2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦サファリ・ラリー・ケニアは24日、ケニアのナイバシャを中心に競技3日目デイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエが首位を堅持。カッレ・ロバンペラが2位、エルフィン・エバンスが3位。日本の勝田貴元が4位に上がり、トヨタ勢が1-2-3-4体制を築いた。
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■勝田の3年連続表彰台は…
サファリ・ラリーのデイ3は、ナイバシャ湖の北側にあるエレメンタイタ湖の周辺が戦いの舞台に。3本のグラベル(未舗装路)ステージを各2回走行し、その合計距離は150.88kmと4日間で最長。前夜に降った強い雨によりステージの一部は湿り、泥状になって非常に滑りやすくなっているセクションも。また、デイ3最終ステージのSS13「スリーピング・ウォリアー2」では一部の区間で大雨が降り、路面は泥状に陥った。
前日のデイ2で首位に立ったオジエは、デイ3でも好調を維持。オジエは、オープニングのSS8で終盤タイヤがホイールのリムから外れた状態で走行するもベストタイムを記録。ロバンペラに対するリードを30.4秒に広げた。続くSS9とSS10ではロバンペラが連続ベストを刻み、差は22.1秒に。午後の再走ステージでは、オジエがSS11でベストタイムを、SS12では勝田に次ぐセカンドベストタイムを記録。その結果、二人の差は一時32秒に。しかし、大雨により非常に滑りやすいコンディションとなったデイ3最終のSS13では、ロバンペラが2番手タイムのエバンスに13.1秒、3番手タイムのオジエに15.3秒差をつけるベストタイムを記録。オジエは終盤タイヤの空気を失うトラブルに見舞われ、2位ロバンペラとの差は16.7秒まで縮まった。
デイ2終了時点で3位につけていたエバンスは、オープニングのSS8でウォータースプラッシュを通過した際にスローダウンし、大幅にタイムロス。エサペッカ・ラッピ(ヒョンデ)の先行を許し4位に後退。その後、SS11ではラッピがデイリタイアしたことで3位に復帰。SS12では今大会初となるベストタイムを刻んだ勝田が、エバンスを抜いて一時3位に浮上。だが、最終のSS13ではエバンスが2番手タイムを記録したのに対し、勝田はスピンやコースアウトによりタイムロス。その結果エバンスが3位を取り戻し、勝田は16.7秒差の4位に。トヨタ勢はラリー最終日を前に1-2-3-4体制を築いた。
トヨタはこのラリー、昨季も1-2-3-4体制で上位を独占。勝田は2年連続で表彰台を獲得しているが…、果たして。
■「難しいコンディションを乗り切った」とオジエ
首位のオジエは「ステージの終盤にパンクで少し遅れてしまいましたが、午前中の1本目はかなり速く走ることができました。その後は少し注意深く走り、最後のステージは今大会最も荒れていて、クルマにダメージを負いやすいステージでもあったので特に気をつけて走りました。午後はいい仕事ができたと思いますし、最初の2本のステージではできる限りのことをやりました。最後のステージは大雨で路面に大量の水があり、誰にとっても難しいコンディションでした。そのような場所では無理をせず、何とか乗り切ろうとしました。何よりも重要なのは、今晩も首位を守ったということです。カッレとの差はそれほど大きくないですが、明日は問題なくフィニッシュできることを願っていますし、ケニアで再びチームのためにこのようないい結果を残すことができたら最高です」と勝利への貪欲さを見せた。
2位のロバンペラは「一日を通して激しい戦いが続きました。優勝争いをすることと、チャンピオンシップを争っているライバルよりも多くポイントを獲得することのバランスを見つけるのは、簡単ではありません。セブは今日、本当にハードにプッシュしていましたが、自分たちのプランはスムーズなドライビングを心がけ、路面が荒れている所ではあまりプッシュしないことでした。今朝の最初のステージは少し勇気が足りなかったかもしれませんが、その後はいいペースをキープし、トラブルに巻き込まれることもありませんでした。最後のステージで雨が降ってきた時は、道にとどまるだけでも大変でしたが、それでもタイムを稼ぐことができたので、全体的にはいい一日になりました。明日に向けてチームとしてこのような順位につけているのは、本当に特別なことです。明日はかなり長くてタフな一日になると思いますが、自分たちにとってはポイントを獲得することが何よりも重要なので、クリーンな走りをしたいと思います」とポイント獲得を優先する意向だ。
エバンスは「今日はチャレンジングな一日で、午前中は困難なスタートを切ることになりました。最初のステージでクルマのフィーリングは良かったのですが、ベストなラインどりではなかったためか、ウォータースプラッシュで水を吸い込んでしまいました。その後、スリーピング・ウォリアーのステージでは不運にもパンクをしてしまい、午前中はかなりタイムを失ってしまいました。午後は、最初の2本のステージはクリーンに走ることができたのですが、貴元がすごくプッシュしてきました。彼は速く、いいドライビングをしていたと思います。最終ステージのコンディションは非常に厳しく、グリップが全くないところもありましたが、悪くないタイムで走り切ることができました。明日はまだ大きな仕事が残っているので、全てがうまく行き、チームにいい結果を持ち帰れることを願っています」とトヨタ勢上位独占に意欲を見せた。
一時3位に浮上しつつ、悪天の下スピンを2回喫し、4位に甘んじた勝田は 「明日また長いんで頑張っていきたいと思います」と気を引き締めた。
TGRチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは「昨年の最終リザルトと同じように、ケニアの土曜日が終了した時点で我々の4台のクルマがこのような順位につけていることを、とても嬉しく思います。もちろん、今年もまた同じように素晴らしい結果を残せることを願っていますが、まだ一日残っていますし、何かが保証されているわけではありません。今日の最終ステージのスリーピング・ウォリアーは、今回も非常に滑りやすく波乱に満ちたステージだったので、我々のクルマが全車大きなトラブルなく走り切ったことに満足しています。セブとカッレ、エルフィンと貴元のタイム差はそれほど大きくないですし、我々は常にドライバー同士のフェアな戦いを望んでいますが、最も重要なのは明日4台がトップ4を保ったまま走り切ることです」と上位独占の喜びを隠さなかった。
競技最終日となる25日のデイ4は、デイ2同様にナイバシャ湖の周辺が舞台となり、反時計回りに、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうちSS14/17「マレワ」は、2021年大会で使用したステージを一部見直したもの。また、SS16の再走ステージとなる最終のSS19「ヘルズゲート2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。6本のステージの合計距離は74.38km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は325.92km。
■サファリ・ラリー・ケニア デイ3の結果
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h43m49.2s
2 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +16.7s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m23.3s
4 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m40.0s
5 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +3m52.3s
6 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォードPUMA Rally1 HYBRID) +8m38.9s
7 ピエール=ルイ・ルーベ/ニコラ・ジルソー(フォード PUMA Rally1 HYBRID) +13m56.6s
8 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (シュコダ Fabia Rally2 evo) +19m53.1s
9 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +24m06.2s
10 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia Rally2 evo) +24m06.6s
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文●SPREAD編集部