【ゴルフ】「ダンロップフェニックス」金谷vs石坂の大学生プレーオフに新時代到来を予感

プロ転向3戦目で初優勝を飾った大学4年生の22歳・金谷拓実 (C)Getty Images

■チャンスを得た若武者が初日から躍動

今年の「ダンロップフェニックストーナメント」(11月19日~22日)は、国内の男子ゴルフ界にとって、新時代到来を予感させる大会となった。

東北福祉大学4年の22歳・金谷拓実と、日本ウェルネススポーツ大学3年の21歳・石坂友宏。ともに通算13アンダーで並んだプロ転向3戦目の大学生ルーキーによる一騎打ちは、1時間10分、4ホールにも及ぶプレーオフを制し、1歳年上の元アマチュア世界ランク1位に凱歌が上がった。

今大会の主役は石坂だった。昨年、アマチュアでQTに初挑戦し、ファイナルまで勝ち上がってプロ宣言。ファイナルQTは25位で、今年の主戦場は「AbemaTVツアー」だった。

ダンロップフェニックスも、本来なら海外からの招待選手やシード選手で出場することの叶わない大会。しかし、今年はコロナ禍の影響で、外国人のシード上位選手が出場せず、石坂にまで出場権が下りてきて、大きなチャンスを得たこの若武者は、初日から躍動した。

初日は1イーグル・2バーディーの4アンダーで3位タイ発進。2日目も5バーディーとスコアを伸ばし、予選2日間はノーボギーの完璧なゴルフで、2日目を終え単独トップに躍り出た。

3日目は7バーディーを奪いながらも、2ボギー、1ダブルボギーと出入りの激しいゴルフ。それでも首位タイをキープし、迎えた最終日。12番を終え、2位以下に2打差をつけて、逃げ切り態勢に入ったかに思われたが、優勝のプレッシャーに襲われたか、終盤は微妙にショットの精度が狂いだし、16番でボギーを叩くなど、上がり6ホールでスコアを伸ばすことができなかった。

■大学生同士によるつばぜり合いのプレーオフ

一方、昨年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で、アマチュアながらツアー初優勝を飾った金谷が、虎視眈々と上位をうかがっていた。今大会は3日目、最終日とも、フェアウェイキープ率50パーセントと、ショットの精度は今一つ。最終日も一度は石坂に3打差のビハインドとなっていたが、16番でグリーンエッジから6メートルを沈めて、連続バーディを決めるなど、石坂に通算13アンダーで並び延長戦に持ち込んだ。

プレーオフは互いに譲らないつばぜり合い。1ホール目は互いにティショットをバンカーに入れるも、上手くリカバリーしパーセーブ。2、3ホール目は、ともにチャンスにつけてバーディーを奪取するなど、その戦いぶりは永遠に見届けることができるような素晴らしいプレーだった。

しかし4ホール目。石坂にわずかにほころびが見られた。ティショットを右の林に入れるミスをすると、レイアップからの3打目をグリーン奥にこぼし万事休す。一方の金谷はフェアウェーをキープし、グリーン奥に運んでからの3打目を、わずか30センチに寄せてバーディーフィニッシュし、雌雄を決した。

プレーオフ2ホール目以降は、着実にフェアウェーをキープし、チャンスにつけるゴルフを展開した金谷。あとは相手にミス待ち、というようなクレバーなプレーぶりは、石坂と同様にプロ転向3戦目ながら、アマ時代にすでに1勝をマークしている一学年先輩に、一日の長があったかもしれない。

■国内男子ゴルフ界に新時代到来の予感

金谷拓実の22歳183日の優勝は松山英樹を抜く大会最年少記録 (C)Getty Images

金谷の22歳183日の優勝は、2014年の松山英樹の22歳271日を抜いて、日本人選手の大会最年少記録。さらに、プロ転向後3戦目のプロ初Vは、これも2014年松山の2戦目に続く、日本人選手の最速記録となる。

もし、石坂が優勝しても、同様に記録的な優勝となったわけだが、過去にはそうそうたる覇者が居並ぶ大会で優勝争い演じたことは、大いに誇れる結果といえるだろう。それと同時に、今大会は、4人の大学生アマチュアが参戦していたが、全員予選を突破し、東北福祉大3年の米澤蓮と日体大2年の中島啓太は、8位タイフィニッシュでローアマを獲得。表彰式には大学生がずらりと並んだ。

国内の女子ゴルフでは、98年度生まれの黄金世代など、若い力がツアーを席巻し、毎週のようにニューヒロインが誕生している。一方で、男子ゴルフでは、なかなかニューヒーローが誕生していなかったが、98年生まれの金谷や99年生まれの石坂といった新しい世代が、ようやく現れてきた。

これからの男子ゴルフを引っ張ってくれそうな、新しい時代の幕開けを予感させる存在が、世界基準のトーナメントを標榜するダンロップフェニックスから誕生してくれたことが、国内男子ゴルフ界にとって明るい灯となってくれることを願いたい。

文・SPREAD編集部

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