例年通り、開幕から熾烈な争いが繰り広げられているア・リーグ東地区。首位を走るのは8勝5敗のブルージェイズだが、2位のヤンキースも7勝5敗と肉薄。オリオールズは地区最下位(5勝8敗)だが、それでも首位とは3ゲーム差と混戦模様だ。
今回スポットライトを当てるのは、“魚雷バット”導入などにより打撃好調が報じられるヤンキース。フアン・ソト外野手が抜けた穴の影響を感じさせないが、ここまで期待以上のめざましい活躍をみせているのが若手のベン・ライス内野手だ。指名打者として出場を続けるライスは、ここまで(日本時間10日時点)11試合に出場、打率.306、本塁打3、打点4、OPS1.086と好調な数字を残している。
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■平均打球速度大幅アップに脚光
Ben Rice joins the home run party at Yankee Stadium! pic.twitter.com/PVZPwwG3sD
— MLB (@MLB) March 30, 2025
ライスの好調要因に関しては面白いデータがある。MLB公式サイトは先日、「The new-look swing behind Rice’s hot start(ライスの好調なスタートを支える新しいスイング)」と題して特集を組んだ。記事内では「この26歳は2024年から2025年にかけて打球速度が3.5マイル以上向上している」と報じている。実際に昨年のライスは平均打球速度が71.4マイルだったのに対して、今季は75.0マイルに大幅増。これにより、メジャーリーグトップクラスの打球速度になったというのだ。
さらに、記事では「ボールに力強く向きを変えられる新しいオープンバッティングスタンスを身につけた。2024年にはスタンスがわずかにオープンだったが、2025年には3倍以上オープンになっている」と、バッティングフォームの変化にも言及。昨年までは8度ほどのオープン割合だったが、今季は26度開いておりこのスタンスの変化がパワフルな打撃を助けているのではなさらいかと考察している。
A Ben Rice blast plates the first runs of the game 💪 pic.twitter.com/MH8pqj8kYZ
— MLB (@MLB) April 9, 2025
■好調ライスにとっての“伸びしろ”は
現時点で、各種指標でも軒並みトップクラスの数字で好調のライス。課題となり得るのが、確実性にあるかもしれない。ここまでWhiff%は「30.6」とスイングにおける空振り率が高くこのポイントだけが全体平均を下回っている。確実性の高い打撃になっていけば、より怖い打者となりヤンキース打線に欠かせないピースとなるだろう。
ライスに加え、今季はMVP獲得歴のあるベテランたちも奮闘中。春先に弱いとされるアーロン・ジャッジ外野手はすでに6本の本塁打を放つなど、今季はシーズンインからフルスロットル。また、今季から加入のポール・ゴールドシュミット内野手もクリーンナップに加えて1番打者として起用され、ここまで打率.383とチーム首位打者となっている。同じく今季から加入のコディ・ベリンジャー外野手は打率.206と元気がないが、彼が復調すればさらに恐ろしい打線になっていくだろう。
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