25日から大阪府の泉ヶ丘カントリークラブでパナソニックオープンチャンピオンシップが開催される。
奮起を期待したいのが、先週のANAオープンで今季初の予選落ちを喫した堀川未来夢。
2021年大会では3位に入っているが、今回のANAオープンではショットが不調だった。初日はフェアウェイキープ率が34位タイで、パーオン率が117位タイ。2日目はフェアウェイキープ率が63位タイで、パーオン率が38位タイだった。
前週のShinhan Donghae Openは第1ラウンド途中に首痛のため棄権しており、その影響があるのかもしれないが、状態を上向かせて通算5勝目を狙っていきたい。
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■平均ストローク7位
堀川は今季14試合に出場し予選落ちしたのはANAオープンのみ。トップ10に4回、トップ20に9回入っている。平均ストロークは7位だ。
この安定感を支えているのはアイアンショットとパットの精度の高さ。ドライビングディスタンスが102位、フェアウェイキープ率が28位、トータルドライビングが82位タイでありながら、パーオン率が13位。フェアウェイからだけでなくラフからでも、距離が残っていても高確率でグリーンをとらえていることがうかがえる。
パーオンホールの平均パット数は2位で、1ラウンドあたりの平均パット数は13位。バーディ率が5位で、パーキープ率が7位。アイアンショットの精度を生かすパットの安定感を見せている。

堀川未来夢スタッツ順位
■フェアウェイウッドのスティンガー
堀川はフェアウェイウッドでのスティンガーショットを得意としている。スティンガーとは低弾道ショットのこと。2打目で距離が残った場合だけでなく、パー4やパー5のティーショットで採用することもある。
距離が長いパー3でもスティンガーは武器になっているよう。男子ツアーでは200ヤードを超えるショートホールは少なくないが、そのような長いホールで7番ウッドが重宝しているようだ。
パナソニックオープンは13番のパー3が205ヤード。風の状況とピンポジション次第では7番ウッドの出番かもしれない。
基本的にはフェアウェイウッドはレベルブローになる。だからターフは取れないが、堀川のスティンガーショットはターフが取れる。他の選手の“ショートアイアン並み”とも言える量のターフを取る時もある。それだけダウンブローに打っているということだ。
それはフォロースルーからフィニッシュにも表れている。振りぬくと言うよりも、低く小さくフォロースルーをとっている。インパクトでヘッドをボールにぶつけて終わり、といった感じだ。
また、パットの名手がパターを変えない傾向にあるように、フェアウェイウッドやユーティリティーといったウッド系クラブの名手もそのクラブをあまり変えない傾向にあるが、堀川も変えない。7番ウッドは19年から使っており、ユーティリティーは学生時代から使っているようだ。
■ザ・ギャラリーホールの16番ホール
6月のツアー選手権でのこと。堀川は、最終日の最終ホールで優勝に向けてデッドヒートを繰り広げている同組の蟬川泰果がバーディパットを決めるとグータッチをしに歩み寄った。そしてその後、堀川自身も約3メートルのパーパットを沈め、プレーオフに持ち込んだ。
選手同士でのグータッチはあまり見られない。しかも、優勝争いしている者同士なら猶更である。プレーオフでは蟬川に敗れ、優勝とはならなかったが、プレー以外でも魅せていた。
パナソニックオープンの16番ホールはパー3で「ザ・ギャラリーホール」と称されるホールとなる。グリーンのすぐ近くにギャラリースタンドが設置され、ゴルフ番組で人気のDJが、観客を巻き込んで盛り上げる。
堀川のパー3のバーディ率は3位。このホールで最もバーディ獲得を期待できる選手の一人である。
距離が184ヤードなので、ウッド系クラブのスティンガーショットは見られないかもしれないが、好プレー、そしてプレー以外で16番ホールを最も沸かせるのは堀川かもしれない。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。