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【記者ブログ】羽生結弦と、サッカー漫画「アオアシ」から見る究極のスポーツ上達法

【記者ブログ】羽生結弦と、サッカー漫画「アオアシ」から見る究極のスポーツ上達法
羽生結弦 (c)Getty Images

66年ぶりのオリンピック2連覇を達成したフィギュアスケートの羽生結弦。3ヶ月前に大怪我を負ったものの、復帰戦となった平昌オリンピックのSPで111.68点と高得点でトップに輝いた。

数多のメディアが羽生の活躍を連日報じたが、私はその中でも朝日新聞の2月17日朝刊、『復活、羽生首位 ミスを語り修正に生かす』という記事が特に印象に残っている。

右足首を痛めてから2ヶ月間もの間氷上で滑ることのできなかった羽生。直前練習でもジャンプは不安定だったという。しかし、それを完全な状態まで修正できたのには理由があった。それは、羽生は「自分の精神状態や体の動きを、言葉で的確に言い表せる」からだ。

「自分の精神状態や体の動きを、言葉で的確に言い表せる」理由

その根拠として、羽生が取り組んでいる行動2つが記事中では挙げられている。

「羽生の言葉を借りれば、『最大公約数』を『連想ゲーム』のように、小学2年のころからつけ始めた「研究ノート」に記録する。つまり、成功や失敗した時に体の各部分がどう動いていたのかを整理し、共通点を書き出すのだ。そして、ジャンプ成功のための『絶対に見つけなきゃいけないポイント』を絞っていく」

「(自分の言葉が書かれた)記事を読み返すと、自分の考えを思い返せる。それは財産であり、研究材料。だから、しゃべる」

 

つまるは、自身の最高の状態を「言語化」できる仕組みを整えているからこそ、羽生は怪我でブランクがあってもオリンピック本番で最高の演技を「再現」できたのだ。

自身の成功したプレーを言語化、再現できるのであれば、直前に何度も練習し感覚で調整する必要など、最悪「ない」のかもしれない。

羽生結弦 参考画像(2015年12月26日)
(c) Getty Images

サッカー漫画「アオアシ」も、やはり「言語化」の重要性に着目

この記事を読んで、私はあるサッカー漫画を思い出した。ビッグコミックスピリッツで連載中のサッカー漫画、『アオアシ』(小林有吾)だ。愛媛県の弱小サッカー部に所属していた中学生が、東京に上京しプロサッカー選手を目指す物語。

この漫画を読み進めるにあたって痛感させられたのは、サッカーが上手くなるために必要なのは、やはり自身の考えや行動を「言語化すること」なのだということだ。

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才能はあるものの、感覚ばかりに頼ってプレーをしていた主人公は、ユースチームに入団したあと壁にぶつかり、チームのお荷物扱いに。それも、自身のプレーが言語化できず、再現できていなかったからだ。のち、言語化を意識することによって、主人公は飛躍的な成長を遂げていく。

私は、大学に入学するまでサッカーを続けていたが、まさにこの主人公のように「感覚派」のプレーヤーで、伸び悩んだ。足だけは速かったのでなんとか誤魔化せてしまい、試合には出場させてもらうことができたが、もっと上のレベルでプレーしていたら到底太刀打ちできなかっただろう。当時、この漫画に出会っていたら何かが変わっていたのではないか…。と悔やんでいる。

羽生は、これを地で行っている。スポーツにおいて、自身の考えや行動を「言語化」した究極の姿とも言えるかもしれない。スポーツ上達の真髄とは、「意図的にメディアを利用し、心技体の感覚を言語化して再現」できるようになることなのではないだろうかと、羽生の記事と、『アオアシ』を読んでいて思った。

引用『朝日新聞』2018.2.17朝刊

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