クラッシュドアイスの第一人者、山本純子…自国開催の大会に向け、想いを熱く語る

アイスホッケー、ダウンヒルスキー、スノーボードクロスの要素を取り入れたアイスクロスダウンヒル競技「レッドブル・クラッシュドアイス」。

その第一人者が日本にもいる。しかも一見おしとやかに見える女性選手。すでに10年のキャリアになろうという山本純子選手だ。

山本純子 撮影=山口和幸

山本選手はアイスホッケー出身。北海道の苫小牧ケーブルテレビに勤務しながら、世界各地を転戦している。2010年に国内で開催されたクラッシュドアイス日本代表選考会で優勝し、本大会に派遣されたのがすべてのはじまりだった。

山本純子とクラッシュドアイスのこれまで

クラッシュドアイスは、アイスホッケーのプロテクターをつけた選⼿が最⾼時速80kmのスピードで滑り降りる競技。街中に設置された⾼低差がある最⻑600mの氷の特設コースを⼀⻫に駆ける。

レースは1ヒート4選手で⾏われる勝ち抜き戦。決勝進出の4選手が優勝を争う形だ。コース途中に設置されたヘアピンカーブやバンクコーナー、連続バンプや段差などの障害物をかわしながらゴールを目指す。

記者発表会場に設営された仮設リンクでスケート走行を見せる山本純子 撮影=山口和幸

世界各国でこれまで49⼤会が開催された。山本選手は「これまで参加したのは15大会かな」と記憶の中でその数を数える。慣れない海外遠征は、常連選手らと助け合いながら宿舎をシェアしたりするなどで活動していった。

当初は北米のアイスホッケー選手ばかりだったが、次第に欧州勢がこのスポーツを知るようになり、フィギュアスケートやスピードスケート・ショートトラックの冬季五輪代表選手も参戦するほどになった。

そして、2018年12月7日、横浜市の臨港パークで、2018-2019シーズンの開幕戦が開催される。しかも今回は、記念すべき50回⽬の⼤会だ。

⽇本初開催であることはもちろん、アジアでも初めてのイベントとなる。山本選手にとって宿願の開催であることはいうまでもない。そのため夏場のオフシーズンも厳しいトレーニングをこなしてきた。

すべてはスケーティング向上のために

どこの国にもクラッシュドアイスのコースとなるような氷のダウンヒル常設コースはないので、なかなか専門的なトレーニングはできない。だから「参戦するのがいちばん練習になる」と、2018年2月のカナダ・エドモントン大会で山本選手自らが口にした。ダウンヒルスキーやウォータージャンプの練習を取り入れたことがあったという。

レッドブル・クラッシュドアイス横浜大会への意気込みを見せた(左から)大会ディレクターのクリスチャン・パピヨン、安床エイト、山本純子、佐藤つば冴、安床武士、大会アンバサダーの武井荘 撮影=山口和幸

エドモントン大会には、インライスケートの世界チャンピオンである「安床ブラザーズ」が初参戦してきた。それを一目見た山本選手がインラインスケートの重要性に気づかないわけはなかった。

「クラッシュドアイスって滑るっていうよりも飛んでいくって感覚なんです。ストレートが少ないので氷上のスケーティングよりも、多様な要素が加わったインラインスケートで修得できる技術のほうが大切。それに気づいた

現在は週4日を氷上練習に、2日をインラインスケート練習に充てる。そうすると不思議なことに、力むことがなくなってスケーティングが次第にうまくなっていく。

「日本にはインラインスケートの世界チャンピオンがいたんです。私は疑問に思ったことはどんどん質問しちゃうんですが、安床さんはそれに対してきちんと答えてくれる。例えば目線の置きどころ。あんまり遠くを見るんじゃなくて、着地するところを見ようよ、とか。さすがだなあと思った」

難しさもあるけど、楽しさもあるのがクラッシュドアイスだという。選手はレースに真剣にのめり込むあまり、接触などなにが起こるか分からない。山本選手自身はこれまで、慎重になりすぎて後悔したり、飛ばしすぎて転倒したり。試行錯誤しながらここまできたという。

「だから日本大会では一番いい走りがしたい」

レッドブル・クラッシュドアイス横浜大会の記者発表が10月18日、都内の室内アミューズメントパークで行われた。横浜のコースが発表されたのはそのタイミングだ。

「まだ細かいところは見ていませんが、やはりスタートダッシュでどれだけスピードに乗れるか、それを殺さないようにセクションをこなしていけるかがポイントのような気がします。でもやはり1番大切なのはスタートです。本大会のコースができあがって、限られた練習でその攻略方法を見つけたいです」

自国開催の先に目指すもの

自国開催の大会に臨むにあたって、自信は80%という。

日本の第一人者、山本純子が初開催となる日本大会への意気込みを語った 撮影=山口和幸

「今までで一番いい練習ができているし、これからシーズンに入る段階で80%まで仕上げられているから。安床さんにインラインスケートにおいてアドバイスをもらっていることも強みです。」

「大会当日はさらに応援してくれる人のパワーをもらって頑張りたい。日本が開幕戦となることで、しかもアジア初大会だから海外選手も力を入れてきます。日本のみなさんも会場に足を運んでいただき、トップ選手の走りを見てほしいです」

同大会は冬季オリンピックの正式種目採用を視野に入れて活動中で、各国の関連団体から好感触を得ているという。山本選手自身も今後は日本の若手選手育成や、アジア圏の選手層拡大を目指した活動も積極的にこなしていきたいそうだ。

「日本大会への出場を目指す練習会でも、初参加の大学生などが練習ごとにすごく成長していくなど、期待できる選手がたくさんいます。今回の横浜大会に出て、このスポーツにハマった選手がその次の世界につなげていってくれれば。私も若い選手と一緒に頑張っていきたいと思います」

≪山口和幸≫

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