2018年ロシアW杯決勝でクロアチアを4-2で退け、20年ぶりとなる優勝を果たしたフランス代表。
その中でも次代のスター候補生として世界にもっとも名を轟かせた選手は、フランス代表のエースナンバーを背負ったキリアン・エムバペ選手だろう。
圧倒的なスピードと多彩なテクニックを併せ持ち、トップスピードに乗った時のドリブルはもはや誰にも止めることのできないほどの破壊力がある。
弱冠19歳ながらロシアW杯では得点ランキング2位タイとなる4ゴールをあげ、クロアチアとの決勝戦でもダメ押しとなる4点目を決めるなど世界中を驚かせた。
エムバペ選手は2017年3月に18歳でフランス代表デビュー。
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タレントの宝庫とも言われるフランス代表でエースナンバーを託され、サッカーの王様・ペレと比較されるなど今大会でもっとも注目を集めたプレイヤーと言っても過言ではない。
スポーツ一家に生を受ける
1998年12月20日、自国開催のW杯でフランスが優勝した半年後に、パリ北東部のボンディでエムバペ選手は誕生した。
カメルーンとナイジェリアにルーツを持つ父は地元のサッカークラブ・ASボンディのコーチを務め、アルジェリアにルーツを持つ母はプロのハンドボール選手というスポーツ一家で育てられた。
フランスのレンヌなどで活躍したジレス・ケンボ・エココ選手が義理の兄にあたり、10歳年下のエムバペ選手にとってレンヌで活躍するエココ選手は最初のアイドルだった。
父のサッカーの才能、母の運動神経、憧れの的としての義理の兄の存在が、幼きころのエムバペ選手の成長を助けた。
“特別”な存在の弟
7歳年下のイーサンという弟もおり、エムバペ選手がチャンピオンズリーグに出場する際にもエスコートキッズとして招待している。
「彼(イーサン)が望んだんだ。素晴らしい瞬間だった。彼が私の頭を叩いて、『連れて行って』と言ったから『連れて行こうじゃないか』って言ったんだ」
また、エムバペ選手がゴールを決めた際に腕を組んで親指をあげるポーズにも弟のイーサンが深く関わっている。
「プレイステーションのサッカーゲームでイーサンが勝った時、僕に対してそのように祝うんだ」と、弟のポーズを真似していることをエムバペ選手は明かしている。
義理の兄を尊敬し、年の離れた弟を可愛がる。エムバペ選手の人間性も、彼がスターの階段を駆け上がっていくのを手助けしているかもしれない。
最年少記録を塗り替えて称された”アンリ2世”
エムバペ選手は2013年からモナコのユースチームに所属し、16歳の時にトップデビューを果たす。
クラブの最年少得点記録を塗り替え、それまでの記録を持っていた英雄・アンリさんにちなんで”アンリ2世”と呼ばれるようになった。
2016-17シーズンには44試合に出場し、26ゴール14アシストの活躍でモナコのリーグ制覇、CLベスト4入りに貢献。
モナコでの活躍が認められ、2017年夏にパリ・サンジェルマンへの移籍が実現した。
今シーズンは46試合に出場し、21ゴール16アシストをマーク。彼の実力が本物であることを証明し、前シーズンに続きリーグ・アンのベストイレブンと最優秀若手賞の2冠に輝いた。
一流の監督や選手からも高い評価
若くして成功を収めているエムバペ選手は世界の一流選手からもその才能と将来性を称賛されている。
今シーズン限りでアーセナルの監督を退任した名将・ヴェンゲル監督もエムバペ選手の活躍に期待を寄せている。
「彼はティエリ・アンリではないが、彼と同様のクオリティーを持っており、将来性と才能がある」
また、モナコ時代にチームメイトで、現在はマンチェスター・シティに所属するベルナルド・シウバ選手は「はじめに見た時からボールの触り方など他のプレーヤーとは違った何かを持っている選手だと感じた。私たちがタイトルを獲得するのを彼が引き続き手助けしてくれるだろう」と信頼を寄せていた。
19歳でベストヤングプレーヤー賞受賞、その先に目指すはバロンドール
エムバペ選手は今大会で最も活躍した若手に贈られるベストヤングプレーヤー賞を受賞。ちなみに、前回のブラジルW杯では同僚のポール・ポグバ選手が受賞した。
クラブでの最優秀若手賞も含め、個人タイトルを次々に獲得し続けているエムバペ選手。
過去10年、その年に世界で最も活躍した選手が受賞するバロンドールは、ポルトガル代表・C.ロナウド選手とアルゼンチン代表・メッシ選手が5度ずつ受賞しているが、ロシアW杯では両選手ともにベスト16で敗退。
2人ともクラブではタイトル獲得に貢献しているため有力候補であるのには変わりないが、W杯での躍進を支えたエムバペ選手を今年のバロンドールに推す声は多い。
11月8日、エムバペ選手はロシア大会で自身が見せた活躍は、今年のバロンドール受賞を後押しするだろうと明かしている。
クリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシは現在最も優れたサッカー選手だと主張した一方で、「今年は彼らのうちのどちらかが受賞するとは思わない。今年はW杯イヤーだったし、そこでの結果やパフォーマンスが優先されるから」と発言した。
1998年、W杯を制したフランス。同年バロンドールを受賞したのはフランスのジネディーヌ・ジダン選手だった。あれから、フランス人選手でバロンドールを獲得した選手は存在しない。
「率直に言えば、バロンドールの受賞を望んでいる。僕たちは大きなことを成し遂げた。不当だと言うのは強すぎるけれど、フランス人が受賞できなければ残念だ」(エムバペ選手)
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20年越しにW杯で優勝したフランスから、20年越しにバロンドール受賞選手が生まれることになるのだろうか。
たとえ今年受賞できなくともまだ19歳という年齢を考えると、C.ロナウド選手やメッシ選手に引導を渡す最有力候補として名前が挙がり続けるだろう。
参考:https://lifebogger.com/ja/kylian-mbappe-childhood-story-plus-untold-biography-facts/、http://www.uefa.com/memberassociations/news/newsid=2328542.html、https://www.transfermarkt.com/kylian-mbappe/profil/spieler/342229
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