【スーパーGT】2年ぶり“波乱のSUGO”は健在 ARTAとインパルが演出した大逆転劇

写真は2014年の10月5日、SUPER GT第7戦から (C)Getty Images

スーパーGT2021年シーズンは後半戦に入り、第5戦が宮城県のスポーツランドSUGOで行われた。昨年はコロナ禍の影響で開催がなく、2年ぶりのSUGO戦だ。

ここまでの4戦を経てGT500クラスは14台中ランキング6位までがウェイトハンデ(サクセスウェイト)50kgを越えており、燃料流量リストリクターの制限を受ける。そこにきてアップダウンが激しく影響を受けやすいSUGO。ハンデの軽いチームにとっては上位入賞の大チャンスであり、優勝すれば一気にタイトル戦線に加われる。

一方、ハンデが重いチームにとっては正念場だ。ハンデが軽減される第7戦までの苦しい戦いでもぎ獲った数ポイントが、最後にタイトル獲得の決め手となる可能性があるからだ。

■ハンデの軽いチームが上位独占した予選

予選では順当に、トップからハンデの軽いチームが上位に並んだ。ポールのARTA-NSX野尻智紀福住仁嶺)は26kg、2番手の無限NSX笹原右京大湯都史樹)は20kg、3番手のインパルGT-R平峰一貴松下信治)は16kg。SUGOはコース幅が狭くオーバーテイクがかなり困難なコース。加えてコース長も短く、GT300のマシンをパスしなければならない回数も多い。そのGT300クラスとの交錯がチャンスとなることもあるが接触のリスクも高いので、予選で前に出て守るというのが理想の展開である。

そんなSUGOで順位を上げようと思えば、スタートの瞬間が最大のチャンス。今回サポートレースのFIA-F4を見ていると、ほぼここで勝負は決まっていた。それはローリングスタートとはいえどスーパーGTも同様で、スタートからオープニングラップで順位の変動が見られるかと思ったが、ほぼ順位は変わらなかった。

その後はARTA-NSXが無限NSXに徐々にギャップを築き、独走態勢へと入る。ピットインを終えてもリードは変わらず、このあたりで今回はARTA-NSXが優勝だろうと考えていた。

ところが、2年ぶりで忘れていたが、ここは“波乱のSUGO”だった。波乱なしではやはり終わらない。

■“波乱のSUGO”の結果は…

前半はあんなにスムーズなレースだったのに、後半になるやいなやバタバタ劇が繰り広げられる。その中で、最も大きな波乱に見舞われたのがトップ独走中のARTA-NSXだった。

マシントラブルやバトルでの接触ではない、些細なピット作業違反でドライブスルーペナルティという時点で実に気の毒だが、それだけであれば大きなリードがあったことでまだ、表彰台くらいは可能性が残っていた。加えて、その直後にマシントラブルで1台がストップしてしまったためセーフティカーが出され、ペナルティ消化がリスタート後となってしまった。

したがってそれまでのリードはすっかり清算され、トップから一気に最下位へと後退することになったのだ。さらにこのドライブスルーもピット信号無視で、2度目のペナルティが下された。

結局、優勝はインパルGT-Rの手に渡った。これはまあ、順当といえば順調だ。ドライバー二人はGT500ルーキーでSUGOは初だったが、難しいレースで大いに健闘したと思う。

注目すべきは、その後ろでもいくつか起こったトラブルやアクシデントに乗じて、10番手スタートだったランキングトップでハンデ80kgを背負うSTANLEY-NSX山本尚貴牧野任祐)が2位フィニッシュに漕ぎつけたことだ。さらに4位にはランキング3位で64kgを積んだ auトムスSupra関口雄飛坪井翔)。こちらも14番手スタートからの大躍進で波乱を味方につけたことになる。

この2台についてはおそらく、絵にかいたようなSUGOでは理想的な展開。これで次のオートポリス戦がノーポイントでも、かなり有利で残り2戦に臨める。レース界随一の人気者である星野一義監督率いるインパルの5年ぶりの優勝&若手ドライバー2人の初優勝が大きな話題となっているが、シーズンの最後に再び、今度はタイトルを決めるカギになった1戦としてクローズアップされる可能性は高い。

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター
2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。


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