【テニス】国枝慎吾、東京パラの「俺は最強だ」伝説をふり返る 物語はパリへと続く

 

【テニス】国枝慎吾、東京パラの「俺は最強だ」伝説をふり返る 物語はパリへと続く
男子シングルス・車いすテニスで東京五輪金メダルの国枝慎吾(C)ロイター

■自国開催での特別な金メダル

試合後に国枝は「他国で開催される通常のパラリンピックの3倍、いや10倍以上のプレッシャーがあった」と告白。「でも、そのプレッシャーに立ち向かい、乗り越えたからこそ今の幸福感がある」とも付け加えた。

「自分自身を疑う日もあった」と話す声は震えていたが、試合ではその不安を打ち消すかのように気迫をボールに乗せ、自身のテニスを全うする勇者であった。かくして、シングルスで獲得した3つ目の金メダルとなった。

色は同じでもリオ大会からの復活劇、勝負の酸いも甘いも知っているからこその緊張感を乗り越えた特別なメダルになったことだろう。

閉会式の興奮も冷めやらぬ間に選手たちはアメリカに移動し、9日からスタートする全米オープンを戦う。国枝らしい強く聡明なテニスを大勢の観客の前で披露し、今週末には再び「俺は最強だ」と満面の笑みを見せてほしい。

そして3年後のパリでもその雄姿を再び見せてもらいたい。

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久見香奈恵(ひさみ・かなえ)

元プロ・テニス・プレーヤー日本テニス協会 広報委員

1987年京都府生まれ。10歳の時からテニスを始め、13歳でRSK全国選抜ジュニアテニス大会で全国初優勝を果たし、ワールドジュニア日本代表U14に選出される。園田学園高等学校を卒業後、2005年にプロ入り。国内外のプロツアーでITFシングルス3勝、ダブルス10勝、WTAダブルス1勝のタイトルを持つ。2015年には全日本選手権ダブルスで優勝し国内タイトルを獲得。2017年に現役を引退し、現在はテニス普及活動をはじめ後世への強化指導合宿で活躍中。国内でのプロツアーの大会運営にも力を注ぐ。