【スーパーGT】松田次生が見せた“強いニスモ”、ランキング最下位が逆襲を見せた波乱のレース

写真は2014年の10月5日、SUPER GT第7戦から (C)Getty Images

コロナ禍で延期となっていたスーパーGT第3戦が8月21、22日に鈴鹿サーキットで無事開催された。これで今季も8戦が成立する見込みとなった。

前半戦の締めくくりにあたる一戦ということで注目したのが、ここまでホンダ、トヨタに全く歯が立たなかったニッサン勢のGT-Rが得意とする鈴鹿でどんな戦いを見せてくれるのかだ。特にエースチームのニスモGT-R松田次生ロニー・クインタレッリ)。ここまで、ニスモのセカンドチームにあたるクラフトスポーツGT-R平手晃平千代勝正)がしぶとくポイントを重ねてきた一方で、エースらしい活躍がここまで全く見られなかった。

◆【実際の映像】「レース人生で一番良いレースだった」と語る優勝した松田選手

■決勝で巻き返しをみせたニッサン勢

3戦を経てランキング上位5台がサクセスウェイト50kg超えとなり燃料流量リストリクター径調整が併用となることで、これまでよりも有利になるとは思ったが、ホンダ勢にサクセスウェイトが軽いチームがあり、大方がそこを優勝候補に挙げていた。

その通り、予選ではサクセスウェイトが軽い上にこのときの路面状況に最もマッチしていたダンロップタイヤユーザーのModulo NSX-GT伊沢拓也大津弘樹)と無限NSX-GT笹原右京大湯都史樹)の2台のホンダが、驚異的なタイムでフロントローを独占した。

ところが決勝では一転、鈴鹿に来て水を得た魚のようにニッサン勢が次々と前へ。混戦の中でアンダーカットを成功させ一気にトップに立ったのはニッサン勢予選最上位の3位からスタートしたニスモGT-Rではなく、クラフトスポーツGT-Rだった。

クラフトスポーツGT-Rはここまでレースで強いところを見せており、特にピットインで順位を上げてくる印象がある。今回も7位から序盤のうちに4位まで順位を上げると、前との差があまりないことで一気に仕掛けてきた。

さらに後半もペースも良く、このまま優勝するだろうと思っていた。そこに猛追してきたのがニスモGT-Rの第2スティントを担う松田次生。

ピットインを引っ張ったことが仇となり順位を一時下げたニスモGT-Rが、松田の猛プッシュで残り15周となったところでトップに追いつくとその2周後、ヘアピンでブレーキング勝負を仕掛け見事に抜き去ったのだった。あの“強いニスモ”が蘇った瞬間だった。

■強豪チームの予想外の優勝

桑名市出身の松田にとって鈴鹿はホームコース。筆者も鈴鹿で松田が強いことを、様々なカテゴリーのレースで見てきた。

最近では2019年の「インターコンチネンタルチャレンジ第4戦鈴鹿10時間」での終盤の激走。優勝からは遠いポジションだったが、海外チームが驚嘆したその走りは今も記憶に新しい。その松田が今回のレースを終えた直後「今までのレース人生で最も良いレースだった」と、語った。

過去にもニッサンがトヨタ、ホンダに劣っていたシーズンはあったが、それでもエースの23号車ニスモだけは松田が再加入した2014年以降、2019年を除き必ず勝利を挙げるなど常に強豪チームであり続けた。それが今季はここまで、ランキング最下位。

今回予選は今季最高位の3位だったが、その後話を聞くと「最低表彰台は……」と、優勝までのプランは現実的に描けていないようだった。それだけに今回優勝まで漕ぎつけたことに、大きな価値があったのだろう。

これでニスモGT-Rにもハンデが積まれることになるが、そうなると再び優勝から遠ざかってしまうのか。いや次の第5戦SUGO、第6戦オートポリスと続くがGT-Rは優勝争いに絡むことだろう。

3メーカーがより拮抗するであろう後半戦は、ますます面白くなりそうだ。

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター
2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。


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