【オークス/血統ペース理論】「遺伝背景から診て道悪は鬼」想定逃げ馬のペースに適合する“伏兵”

 

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【オークス/血統ペース理論】「遺伝背景から診て道悪は鬼」想定逃げ馬のペースに適合する“伏兵”

第86回優駿牝馬(オークス/GI、東京芝2400m)には、牝馬クラシック一冠目の桜花賞を制したエンブロイダリー、同レース2着で阪神JF勝ち馬アルマヴェローチェ、フローラS勝ち馬カムニャックらが出走予定。

ここでは血統+ペースによる「独自の血統ペース理論」から注目馬を導き出す。

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■レースを支配するのはエリカエクスプレス

本題に入る前に、先週のヴィクトリアマイルは、このコラムで取り上げた15番人気の伏兵アリスヴェリテが大外枠から果敢な大逃げを打ち、最後は僅かに及ばず5着に終わったが、このレースを大いに盛り上げた存在と云って良く、私は助演女優賞を贈りたいほどである。

そして、同じくこのコラムにおいて、「このレースは、毎年父ディープ系の血が活躍することで知られるが」と指摘していたが、父キズナ産駒のクイーンズウォークが2着に入り、これで父ディープ系の血は10年連続で3着以内好走ということになる。

私がこのコラムで指摘した内容が、概ね有意義だったレース内容となったが、今後もレースの答えに少しでも近づけるような内容を展開していきたい。

想定逃げ馬:エリカエクスプレス

父:エピファネイア
母父:Galileo
形相遺伝対象:Dialafara(母母)
同馬が逃げて作り出す血統ペース:
形相遺伝対象からNorthern Dancer系統のペース

前走の桜花賞ではスタート好発を決め、そのまま馬自らが積極的に逃げる走りを披露しており、今年の登録メンバーから診て、更にハナを叩くような存在は見当たらず、エリカエクスプレスが逃げると診る。
   
エリカエクスプレスという馬は、父と母父は中長距離タイプながら、形相遺伝対象が父Danzig系統、その母父Lyphard系統ということで、このスピード豊かな前進型、緩流を好まない血の特性の組合せから、3歳春という成長過程期の現時点において、行きっぷりの良い走りに表れている。

陣営からはテンションが高いという表現が出ているが、気性の問題というよりも、血の走行ベクトル、キャラクターによって行きたがっていると云える。

レースを支配する血統ペースを求めたところで、次に、血統ペースの観点から現時点の注目馬を一頭取り上げてみたい。

■血統ペース適合“良好”の一頭

現時点では6分の5枠の抽選対象となっているが、血統背景的にこの舞台でこそ、実は隠れた魅力的な存在であるエストゥペンダを少々考察してみたい。

エストゥペンダ

父:サートゥルナーリア
母:エストレチャダ
母父:Offlee Wild
・形相遺伝対象:シーザリオ(父の母)
・形相遺伝対象の血統ペース:Northern Dancer系統(サンデー系種牡馬はブラインド解釈する為)
・血統ペース適合判定:Bランク(良好)
       
前走のフローラSは痛恨の大外枠18番に入ったが、スタート直後に他馬と接触、その拍子で引っ掛かってしまい、外を通りながら一気に先頭に立ってしまうという不本意な走りとなったが、最後の直線も粘りを見せて4着に入っている。

前に馬を置いて壁を作りたかったと陣営はレース後に吐露しており、重なった不利を考慮すると強い走りをしたものと診る。

本馬の形相遺伝対象である父の母シーザリオについては、その走りをご記憶の方もおられるだろう。桜花賞では惜敗の2着に終わったが、オークスでは圧倒的1番人気に応えて快勝、そして、余勢を駆って挑んだ米国GIアメリカンオークスは4馬身差をつけて快勝したが、このレース後に脚元に故障を抱えることとなり引退、6戦5勝という成績以上にインパクトが強かった名牝である。

繁殖入りしてからは、本馬の父サートゥルナーリアの他に、エピファネイアとリオンディーズを含めてGI馬を計3頭も輩出し、繁殖としても名牝と云える活躍を見せていたが、残念ながら4年前に天国へ旅立った。

そして、このシーザリオは、その父スペシャルウイークを形相遺伝対象としていることを踏まえると、このような遺伝背景から、本馬は中長距離に本質的な距離適性を持つタイプである。

本馬は、デビューからなぜか5戦連続でマイルを使われ、前走で漸く中距離を使われたが、成長につれて血統面が表出してくると本質的にマイルは忙しく、明らかに距離を延ばすべきタイプである。

血統表とは、馬の「設計図」であり「取扱説明書」である。陣営が血統表を正しく読み解くことは、馬を正しく理解することであり、良績を挙げる最短の近道である。これができずに、不遇のまま現役を終える馬がどれほど多いことか……。

本馬は現在抽選対象ではあるが、是非とも抽選を突破し、遺伝対象先祖であるシーザリオ同様にオークス激走の走りを期待したい。

どうやら、今週末はまたしても降雨の予報があるようだが、古くから道悪のオークスは荒れることで知られており、近年は良馬場続きだったが、久々に道悪で荒れるオークスになるのかも気になるところである。ちなみに、本馬は遺伝背景から診て道悪は鬼であり、全く心配ないと診ており、血統ペース適合も示していることから、適性の高い舞台で激走に期待したい。

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著者プロフィール

MASA
平成の初め、中島国治氏の血統理論と出会い、大いに感銘し影響を受ける。この中島理論をレース予想にどのように結びつけるかを研究し続けた末に、逃げ馬が自身の血統構成から作り出す「血統的なペース・流れ」がレースを支配するという「血統ペース理論」を開発、現在競馬予想家として、中島理論の継承努力を続けている。

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