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松山英樹と石川遼、コース難易度高い全米オープンでも武器になるほどウェッジショットが秀でている理由

松山英樹と石川遼、コース難易度高い全米オープンでも武器になるほどウェッジショットが秀でている理由
松山英樹(C)ロイター

13日から、ノースカロライナ州のパインハースト・リゾートNo.2で全米オープンゴルフ選手権が開催される。

日本勢の中で注目は松山英樹石川遼の同学年コンビ。松山は6日から開催されたメモリアルトーナメントで8位タイに入り、石川は同じく6日から開催された日本ゴルフツアー選手権でプレーオフの末、2位に入った。

2人とも良い調子を保ち、2014年以来の全米オープン会場となるパインハーストに乗り込むわけだが、2人には共通の特筆すべきポイントがある。

それは、ウェッジショットが秀でている、ということだ。

松山は今季、グリーン周りからのアプローチショットは米ツアーナンバー1の精度を誇っている。石川は、100ヤード以内のショットは米ツアーを主戦場にしていた頃から高水準だった。

全米オープンのグリーンは、今年も硬くて速く仕上がっているはず。そうなると、ウェッジでのコントロールショットの精度の高さは不可欠。二人は‟らしい”ウェッジショットを見せることが、上位進出の条件となる。

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二人が類まれなウェッジの使い手となったのはなぜだろうか。その背景を探る。

■松山英樹、今季SGアラウンドザグリーン1位

松山は今季、グリーン周りからのアプローチショットのスコア貢献度を示すSG:アラウンドザグリーンが1位。グリーン周りからしのいで、スコアを作っている。

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メモリアルトーナメントでも、グリーン周りからのアプローチショットの安定感が高かった。4日間トータルで32回パーオンしなかったが、内26回でパー以上のスコアを獲得している。この81.25%は大会1位だ。

これだけの精度の高さと安定感を獲得するまでになった理由は2つ考えられる。

1つ目は怪我によるショートアプローチの練習量の増加。

近年、背中や首を痛めてきたことで、患部に負担がかかるフルショットの練習量は減ってきている。その分、ショートゲームの練習量は増えているはず。

練習時間や球数の変化は小さかったとしても、ショートゲームに集中することで練習の質が上がっているのではないだろうか。

2つ目は、鉄板練習メニュー反復の結実。

松山は、左手1本と右手1本、片手での小さい振り幅での練習を欠かさない。

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ショートアプローチの練習としてだけでなく、スイングの土台作り、という意味も含まれているメニューだが、小さい振り幅で、より深いところで体幹と腕とクラブが連動するようになったことが、成果として表れているのではないだろうか。

松山英樹SG:アラウンドザ・グリーン

松山英樹SG:アラウンドザ・グリーン

■石川遼、米ツアー時代も100ヤード以内のショットは高水準

石川は2013年から17年まで、米ツアーを主戦場にしていた。シードを失い、日本ツアーに復帰することになったわけだが、100ヤード以内のショットの精度の高さは高水準だった。

100ヤード以内のショットの精度は、2013年が75位、14年が4位、15年が14位、16年が規定ラウンド不足でランキング対象外、17年が12位だった。

石川の100ヤードの精度が高い理由は、過去の‟超”がつくぐらい攻撃的だったプレースタイルによるものが大きいのではないだろうか。

とにかくドライバーで攻めていた。「350ヤードまっすぐ飛ばす」ことを目標に掲げ、トータルスコア以上にバーディ数にこだわっていた。

だからこそ、15歳でアマチュア優勝したし、2010年の中日クラウンズでは58を叩き出せた。

2008年、17歳で出場した日本オープンでは優勝争いに加わったが、会場となった古賀ゴルフ・クラブの狭いフェアウェイと深いラフなど目に入っていないかのように、ティーショットはドライバーを選択し続けた。

優勝した片山晋呉は、ドライバーを抜いて戦うほどのコースセッティングであったにも関わらずだ。

そのようなプレースタイルだから、ティーショットを曲げて第2打がトラブルショットになることもあるかわりに、1打目ドライバーで2打目ウェッジ、という組み合わせが、ゴルフを始めてから多かったのではないだろうか。

ウェッジやパターの扱いは、理論を介入させられる範囲が他のクラブに比べて狭く感性が勝負になる。ジュニア期に、ウェッジをより多く使うということは、感性を磨くことにつながる。

小中学生時代から、ウェッジでピンをデッドに狙うことが多かったことで、ベースとなるウェッジの技術が磨かれ、米コースの芝に慣れてきたことで、ウェッジショットの安定感が高まったのだろう。

石川遼100ヤード以内のアプローチスタッツ

石川遼100ヤード以内のアプローチスタッツ

■日本の女子選手に続けるか

松山は、2017年大会が2位タイ、22年大会が4位と、優勝に迫った。

石川は、2010年大会、2日目終了時点で首位と2打差の2位タイにつけ、優勝争いに加わる活躍を見せた(最終順位は33位タイ)。

5月30日から開催された全米女子オープンでは日本勢の活躍が目立った。笹生優花と渋野日向子の1、2フィニッシュだけでなく、5名がトップ10に入り、7名がトップ20に入った。

男子も女子に続いてほしい。

パワーランキング(優勝予想)10番手の松山だけでなく、石川も上位に顔を出してくることに期待したい。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。