今週は札幌競馬場で札幌記念(芝2000m)が行われる。
白毛馬ソダシvs海外GI勝ち馬ラヴズオンリーユーの「2強対決」に注目が集まる今年。それ以外にも2019年の札幌記念勝ち馬ブラストワンピースや重賞制覇で勢いに乗る4歳牝馬ウインキートスなど伏兵陣も大物喰いに虎視眈々。この夏一番といっても過言ではない豪華メンバーが覇を競う。
この記事ではデータ面から札幌記念を紐解き、攻略への糸口を見つけていきたい。
◆【札幌記念2021/前走ローテ】素直に最多勝利の「函館記念組」を信頼か 距離別成績から見えてくるものとは
■復権を期する白毛馬・ソダシに死角はあるのか
デビューから無傷の5連勝で臨んだオークス。連勝更新に期待がかかるなか、東京芝2400mの舞台で初の黒星を喫してしまったソダシ。
それでも今回は2戦2勝の洋芝替わり。復権を期する白毛のアイドルホースだが、ここは「血」の不安要素が立ちはだかる。
・クロフネ産駒の芝2000m重賞成績【0-6-6-68】
カレンチャンやスリープレスナイトなど、GI馬には優れたスプリンターの名前が並ぶクロフネ産駒。15年以上にわたってターフに活躍馬を輩出し続けるものの、いまだ芝2000m重賞勝ち馬はゼロ。この事実は見逃せない。
同産駒はキャリアを重ねるたびに適距離が短くなる傾向がある。前走との比較では条件好転と言えるものの、今のソダシにとって2000mという距離すら危うい可能性は否定できないだろう。
■ラヴズオンリーユーを後押しする「馬券内率83%」データ
オークス以降は白星から遠ざかっていたが、年明け初戦の京都記念で久々の勝利。前走は海外GI制覇と、3歳時からパワーアップした姿を披露したラヴズオンリーユー。
ここは数々の一流馬を苦しめた「海外遠征帰り初戦」で臨むローテーションとの戦い。それでも同馬には強力なデータが存在する。
・年内に牡馬混合重賞5着内がある牝馬【2-0-3-1】
馬券内率に換算すると83%。4人気1着フミノイマージンや7人気3着ホエールキャプチャなど、人気の盲点にあった牝馬もこれに該当していた。
秋競馬から始動するローテーションもあったと思われるなか、札幌記念への参戦を選択。その背景にあるのは先に挙げたデータ面の相性の良さなのかもしれない。
後編ではデータ面から浮上する札幌記念の穴馬候補2頭を紹介する。
◆【後編】「血の力」が追い風となる伏兵馬 北都に波乱を巻き起こす
◆【札幌記念2021/脚質傾向】馬券のヒントは「中団で競馬ができること」 展開に関係なく信頼すべきか
◆【札幌記念】白毛馬ソダシに危険信号 ハープスターやブエナビスタと異なる臨戦過程
▼競馬ストーリーテラー・田原基成の重賞分析TV「札幌記念」
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。