13日から静岡県の太平洋クラブ御殿場コースで、三井住友VISA太平洋マスターズが開催される。注目はこの大会を最も得意としており、連覇、そして大会5勝目を狙う石川遼。
日本オープン、フォーティネットプレーヤーズカップ、先週のACNチャンピオンシップと、3戦連続でトップ10に入っており、調子は上向き。
シーズンを通して見ても、昨季より今季の方が平均ストロークやパーオン率といった主要スタッツのデータが良い。
12月の米ツアー2次予選会には昨年に続き挑戦予定だが、昨年よりも良い状態で臨めそう。相性抜群の太平洋御殿場で手ごたえをより確実なものにしたいところだ。
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■平均ストロークとパーオン率
平均ストロークは今季現時点で6位。昨季の19位から大きく上昇した。また、23年が9位、22年が18位、20-21年が8位、19年が8位タイ。過去5シーズンと比べても今季の安定感は高いと言える。
その安定した成績を出せている理由は、ショットの安定感が高まっているから。
パーオン率は今季現時点で6位。これも昨季の12位から上昇している。また、23年が10位、22年が22位、20-21年が15位、19年が33位タイ。過去5シーズンと比べてもショット精度の向上は明らかである。

■大叩きホール減
シーズンを通してのショットの安定性を含むプレー内容の向上は、大叩きホールの減少からも見て取れる。
今季は現時点で59ラウンドしているが、ダブルボギーが10個でトリプルボギー以下は0。昨季は74ラウンドでダブルボギーが17個でトリプルボギー以下が1個だった。23年は74ラウンドでダブルボギーが19個でトリプルボギー以下は4個もあった。
ダブルボギー以下が、23年は約3ラウンドに1個、昨季は約4ラウンドに1個だったが、今季は約6ラウンドに1個のペースになっているのだ。
大叩きホールの減少傾向は、以下の表にあるように22年までのデータを見ても明らかである。

■9月以降トップ10率急上昇
7戦して5回。これは9月のフジサンケイクラシックで今季初めてトップ10に入って以降の、トップ10の回数である。
9月以降、トップ10率が急上昇しているわけだが、各大会のフェアウェイキープ率とパーオン率を見ると高水準。
バンテリン東海クラシックではフェアウェイキープ率で10位タイに入るなど、ティーショットの安定性が及第点をあげられる状態であることがうかがえる。
ANAオープンとフォーティネットプレーヤーズカップではともにパーオン率が1位(タイ含む)。グリーンを狙うショットの精度の高さが際立っている。
9月以降は、安心してフェアウェイを、そしてグリーンを狙えているのではないだろうか。

■少し変わったパター使用の効果も
ショットとパットは関連付く。パットの延長がショット、と言われたりする。
石川はそれをわかりやすく表現するかのように少し変わったパターを使用した。10月のバンテリン東海クラシックからは、パターのライ角(ヘッド底面とシャフトの間の角度)をショット用クラブの角度に近づけて、ショット用クラブのグリップを装着。
このような試みも、ショットのフィーリングを良くすることにつながっているのではないだろうか。
現時点で賞金ランキング13位。1位までとは約3400万円差。優勝賞金が4000万円の三井住友VISA太平洋マスターズで優勝すれば、1位に躍り出る可能性がある。
来週のダンロップフェニックス終了時点で賞金ランキング1位の選手には、米ツアー最終予選会の出場資格が与えられる。
最も得意とする大会で優勝して一気に賞金ランキング1位浮上。勢いそのままに米ツアー最終予選会で5位以内に入り、来季米ツアー出場権獲得。今の石川ならあり得るストーリーではないだろうか。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。









