ナ・リーグ東地区のアトランタ・ブレーブスは22日(日本時間23日)現在、レギュラーシーズン154試合を消化し99勝55敗。地区優勝を果たし、ポストシーズンに向けて着々と準備を固めている。
個人タイトル争いにも注目が集まるなか、開幕からリードオフを務めるロナルド・アクーニャJr.が歴史的な活躍。この日は今季40号本塁打を放ち、史上5人目の「40本塁打40盗塁」に到達した。今季すでに68盗塁をマークしており、前人未到の大記録「40本塁打70盗塁」にも、あと2盗塁に迫っている。
◆「53本塁打132打点」オルソンでも届かぬMVP…アクーニャJr.40号で「40-70」まであと2盗塁
■70盗塁目前も…走力は故障以前の水準に及ばず
アクーニャJr.は今季、1番打者として152試合に出場。打率.337、40本塁打、101打点、68盗塁。30本塁打が5人のリーグ最強アトランタ打線で不動のリードオフを務めている。ここでは、MLB公式『Baseball Savant』のデータを元に、アクーニャJr.の圧倒的なポテンシャルを紐解いてみたい。
平均打球速度:94.6マイル(MLB全体2位)
アスリート体型のアクーニャJr.だが、メジャー最高クラスのパワーも持ち合わせている。
22日(同23日)現在、平均打球速度94.6マイル(約152キロ)はアーロン・ジャッジの97.1マイル(約156キロ)に次いでMLB全体2位。打球速度が上がりやすいプルヒッターのジャッジに対し、アクーニャJr.はセンター返し中心の打撃であることを考慮すると、メジャーナンバーワンクラスと言っても差し支えないだろう。その証拠に、アクーニャJr.は今季の打球速度最速となる121.2マイル(約195キロ)をマーク。120マイルを超えたのは、アクーニャJr.のみというから驚きだ。
三振率:11.2%(MLB全体6位)
強打者とは切っても切れないのが三振だが、アクーニャJr.の真骨頂はここにある。
今季40本塁打をマークしながら、打率.337でナ・リーグ2位にランクイン。三振率11.2%は全体6位の少なさで、現在80三振。「40本塁打以上を記録し90三振以内」でシーズンを終えれば、バリー・ボンズやアルバート・プホルスら、過去20年間でわずか3人しか達成していない記録にも名を連ねる。
スプリントスピード:28.0フィート(MLB全体182位)
選手が1秒間に走った距離を計測した指標「スプリントスピード」。
盗塁に大きな注目が集まるアクーニャJr.だが、意外にも走力指標は控えめ。今季の秒速28.0フィート(約8.53メートル)は、メジャー全体で182位タイ。上位24%に留まっている。右膝前十字靱帯を断裂した2021年には、上位4%に位置する秒速29.2フィート(約8.9メートル)をマークしており、未だ完全復活には至っていない。負荷軽減で緩急をつけている可能性はあるが、当時に比べて一塁までのタイムが0.1秒ほど遅くなっている。
データ解析が進み、かつては主観で語られていた能力がひとつひとつ可視化される時代となった。圧倒的なパフォーマンスを見せるアクーニャJr.にも、まだまだ伸びしろがあることがわかる。故障以前の走力を取り戻した時、さらに歴史的な記録を樹立する可能性すら秘めているのだ。
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文●有賀博之(SPREAD編集部)