【ローズS/危険な人気馬】3歳限定戦で注目すべきは”レースレベル” 秋華賞前哨戦で「買うべきではない」一頭とは

今週は中京競馬場で第39回・ローズS(GII、芝2000m)が行われる。アールドヴィーヴルは世代屈指の末脚を武器に桜花賞、オークスともに5着に好走するなど実績は十分。秋華賞の切符は是が非でも取りたいところだろう。フローラS勝ち馬のクールキャットは前走オークスで14着に大敗したものの、スピードに特化しており距離短縮はプラスになるだろう。タガノパッションはスイートピーSを上がり最速の脚で差し切り、オークスまで駒を進めてきた。人気薄ながら4着に好走し、ここでは実績最上位なだけに同世代には負けられないだろう。その他良血馬オヌールアンドヴァラナウトなども虎視眈々だ。

ここではハイレベルの3歳世代における「レース格」を基に、馬券のヒントとなる「危険な人気馬」としてクールキャットを取り上げたい。

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■フローラS覇者クールキャットの明と暗

まずは、クールキャットの近4走について考察する。

4走前のフェアリーSは、五分のスタートも出足が付かず、400mを過ぎたあたりで一気にまくり3コーナー手前で先頭に立った。スクリーンヒーロー産駒特有の「前進気勢」が悪い方向に出てしまい、坂のある直線では既に脚は残っておらず10着に大敗した。初の距離延長となった3走前のフラワーCでは初騎乗となった横山典弘騎手が後方待機策でスピードを活かす競馬をし、上がり最速の脚を繰り出したが、直線は進路が狭くなり5着と惜敗した。さらに距離延長となった前々走フローラSは外枠から好スタートを切り、道中4~5番手に構えて折り合い、前目で脚をためる競馬をした。先行しながらも上がりはメンバー中3位となる「33秒4」を計測し見事重賞初制覇。競馬の幅の広さを利かせたレースとなった。そして前走のオークスは好スタートから逃げの手を打ち、マイペースでラップを刻んでいた。直線に入ってからも脚色は鈍らず、そのまま突き抜けそうな雰囲気もあったが、やはり距離が長かったのか14着と大敗してしまった。

戦歴からも「非凡なスピードセンスがあり、前向きな気性から先行力を武器に好走している」と評価することも出来る。だが惨敗したレースはいずれも「逃げ」「追い込み」のいわゆる極端な競馬をし、脚の使いどころを誤ってしまって「脚を余す」「脚が残らず」という結果になってしまっているのだ。

■スクリーンヒーロー産駒の好走パターンは決まっている

次に、近5年の重賞における「スクリーンヒーロー産駒の重賞勝ち馬のコーナー通過順位」を分析してみた。

ゴールドアクターは15年有馬記念(通過順位)【3-3-5-3】、16年日経賞(通過順位)【2-2-2-2】、16年オールカマー(通過順位)【6-6-6-4】。モーリスは16年天皇賞秋(通過順位)【5-5-4】、ジェネラーレウーノは18年京成杯(通過順位)【2-2-2-2】、18年セントライト記念(通過順位)【2-2-2-2】。ウインマリリンは21年日経賞(通過順位)【3-3-3-2】、20年フローラS(通過順位)【4-4-5】といずれも道中2~6番手で構え、先頭の馬に併せて競り勝つ「先行抜け出し」の王道の競馬で勝利を挙げていることに加え、鞍上には乗り慣れているジョッキーが跨っていることからも、扱いが非常に難しい種牡馬ということだ。

今回フローラSで勝利に導いたルメール騎手に手が戻る形になったが、武豊騎手騎乗で前走のオークスに挑んだクールキャットにとって「逃げの手」をうってしまったことが仇となり、正攻法の競馬が出来ない公算が高いのだ。

■最強3歳世代を判別するファクターは「レースレベル」

次に、この夏に旋風を巻き起こした「現3歳世代」のレースレベルについて分析する。

過去10年で最もハイレベルと感じたNHKマイルCに出走した馬のその後見ていくと、優勝したシュネルマイスターは古馬混合となった安田記念で3着に好走、2着のソングラインも関屋記念で3着、グレナディアガーズも先週の京成杯オータムHで3着、12着と大敗したピクシーナイトはCBC賞2着→セントウルS2着、8着ランドオブリバティも糸魚川特別(2勝クラス)優勝と、凡走してしまった馬でも次走で結果を出しているだけに「ハイレベル」と判断しても過言ではないだろう。次に新重賞の葵Sでは優勝したレイハリアがキーンランドC優勝、2着ヨカヨカが北九州記念勝利、3着オールアットワンスがアイビスSDを圧勝とこちらもレースレベルはかなり高かったと言えよう。

一方、ニュージーランドトロフィーに出走した馬たちのその後の戦歴は、優勝したバスラットレオンが先週の京成杯オータムHで15着大敗、3着のシティレインボーは八雲特別(1勝クラス)で1番人気に推されながらも4着に惜敗、4着のヴィルジュネルは豊栄特別(2勝クラス)1着も次走の新潟日報賞(3勝クラス)で5着となっており、このレースを挟んだ馬は「力が通用しない」のだ。今回上位人気濃厚のクールキャットが勝利したGIIフローラSも同様で、ユーバーレーベンは鞍上の好騎乗と渾身の仕上げでオークスを優勝(その後骨折が判明)したが、2着のスライリーが先週の紫苑Sで15着に大敗、4着のメイサウザンアワーも紫苑Sで6着に惨敗しており、決して「レースレベルが高かった」とは言えないのだ。

また、春のクラシックには目を向けず、秋に向けて成長を促されてきた「条件馬」たちの勢いもクールキャットにとって不安な材料となる。昨年の波乱の立役者ムジカとオーマイダーリンは1勝クラスを勝ち上がったのちに同レースに出走し馬券内に突っ込んできたことは記憶に新しいが、今年も出雲崎特別(1勝クラス)を快勝したアンドヴァラナウトや都井岬特別圧勝のイリマ、英彦山特別を制したコーディアルなど勢い急な「条件馬」が揃っている。素質があるものの、好走パターンが少ないクールキャットにとって条件馬の存在は「都合が悪い」のだ。

■馬券の妙味を考えると最終結論は「消し」

ここまでクールキャットに関する不安要素を紹介したが、フローラSの覇者が秋の飛躍に向けここに出走してくれたことに敬意を表したい。

ただ、馬券の妙味を考えると、ここは「消し」の評価。

本命はタガノパッション。前走オークスでは上がり最速の脚を繰り出し4着に好走。サウスポーとして頭角を現しているが、ここもすんなり快勝し、ラスト一冠に向け弾みをつけてほしい。対抗はアールドヴィーヴル。デビュー2戦目でみせた末脚は世代屈指でクイーンSはオークス2着のアカイトリノムスメなど素質馬が揃った一戦だっただけに、マークが必要だろう。

以下、押さえでエイシンヒテンコーディアルマリアエレーナとする。コーディアルは戦歴からも昨年2着に好走したムジカに似ており、繰り出す末脚はここに入っても通用の余地がある。3冠馬デアリングタクトを筆頭に勢いに乗るエピファネイア産駒だけに注意が必要だろう。

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文・西舘洸希(SPREAD編集部)


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