大迫傑、悔しさをプラスに変えて日本記録更新 ライバルたちとの激闘は「今後も含めて価値のあること」

撮影:山口和幸

大迫傑選手(ナイキ)が3月1日に行われた『東京マラソン2020』で、自らが持つ日本記録を21秒更新。2時間05分29秒で日本勢トップとなる4位でゴールした。

3月8日に開催される『びわ湖毎日マラソン』でこの記録をさらに上回る選手がいなければ、大迫選手が東京五輪男子マラソン代表に内定する

3位に終わったMGCでの悔しさを「プラスに」

2019年9月15日に行われた『マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)』で大迫選手は3位に終わった。富士通の中村匠吾選手が優勝。トヨタ自動車の服部勇馬選手が大迫選手を振り切って2位となり、3枠ある2020東京五輪のマラソン日本代表の座をつかんだ。

東京マラソン2020など3大会が指定された『MGCファイナルチャレンジ』では、大迫選手が持っていた当時の日本記録を1秒上回る2時間05分49秒よりも早くゴールした選手が五輪代表の最後のキップを獲得する。それを上回る選手が出現しなかったらMGC3位の大迫選手が代表に。

そのまま他選手の『MGCファイナルチャレンジ』の結果を待つことも選択肢だったが、大迫選手はあえて東京マラソン出場に踏み切った。MGCの悔しさを晴らしたかったからだ。

「MGCで2番なら五輪に内定していた。もちろん悔しかったが、いい経験になったと自分に言い聞かせました。僕自身にとって悔しさっていうのはプラスになるんです。まずはしっかりと東京マラソンで代表の座を勝ち取ることが大事だった」

決戦2日前の記者会見で大迫選手はこう語った。

撮影:山口和幸

失敗から学んだ冷静さ 一度離されても「自分のリズムで」

そして運命の東京マラソン当日を迎える。最大のライバルは1学年下、32年ぶりに日本勢としてアジア競技大会を制した井上大仁選手(MHPS)だ。

ここ数日に比べると少し気温が高かったが、冷たい北風が吹いていた。そんな条件の中でレースが始まると、まずは海外勢が第1集団を形成し、これに大迫選手と井上選手が加わった。

設楽悠太選手(Honda)は不調で、序盤から第2集団で精彩を欠いた。「三強」と言われた1人が五輪代表争いから消えた。

設楽悠太選手 撮影:山口和幸

前半戦は井上選手が余裕のある表情。MGCで最下位だった悔しさから立ち直り、2時間02分台を持っている海外選手らと同格の走りを見せていた。一方の大迫選手は最初の2つのスペシャルドリンクを取り逃していた。

22km地点で第1集団が崩れ、ここで大迫選手が遅れた。

「前の選手から遅れたときも、いかにリラックスして自分のペースを取り戻すか自分のリズムをもう一回立て直すかという感じでした。あんまり記録というのは考えていなかった」と、このときの心境を大迫選手はゴール後に語っている。

「離れたときにもう一回追いつくぞという気持ちより、一回離れてもいいからちょっと休んで自分のリズムで、という感じでした」

結果的に大迫選手は井上選手らの集団に追いつくことができた。

井上大仁選手 撮影:山口和幸

他選手の激しいマークに遭って、脚を使ってしまったMGCとの違いがそこにある。もちろんどちらもきつかったという。MGCも頑張ったが、今回も頑張った。最終的に日本記録がついてきたのはMGCの失敗から学んだ冷静さだった。

今回はペースが速かったので、比較的後方に位置して見られたのが大きかった


この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします