【競馬】マイルCS 1番人気10連敗中の背景から“穴馬”をあぶり出す

GI馬8頭が集結した今年のマイルCS。安田記念→スプリンターズSで“2階級制覇”の牝馬グランアレグリアを筆頭に、前走・毎日王冠で古馬を一蹴した昨年の2歳王者サリオス、前年のマイル王インディチャンプなど、各世代の名マイラーが顔を揃えた。

■1番人気10連敗のカラクリを紐解く

例年以上にハイレベルの戦いになりそうだが、マイルCSは1番人気不振のデータがある。過去10年、1番人気は【0-3-2-5】。最後に1番人気が制したのは、2009年のカンパニーまで遡ることになる。

しかも、この時の2着馬は14番人気のマイネルファルケで、3連単は10万6680円と跳ねた。一方、近年の優勝馬の中には、インディチャンプ(3番人気)、ミッキーアイル(3番人気)、モーリス(4番人気)と、1番人気を背負っても不思議ではない名マイラーがチラホラ。

つまり、「1番人気が受難のレース」と判断するのは早計で、「盲点が生まれやすいレース」と捉えるべきだろう。

2019年のインディチャンプは、春の安田記念を制した後、休み明けの毎日王冠で3着に敗れていた。一方、ダノンプレミアムは秋初戦の天皇賞・秋でアーモンドアイの2着と好走しており、本番で1番人気に支持されていたが、結果は2着。

2016年のミッキーアイルは、春の高松宮記念2着の後、スプリンターズSでも2着。久々のマイル戦ということもあり、本番は3番人気で迎えた。1番人気は前走スワンS1着のサトノアラジンだったが、結果5着。

2015年のモーリスは、春の安田記念1着以来のぶっつけ本番で4番人気。1番人気のイスラボニータ(結果3着)は前年の皐月賞馬で、この年は毎日王冠3着、天皇賞・秋3着と善戦を続けていた。また、前年のマイルCS2着で前走スワンS2着のフィエロ(結果2着)が2番人気、エプソムCと富士Sで連続2着のサトノアラジン(結果4着)が3番人気と、この年はいわゆる“善戦マン”が上位人気を占めていた。

これら過去の歴史から考察すると、近走で好走している馬が1番人気に支持され、逆に前哨戦での敗戦や休み明け、条件替わりといった臨戦過程が嫌われ、実績馬が人気を落としていたことが見て取れる。

■1番人気のグランアレグリアをどう見るか

今年の1番人気が予想されるグランアレグリアは、前走スプリンターズSからの参戦で2ハロン延長となるが、そもそもマイル実績は申し分なし。むしろ、春の高松宮記念2着や前走・スプリンターズSのレースぶりから、スプリント戦は忙しく、今回のマイル戦が適条件と言える。

また、今回と同じく阪神マイルの朝日杯FSでは3着に敗れているが、当時は“軽め”と言わざるを得ないポリトラックでの追い切りや、初めて厳しく競られるレースでの惜敗。本格化した今なら「信頼できる1番人気」と見ていい。

一方、2番人気が予想されるサリオスは、前走・毎日王冠が古馬相手に3馬身差の大楽勝。臨戦過程は申し分なく、2歳王者に輝いた阪神マイルの舞台なら実績としても十分だ。ただ、毎日王冠は一枚落ちのメンバー構成。前走から2キロ増の斤量56キロと不安要素はある。つまり狙いは、サリオスに先着できる可能性を秘めた馬だ。

■狙いは人気落ちの実績馬

まず、決して適距離ではない春2冠で、コントレイルの2着と健闘したサリオスにとって、マイル戦という適距離の舞台で同世代の3歳勢が先着できるイメージは持てない。

初の古馬相手となった富士Sで2着と順調に前哨戦をクリアしたNHKマイルC覇者ラウダシオンは、サリオスが相手では一枚落ちの感は否めず。昨年の2歳女王レシステンシアは、今の阪神芝では魅力的な逃げ馬ではあるが、上がりも求められる馬場コンディションだけに善戦までと見る。

3歳勢は未知の魅力で穴人気をしがちで、むしろ狙いは人気落ちの古馬勢。ここは過去の事例に倣って、臨戦過程から人気落ちの実績馬に照準を絞りたい。ピックアップしたいのは、マイルGI3勝のアドマイヤマーズ。“穴馬”というほどの存在ではないが、春の安田記念6着、前走・スワンS3着なら、人気落ちしてくるだろう。

安田記念は休み明けが響いたか見せ場なく沈んだが、前走スワンSは持ち前の粘り腰で復調の気配を見せた。得意の競るかたちに持ち込めば、馬券圏内に粘り込むシーンがあってもいい。

著者プロフィール

山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長
アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。

twitterアカウントはこちら⇒『SPREAD』編集長・山田

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