今季、ブレークを果たした選手のひとりが吉澤柚月である。5月に開催された「リゾートトラスト レディス」では優勝争いを演じ、プレーオフに進出。惜しくも敗れて2位に終わったものの、初優勝が近いことを感じさせる戦いぶりだった。
そして、待望の瞬間は今月開催された「北海道meijiカップ」で訪れた。初日を首位と1打差の5位タイでスタートすると、2日目に首位タイへ浮上。最終日もスコアをまとめ、2位に2打差をつけてツアー初優勝を飾った。
ルーキーイヤーの2024年は19試合に出場し、予選通過はわずか1回だった。しかし、25年は23試合に出場して13回予選を通過。ポイントランキングは70位でシード権獲得には届かなかったものの、着実な成長を感じさせていた。
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そして今季は、開幕戦から13試合連続で予選を通過。今季現時点(8月24日時点)では17試合に出場して15回予選を通過し、そのうち5回でトップ10入りを果たしている。ポイントランキングは11位だ。
吉澤の一番の強みはパットだが、ショットの精度も高く、昨季からさらにレベルアップしていることがうかがえる。そのスイングを見ると、まず目に留まるのがコンパクトなトップ・オブ・スイングである。ただし、単にトップが“小さい”わけではない。
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■コンパクトなトップ・オブ・スイング
平均ストローク3位、平均バーディー数2位という数字からもわかるように、現在の吉澤のプレーにはツアートップレベルの安定感がある。
今季のショット関連のスタッツを見ると、パーオン率26位、トータルドライビング33位、ボールストライキング30位。昨季はそれぞれ42位、38位、37位だったことを考えると、ショット力が全体的に底上げされていることがわかる。
吉澤のスイングの特徴は、コンパクトなトップである。
一般的には、トップ・オブ・スイングではシャフトが地面と平行になる位置がひとつの目安とされることがある。しかし吉澤の場合、そのトップの位置が、ドライバーショットでもシャフトが地面と平行になる位置より、かなり手前である。
スイング全体のバランスも良く、アマチュアゴルファーにとって参考にしやすいように見える。ただし、ここで注意したいことがある。それは、単純にクラブを上げる量を少なくすればいいわけではないという点である。
重要なのは、体をしっかり回した上で、クラブの位置をコンパクトにすること。
同じようなトップの位置でも、腕や手だけでクラブを持ち上げて作ったものと、体の回転と腕の動きが同調した結果として作られたものとでは、その後の動きは大きく異なる。
後者であれば、切り返し以降も下半身、上半身、腕、クラブという流れを連動させやすくなる。吉澤のスイングは、体と腕が同調したバックスイングだからこそ、コンパクトなトップからスムーズにダウンスイングできているのである。
コンパクトなトップを参考にするのであれば、「トップを小さくする」のではなく、「体を回しながら、腕やクラブを必要以上に動かさない」と考えた方がいいだろう。

吉澤柚月のスタッツ(8月24日時点)作成:SPREAD編集部
■予選ラウンドと決勝ラウンドの差
初優勝を果たした吉澤が、2勝目、さらにはポイントランキング上位を目指していく上で、ひとつのポイントになるのが決勝ラウンドでのプレーかもしれない。
今季の平均ストロークは、予選ラウンドが2位なのに対し、決勝ラウンドは39位となっている。
予選ラウンドを上位で終える機会が増えれば、当然ながら決勝ラウンドでは優勝を意識する場面も増える。その時にプレーが慎重になったり、体の動きがかたくなったりする可能性は考えられる。
興味深いのは、昨季は逆の傾向が見られたことである。予選ラウンドの平均ストロークは50位だった一方、決勝ラウンドは9位だった。
予選通過そのものが簡単ではなかった昨季は、決勝ラウンドへ進んだ時点で、少しでも多くのポイントを獲得するために積極的なプレーをしやすかったのかもしれない。
今季の残りの大会では、決勝ラウンドで昨季のような攻める姿勢を保てるようになれば、優勝争いに加わる回数はさらに増えていくのではないだろうか。
上位争いの経験を積み重ね、優勝を意識する状況でも普段通りのプレーができるようになれば、コンパクトで再現性の高いスイングの利点もさらに生きてくる。吉澤の決勝ラウンドでのプレーに変化は見られるのか、注目したい。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。




