“飛距離1位”の記録を叩き出した、岩井明愛 国内ツアー7勝目を支えたダウンスイングの特徴

“飛距離1位”の記録を叩き出した、岩井明愛 国内ツアー7勝目を支えたダウンスイングの特徴
岩井明愛(C)Getty images

9日から静岡県の東名カントリークラブで開催された「スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント」で、ホンダ所属のホステスプロとして出場した岩井明愛が優勝。国内ツアー通算7勝目を挙げた。

米ツアーのルーキーイヤーだった昨季は1勝をあげたが、今季はここまで未勝利。それでも安定した成績を残し、ポイントランキングは昨季と同じ13位につけている。今季のメジャー大会「エビアン選手権」での優勝争いや、「ウォルマート NW アーカンソー選手権」で最終日に62をマークしての2位など、シーズン中盤からは印象的なプレーが増えている。高まる期待に応える形での優勝となったが、今大会だけでなく、今季の国内ツアーでのスタッツからも確かな進化がうかがえる。

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■ドライビングディスタンス1位、パーオン率5位

※規定ラウンド数に達していないため順位は「相当」 作成:SPREAD編集部

今大会で際立っていたのが飛距離である。ドライビングディスタンスは、2位のテレサ・ルーに11.5ヤード差をつけて1位となった。測定ホールのひとつである8番では、3ラウンド中2回、300ヤードを超え、平均飛距離も出場選手で唯一300ヤードを突破した。

打ち下ろしで飛距離が出やすいホールとはいえ、今季の国内ツアードライビングディスタンスで1位、2位につけている穴井詩とルーを凌駕する飛距離を見せていた。今季の国内ツアー出場は4試合で、規定ラウンド数には達していないものの、ドライビングディスタンス258.93ヤードは2位相当の数字である。国内ツアーを主戦場としていた頃の最高順位は2023年の5位。米ツアーでも昨季から同部門の順位を上げており、飛距離の水準がさらに高まっていると考えられる。

その飛距離は、パーオン率の高さにもつながっているようだ。今大会のパーオン率は5位。フェアウェイキープ率が45位だったにもかかわらず、パーオン率で上位に入った背景には、ドライバーの飛距離を生かしてグリーンを狙えていることがあるのではないだろうか。

■ダウンスイングで体が過度に右に傾かない

岩井のスイングを見ると、下半身の力を使いながら体の左サイドを鋭くターンさせている。その動きに伴い、右足のかかとも早い段階で浮き上がる。こうした動きはヘッドスピードを高める一方、腰が左に流れ過ぎたり、背骨の右傾きが大きくなったりして、スイングバランスを崩しやすくなる側面がある。バランスが崩れれば打点やフェース向きが不安定になり、ヘッドスピードを十分に飛距離へ結びつけることが難しくなる。

しかし、岩井はダウンスイングで背骨が過度に右へ傾くことなく、体の軸を大きく崩さずに鋭く回転している。この動きによって、高いヘッドスピードを生かせる打点やフェース向きを実現していると考えられる。

妹の千怜も含め、岩井姉妹はジュニア期からトレーニングにも力を入れてきた。ゴルフに専念する前には陸上競技などにも取り組んでおり、こうした経験も、高速で体を回転させながらバランスを維持できる身体能力の土台となっているのだろう。

■今季出場4試合すべてトップ10、パーオン率は1位相当

岩井は今季、出場した国内ツアー4試合すべてでトップ10入りを果たしている。国内ツアーを主戦場としていた2023年と24年も、出場試合の半分以上でトップ10入りしていたが、今季はさらに高い水準の成績を残している。

今季の国内ツアーでは、パーオン率は75%を超え、1位相当の数字となっている。1ラウンドあたりの平均パット数が18位相当で、もともとパーオン率の高い選手ではあったが、今季は高いショット力にパッティングがかみ合う場面が増えていることをうかがわせる。

22日からは韓国のパインビーチゴルフリンクスで開催される「BMW女子選手権」、29日からはマレーシアのクアラルンプールゴルフアンドカントリークラブで開催される「メイバンク選手権」、来月5日からは茨城県の太平洋クラブ美野里コースで開催される「TOTOジャパンクラシック」に出場する。

国内ツアーで見せた進化した飛距離と高いショット精度を武器に、米ツアーのアジアシリーズでも優勝争いに加わることを期待したい。

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■著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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