大谷翔平投手は、史上初となる2度目の満票MVPを受賞するなど、2023年シーズンも輝かしい成績を残した。MLB公式サイトのアンソニー・カストロビンス記者は27日(日本時間28日)、「オオタニがすでに殿堂入りしている理由がここにある」と題した記事を掲載。「21世紀の野球はオオタニ抜きでは語れない、彼はすでに殿堂入りしていると言える」と主張した。
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■直近3シーズンの活躍のみでも「殿堂入りにふさわしい」
まず大前提として、メジャーリーグの殿堂入りには、10シーズンの出場が条件となっており、大谷が正式に殿堂入りするためには、あと4シーズンの出場が必要となる。
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カストロビンス記者は「(2度目の手術を受けたオオタニが来季以降、)新契約の大半を故障者リストで過ごすことになったら?肘の故障でもう投げることができなかったら?彼のバットが平均的な成績しか残せなかったら?もし、この新契約がとんでもない大失敗だったら?結局のところ、球界ではこのようなことが起こるのだ」と、起こりえる懸念点を列挙。
その上で、「野球界のユニコーンであるという遺産は永遠に汚されるのだろうか。答えはノーだ。なぜならオオタニはすでに全米野球殿堂入りを果たすのに十分な結果を残しているからだ」と、万が一、来季からの成績が振るわないようなことがあったとしても、大谷は殿堂入りにふさわしいと説いた。
同記者はその理由のひとつに『成績』を上げた。打者としては、2021年以降で「OPS」はメジャー全体2位。そのほか本塁打数124、「OPS+」で161(メジャーの平均よりも61%優秀であるという指標)を記録。投手としては、2021年から23年にかけて、防御率2.84と、300イニング以上を投げた投手の中で6位。「ERA+」は151(メジャーの平均よりも51%優秀であるという指標)で5位、31.4%の奪三振割合は4位、14.2bWARは5位と、ひとりで2人分の働きをしていたにも関わらず、投打でメジャーの平均を大きく上回る活躍をした。
米データサイト『Baseball-Reference』によると、大谷の総合指標WAR(打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度)は2021年に9.0WAR、22年に9.6WAR、23年に10.0WARを記録。3シーズン連続で9以上のWARを記録した選手はベーブ・ルース、ボブ・ギブソン、レフティ・グローブ、ミッキー・マントル、ロジャー・ホーンスビー、ウィリー・メイズ、バリー・ボンズしかおらず、ドーピング問題を抱えるボンズ以外の全員が殿堂入り選手であることからも、説得力が増す。
2つ目は「野球のあり方を変えた」という点だ。キャンディ・カミングスは殿堂入りを果たした投手の中では統計的な実績はない選手だが、「カーブボールを発明した」という理由で殿堂入りしている。カストロビンス記者は「オオタ二のもたらす長期的な影響はまだ分からない」としつつ、「(影響の)一つは、MLBがオオタニのためにルールブックを書き換えなければならなかったこと。そして今季のドラフトでは20巡にわたって史上最多の8人の二刀流選手が指名されるという、新しいトレンドが生まれたこと」を挙げている。
最後の3つ目には、「太平洋に架かる野球界の架け橋を強化したこと」を挙げた。同記者は「イチローがそうであったように、オオタニはメジャーリーグのクラブに日本からの才能ある選手をより積極的にスカウトし、追い求めるように仕向けた」とし、「オオタニの活躍によって、疎外され、忘れ去られていた日系人野球のパイオニアの歴史への関心が高まっている」と、大谷の影響力による余波は、ほかの日本選手へも波及していると伝えた。
記事によると、昨年の大谷による経済効果は、日米合わせて3億3700万ドル(約501億円)に上る(関西大学の経済学者・宮本勝浩氏の発表)。大谷の移籍先はどこになるのか、2度目の手術がどの程度の影響を及ぼすのかはいまだ不明だが、大谷の影響力はこれまでの数々の偉業により支えられ続けることは間違いない。
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(A.Kudo/SPREAD編集部)