトロイ・グロースが2000年に記録した47本のチーム記録。ホームラン王獲得に向け、ぜひ更新も期待したい。

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著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨークで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、ニューヨーク・メッツ推し。

著書に『My Lost New York ~ BAR評論家がつづる九・一一前夜と現在(いま)』、『麗しきバーテンダーたち』など。


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