【スーパーGT】ほころびたミシュラン神話 真夏の大会から見えてくるタイヤウォーズ 第4戦考察

写真は2014年の10月5日、SUPER GT第7戦から (C)Getty Images

コロナ禍前の2019年までは、スーパーGT開催時期と開催サーキットが毎年ほぼ揃っていた。それが昨季、今季はイレギュラーなスケジュールとなり、チームを困惑させている。

だが観る側としては、むしろ楽しみ。今週末に開催されたツインリンクもてぎの第4戦も、その要素が満載だった。

■出遅れたニッサン勢の挽回を予想

もてぎでの開催は例年11月だが今回は真夏の7月、通常250kmのレース距離が今回は300km、第3戦が延期となり2ヵ月以上のインターバル、この3つのイレギュラー要素が重なった。そんな中、GT500クラスで注目したのが、開幕2戦で不調を晒したニッサン勢だ。

今季はここまでホンダトヨタに全く歯が立たない。取材を始めた2000年代はニッサン勢の強さが光っていただけに、信じられない光景である。エースチームのニスモは何と、15チーム中唯一のノーポイントで最下位に甘んじている。

梅雨明け直後の土曜日、もてぎは予想通り真夏の暑さとなった。そこで期待したのが、過去暑さが増せば増すほど高いパフォーマンスを発揮してきたミシュランタイヤ

GT500クラスでは、ニッサン勢の23号車ニスモGT-Rとニスモのセカンドチームである3号車クラフトスポーツGT-Rの2台がミシュランユーザーだ。10分間の予選での一発に加え300kmに距離が伸びたレース、いずれも今回は一日の長があると予想していた。

さらに2ヵ月のインターバルはマシン開発の出遅れを取り戻すために、ニッサン勢にとっては有り難かったはずだ。

■”真夏のミシュラン劇場”は観られず

こうして迎えた土曜日、朝のフリー走行でトップタイムをマークしたのは3号車クラフトスポーツGT-Rだった。「予想は的中した」と思った。3号車側に話を聞くとやはり、2ヵ月の間じっくりと今回の持ち込みセットアップを煮詰めてきて、その結果走り出しから好感触だったとのこと。

ところが午後の予選では3号車もさらにタイムをつめたものの、ホンダ勢、トヨタ勢の伸び代の方が遥か上。結果的にミシュランユーザーの2台はトップに大差をつけられることに。

予選以上に暑くなった翌日の決勝でも、7位スタートからひとつ順位を上げフィニッシュした3号車は安定したラップを刻んでいたが、オーバーテイクが難しいコース特性のもてぎということもあり、かつて観てきた“真夏のミシュラン劇場”は展開されなかった。

それはおそらく、ミシュランタイヤがハズレだったということではない。ドライバーからも“驚いた”といった言葉を複数聞いた。これは、15台中9台と圧倒的なシェアを誇るブリヂストンだけでなく、こうしたイレギュラーに比較的弱かったヨコハマダンロップのパフォーマンスが予想以上だったのだ。

夏場はミシュランに叶わない……だが、そのままでは済まされない。タイヤウォーズと呼ばれる通り、スーパーGTではタイヤメーカーもライバルたちに打ち勝つために日々、開発に尽力している。

■スーパーGTだけの組み合わせ

それでもミシュランユーザーの、とあるドライバーは、それでも夏場のミシュランタイヤの安定ぶりを信頼しているという。今回は結果が出なかったが、延期となった鈴鹿大会が8月にスケジューリングされたことで今季もうひとつ加わった“真夏の大会”に期待してほしいと語っていた。

マルチメイクであるのに3種類のマシンしか参戦していないGT500クラスだが、タイヤメーカーは4メーカーで、クルマメーカーとの組み合わせは一律ではない。もちろんドライバーも違う。だから予想が難しい。こうしたカテゴリーは今、スーパーGTしかない。

レース展開事前予想が毎回当たらないことを筆者は決して、恥ずかしいことだとは思っていない。その方がレースは確実に面白い。

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター
2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。


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