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学生アスリートの一日の過ごし方 ~立命館大学・田中佑美の場合~

学生アスリートの一日の過ごし方 ~立命館大学・田中佑美の場合~

アスリートは普段どんな生活をしているのだろう? 試合や練習以外でも各々がプライベートな時間を過ごしているはずだ。

今回は立命館大学に通う学生アスリート、女子陸上部で100mハードルを専門にする田中佑美(たなか ゆみ)選手を訪ねた。2019年は全日本インカレ優勝関西インカレ3連覇を達成した彼女。1日をどのように送っているのだろうか。

練習のある「オンの日」と休日となる「オフの日」をそれぞれ円グラフにしてもらい、田中選手の生活に迫ってみた。

田中佑美選手はこんな人

中学1年から陸上競技を始め、4歳から習っていたクラシックバレエにより体が柔らかかったことから100mハードルを専門にする。高校時代は2015年・16年にインターハイ連覇日本代表として世界ユースに派遣された経験も

滋賀県にある立命館大学びわこ・くさつキャンパスで経済学を学び、女子陸上部では主将も任されている。

それでは円グラフに書いてもらった田中選手の1日を見てみよう。

田中選手の一日 ~練習のあるオンの日Ver.~

撮影:Hideyuki Gomibuchi

8:30-9:30移動
9:30-12:30練習
12:30-13:30昼食
13:30-14:30ウエイトトレーニング
14:30-16:00帰宅 スーパーへ行く
16:00-18:30昼寝
18:30-20:00夕食
20:00-21:30ゴロゴロ
21:30-23:30お風呂
23:30-24:00ストレッチ
24:00-8:30睡眠

――オンの日のスケジュール。これは大学に行って練習をする日ということでいいですか?

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田中佑美選手(以下敬称略):「これは春休みとか長期休みの練習のある日ですね」

撮影:Hideyuki Gomibuchi

――まず8時半から「移動」とあります。起きて練習場所まで行く時間帯。朝起きるのは得意ですか?

田中:「寝坊はしないですね。一時期コンビニの早朝バイトをしていたので、朝は嫌いじゃないです」

――今はバイトはしてない?

田中:「1年目は日本料理屋、2年目はコンビニでバイトしていたのですが、どちらも店が経営不振で潰れました……。これ以上店を潰すわけにはいかないのでバイトはしてないです(笑)」

――そうなんですね(笑)。移動後は練習を3時間。100mハードルの選手はどんな練習をしていますか?

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田中:「週に5日練習していて、そのうち2日間(冬は1日)をハードル練習に当てて、それ以外は100mを専門とする選手と一緒にスプリント能力を上げる練習をしていますね」

――練習は9時半から開始?

田中:「集合は10時ですが、私は高校の頃から早く行くのが好きで。高校も3年間皆勤賞で朝練一番乗りみたいな。せっかちなので……」

――集合時間には早めに行くタイプなんですね。

田中:「10時集合で9時20分には競技場に着いてます」

――13時半からはウエイトトレーニング。どのような負荷をかけていますか?

撮影:Hideyuki Gomibuchi

田中:「高校の頃まったくウエイトトレーニングをしてこなかったのと、1回生の時に腰をケガしているので、よくイメージされるようなトレーニングは避けています

スクワットは片足でして、コントロールをしながら重さを減らしてポイントで負荷が来るようにしたり、動きと連動したものだったり。重さをできるだけ上げずに負荷を上げるようにしています

――14時半から16時ごろに帰宅。スーパーに寄るみたいですね。よく行きますか?

田中:「私は生活範囲が競技場かジム、3つあるスーパー、2つある治療院、あと家なんです。駅近くの治療院に寄った日は駅近くのスーパー、ウエイトで疲れた帰りはより近くのスーパー、余裕のある日は遠くのスーパーまで行きます(笑)」

――スーパーを使い分けてるんですね。それで16時に帰宅すると、いきなり昼寝がありますが。

田中:「気づいたら昼寝って感じですね。着替えてゴロってしたら寝てたとか。がっつり5時間くらい寝る日もあります」

――それは起きたらもう夜になってますよ?

田中:「そうなんですけど(笑)。最近は主将の仕事もあるので、それをこなす日もあります」

――夕食後に20時からゴロゴロタイム。何をして過ごしていますか?

撮影:Hideyuki Gomibuchi

田中:「食器洗いたくなぁ〜〜〜い!って言ってます(笑)。食器洗うのも洗濯物干すのも好きじゃないですね……。後はテレビ観たり」

――それからお風呂とストレッチ。

田中:「長風呂するタイプです。ぼけ〜っと音楽を聴きながら。お風呂入った方がケガも少ないと聞いたので。ケガをしないようにストレッチしたり、筋肉をほぐしてセルフケアしています」

――24時には睡眠ですが、昼寝と合わせてトータルで一日10時間くらい寝てますね。

田中:「寝るの大好きです睡眠アプリ使って、20分くらいで眠りに落ちてますね

――この円グラフを見て、生活で直したいところはありますか?

田中:「もうちょっとアクティブになりたいです。女子大生っぽいことをしたい。でも実際したら「え、こんなことしていいの?」ってビビるんだろうな……」

田中選手は普段から、外食はあまりしない、油物を避ける食生活、遊びの頻度など“みんなが我慢すること”を、自分としては普通に行っていたそうだ。このあたりからも意識の高さが伺える。

田中選手の一日 ~オフの日Ver.~

撮影:Hideyuki Gomibuchi

10:00-11:00洗濯
11:00-12:00昼食
12:00-13:30治療
13:30-16:001人サイクリング
16:00-16:30スーパー
16:30-18:30ゴロゴロ
18:30-20:00夕食
20:00-22:00お風呂
22:00-23:00ストレッチ
23:00-24:00ゴロゴロ
24:00-10:00睡眠

――起きるのは10時。オンの日以上に寝ていますね。

田中:「ハイ、楽しく生きる日なので」

――起きたら洗濯などをこなして昼食。この日は朝食をとらないんですね。

田中:「この日は朝昼兼用で豪華なものを作る日ですね」

――お昼ご飯を食べたら治療院へ行って、13時半から1人サイクリングという時間がありますが?

田中:「基本的に友達と遊ぶ予定があまり入っていません。友達はいるけど自分からあまり誘わないのと、私が遊びすぎるのが得意じゃないというのを周りも知っているので、オフの日は一人が多いです。

でも、このまま治療院行って帰るだけではなぁ……と思う時に、化粧をしっかりして電動自転車に乗って草津の方まで行ったりしています。2ヶ月に1回くらいあります」

――サイクリング以外の時は何をしてるんですか?

撮影:Hideyuki Gomibuchi

田中:「友達と出かけているか、お菓子を作ったりしています。作るの割と好きで、わらびもちとか作ります」

――スーパーに寄って帰宅したら16時半からゴロゴロタイム。ここはオンの日と同じような過ごし方ですか?

田中:「寝てることもありますし、宝塚のDVDを観たりします。YouTubeでスーザン・ボイルさんが発掘されたオーディション番組(ゴット・タレント)を見るのも好きです。YouTubeは幅広く見ますね」

――夕食、お風呂、ストレッチと続いて、もう一度ゴロゴロタイムがありますね。

田中:「休みの日は時間がありお風呂が前倒しなので、理性があるうちにストレッチをして、あとはベッドに転がります」

――ゴロゴロしながらそのまま寝ちゃう……?

田中:「いえ。寝る時は睡眠アプリをオンにして寝ます(笑)

――そこはしっかりしてるんですね。

タイムスケジュールを前日に書く日もある

――スケジュール管理で意識してることはありますか?

田中:「オフの日はノンストレスで人と遊べれば。でも、あまり堕落してはいけないと思っていて、4回に1回くらいはタイムスケジュールを前日に書きます。やらなくちゃいけない課題があった場合はやることリストを作っています

――自分に対して厳しいですか? ゆるいですか?

田中:「ゆるいと思ってるんですが、食生活と一緒で私の当たり前にすること(外食をあまりしない等)が、みんなには頑張ってすることなんだな……って思います。頑張ってないです、何も」

自分の性格を「二重人格です!」と表現する田中選手。陸上に関する面と日常生活に関する面で性格が違うと自己分析する。

陸上はマイペースで恐れ知らず、一方の日常生活は対人関係にコンプレックスがあると苦笑する。性格に対する評価を怖がり、自信もなく一人反省会もよくするそうだ。

ありがちな女子大生のイメージとはちょっと違う面も持つ田中選手。だがオンオフを上手に使い分け、学生生活を楽しんでいる。

選手プロフィール

田中佑美(たなか ゆみ)ツイッター

  • 1998年12月15日生まれ、大阪府出身
  • 立命館大学経済学部4回生、女子陸上競技部所属(専門は100mハードル)
  • 宝塚歌劇団が好き
  • 座右の銘は「継続」
  • ルーティン、ジンクスは作らないようにしている。理由は「できなかった時に辛いため」

※取材時期は3月中旬

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