シーズンも終盤に差し掛かっているが、トロント・ブルージェイズのブラディミール・ゲレーロJr.内野手が好調だ。8月31日(日本時間9月1日)のボルティモア・オリオールズ戦では2本塁打を放つなど、直近7試合で打率.414、3本塁打、7打点。本塁打王争いではロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手を39本塁打で追走しているが、打率.316はリーグ2位、97打点もリーグ2位タイと、三冠王獲得の可能性も残している。
22歳の若き大砲は、デビュー前から若手有望株として大きな期待をかけられていたが、メジャー3年目を迎えついに“覚醒”と言える活躍を続けている。果たして、打棒爆発の裏側には何があったのか。メジャー1年目(2019年)の成績と今季成績を比較し、好調の要因について分析する。
(※成績は全て日本時間4日時点。また、ブルージェイズは新型コロナウイルスの感染拡大もあり、今季途中まで本来の本拠地であるトロントのロジャース・センターではなく、ニューヨーク州バッファローやフロリダ州ダニーデンで公式戦を開催)
◆【動画】驚愕のスイングでレフト、センター、ライトへ1試合3発!好投手・シャーザーも完全攻略したゲレーロJr.の特大弾ハイライト
■“得意ゾーン”がデビュー年から変化
2019年は123試合出場で15本塁打、今季はここまで132試合で39本塁打を放っているゲレーロJr.だが、まずはコース別の本塁打数を振り返る。
デビュー1年目は内角低めを捌いての一発が目をつくが、今季はベルト付近~高めのボールを捉えてスタンドへ運んでいる。特に、真ん中付近に甘く入ってきたボールに対しては11本塁打。1年目と今季で相手投手の攻め方も変化しているが、外角球を本塁打にしたケースが増加している点も見逃せない。
また、球種別でさらに絞り込むと、速球とスライダーに対応して本塁打を放つケースが明らかに増加している。内角寄りの速球と外角へのスライダーの両方にアジャストしてくるとなると、相手バッテリーもゲレーロJr.への攻め方に頭を悩ませているはずだ。
■今季は逆方向への本塁打も量産
そして、ゲレーロJr.の進化をより感じられるのが打球方向だ。2019年はレフト方向への安打や本塁打が目立つが、今季は逆方向への本塁打が増加し、フィールド全方向に打ち分けている。デビュー当初の「内角低めが得意なプルヒッター」から、外角球にも対応し広角打法で長打を量産するスタイルを確立したことで、三冠王をも見据える存在となった。
ゲレーロJr.の急激な成長と豪快な一発が、今季のMLBを盛り上げてきたことは間違いない。大谷はこのまま本塁打王争いを逃げ切れるのか、それともゲレーロJr.が逆転するか。今後の打席からより目が離せなくなりそうだ。
◆【動画】驚愕のスイングでレフト、センター、ライトへ1試合3発!好投手・シャーザーも完全攻略したゲレーロJr.の特大弾ハイライト
◆大谷翔平、球宴後のペースなら本塁打王危うい? 大台越えがタイトル奪取ラインか
◆大谷翔平とゲレーロJr.を猛追…“無双状態”のペレスが驚異の量産態勢、捕手で本塁打王なら史上2人目
文・SPREAD編集部