9月、新生サッカー日本代表・森保ジャパンのメンバーが発表された。
注目が集まったのは、先日のFIFAワールドカップロシア大会で代表引退を宣言した長谷部誠選手の後任キャプテンだ。吉田麻也選手や柴崎岳選手、槙野智章選手などを予想する声が多かったが、サンフレッチェ広島の青山敏弘選手がキャプテンに選ばれた。長谷部選手からは、背番号17も受け継ぐことになる。
長谷部選手から青山選手へ。新主将が担う「キャプテンの役目」は、今までと少し違うものになりそうだ。
強力なリーダーシップで歴代監督に支持された長谷部誠
長谷部選手は、2002年に藤枝東高校から浦和レッズへ入団した。2008年にドイツ・ブンデスリーガのVflヴォルフスブルクに移籍すると、1.FCニュルンベルクやアイントラハト・フランクフルトでも活躍。
2010年の南アフリカW杯からは日本代表のキャプテンを務め、2018年のロシアW杯まで3大会連続でチームを引っ張り続けた。
長谷部選手といえば、MFとしてのプレーはもちろん、強力なリーダーシップも印象的だ。日本代表は南アフリカW杯以降5人の監督が就任しているが、いずれもキャプテンに指名したのは長谷部選手だった。
元代表監督のザッケローニさんは長谷部選手について「本物のキャプテンと呼べるのはパオロ・マルディーニ(「ミランの象徴」と呼ばれるACミランの元キャプテン)と長谷部だけ」と語っている。
長谷部選手を日本代表のキャプテンに初めて選んだのは、当時代表監督だった岡田武史さんだ。当時の日本代表は、川口能活選手や中村俊輔選手など実績豊富なベテランが揃っていた。そんな中、岡田さんは当時26歳の長谷部選手をキャプテンに抜擢している。
岡田さんといえば、日本のサッカーを創世記から見届けてきたサッカー界の重鎮。その岡田さんが若い長谷部さんを抜擢したことには、将来的に日本代表のキャプテンを長く務めるだけのポテンシャルがあると見極めたからかもしれない。
主な歴代の サッカー日本代表キャプテン | キャプテンを 務めた期間 |
---|---|
長谷部誠 | 2010~2018年 |
中澤佑二 | 2008~2010年 |
川口能活 | 2006~2008年 |
宮本恒靖 | 2004~2006年 |
中田英寿 | 2002~2004年 |
井原正巳 | 1996~1999年 |
釜本邦茂 | 1975~1977年 |
歴代のサッカー日本代表キャプテン。錚々たるメンツが並ぶ中、歴史の生き証人たる岡田さんは長谷部選手を指名した。
日本代表は、ロシアW杯で過去最高記録となるベスト8を寸前で逃した。次回大会である2022年のカタールW杯は何としてもあと一歩に迫った壁を乗り越えたいところ。長谷部選手にとっても、志半ばで身を引いた夢は、後任キャプテンに叶えてもらいたいと思っているだろう。
青山敏弘は人柄と「繋ぎ役」で貢献するキャプテン
長谷部選手からキャプテンと背番号17を引き継いだ青山選手は、2004年にサンフレッチェ広島へ入団してプロキャリアをスタート。2014年からは佐藤寿人選手に代わりキャプテンを引き継いでいる。
日本代表には、2011年に初選出され、2014年のブラジルW杯ではグループリーグのコロンビア戦で初出場を果たしている。
2015年を境に代表に招集される機会がなかったため、今回は実に3年ぶりの代表入りとなった。
青山選手の日本代表選出は、今回就任した森保一監督の意向が大きい。
森保監督は2012年から2017年までサンフレッチェ広島の監督を務め、リーグ戦で3度の優勝を果たした。青山選手を最も間近で見てきた指揮官のひとりといえる。
ACLグループステージ第3戦vs.ブリーラム・ユナイテッドの試合前日会見が行われ、森保一監督と青山敏弘選手が出席。「今までやってきたことに自信を持って試合に臨み、勝ちたい」(青山選手)と意気込みを語りました! #sanfrecce pic.twitter.com/CMc7CKqXby
— サンフレッチェ広島 公式 (@sanfrecce_SFC) 2016年3月15日
森保監督は青山選手の実力を高く評価しており、日本代表でも活躍を期待する形でキャプテンに選出した形だ。
前任の日本代表キャプテンである長谷部選手が強力なリーダーシップを武器に歴代監督の支持を集めたのに対し、森保監督が青山選手に期待するのは、その人柄だ。
森保監督は、青山選手を評し「自分の姿でチームを引っ張れる存在」と語っている。ストイックにサッカーと向き合う姿が、チームに好影響を与えると考えているようだ。
当の青山選手も、森保監督が自分を選出したことをふまえ、以下のようにコメントしている。
時間は短いですが、森保監督らしさは出ていると思いますし、それを表現できる選手が来ていると思っています。自分も森保監督だから呼ばれているという部分は大きいと思うので、そこはしっかり自覚しないといけないと思っていますし、自分にできることは、個人だけでなくチームのために、すべてぶつけて戦いたい。それが役割だと思っています。
青山選手は、自分の仕事について、選手たちと森保監督の橋渡しであるとも語った。長谷部選手とはまた違う目線で日本代表というチームを見渡し、貢献していると言えるだろう。
そんな青山選手だが、試合を離れると意外にもオチャメな性格だ。その様子はサンフレッチェ広島でチームメイトである原裕太郎選手のTwitterに詳しい。
青くんスタメン( ´ ▽ ` )ノ pic.twitter.com/HhSimkhxpY
— 原 裕太郎 (@harayutarosan) 2014年6月3日
青ちゃん。 pic.twitter.com/u5ful8Hp
— 原 裕太郎 (@harayutarosan) 2012年2月6日
ピッチ上で見せる真剣な姿と普段の姿のギャップが、チームメイトを惹き付ける魅力かもしれない。
キャプテンの受け継ぎにより、また新しい一面を見せようとしている日本代表。10月12日に開催されるパナマとの試合ではどんな戦いを見せてくれるのか、注目だ。