【ラグビー】3部構成の新リーグ概要が発表 現行トップリーグからの変更点とは?

(C)GettyImages

■ようやく発表されたラグビー新リーグ概要

海外のスター選手も参加するラグビー・トップリーグ2021は、計6チームから62人の感染者が出たため、16日に予定されていた開幕が延期となっていたが、日本ラグビーフットボール協会(以下、ラグビー協会)は22日、試合数を縮小した新日程で2月20日からスタートと発表した。

トップリーグの戦いも楽しみだが、2022年からスタートする新リーグも気になる。ラグビー協会の清宮克幸副会長が「プロリーグ構想」をブチ上げてから1年半、ようやくその概要が発表になった。いったい現行のトップリーグと何が違うのか、楽しみな点と心配な点を整理してみた。

■クラブチームと企業チームの“ハイブリッド型”

まず、目玉となるプロリーグ構想について考えてみよう。日本のラグビーは企業の社会人チームとして運営されてきた。つまり、選手たちの多くは企業の社員としてラグビーをしてきたわけだ。プロリーグ構想はこれを改め、選手はもちろん、チームの完全プロ化を目標に据えた。

ラグビー協会は2040年までにもう一度日本でワールドカップを開催し、そこで優勝するという壮大な計画を掲げている。そのためには、南半球や欧州に対抗できるプロチームによる選手育成が欠かせないというわけだ。

チームをプロ化するためには、チーム自体が事業機能を持つことが求められる。そのためにはホームスタジアムを運営し、ファンクラブを充実させてチケット販売やグッズ販売などで採算を取らなくてはいけない。

しかし、いくらラグビー人気が高まったとはいえ、プロ野球やJリーグと同じようにできるだろうか? 素人考えでも難しいように感じる。結論から言えば、25チームすべての賛同を得ることはできなかった。妥協案として先日、発表されたのがクラブチームと企業チームの“ハイブリッド型”であった。

■地域に密着し、ホームスタジアムを運営する

ようするに初年度の完全プロ化は断念したわけだが、将来に向けての前進もあった。新リーグに加盟するには1万5000人以上を収容するホームスタジアムを持つことが条件となり、各チームがそれを承諾した。

さらに、ホームエリアと密着した運営のために、チーム名称に地域名を入れることも義務づけられた(企業名を残すかどうかは任意)。たとえば、「パナソニック ワイルドナイツ」なら、「熊谷ワイルドナイツ」、または「パナソニック ワイルドナイツ熊谷」などとなる。

確かに、海外のクラブチームは、ほとんどが地域名をチーム名に取り入れている。サッカーJ1も同様だ。フランチャイズを持つことが成功のカギとなるのはうなずける。

■1部の12チームに入れば将来は明るい

現行はトップリーグ、トップチャレンジリーグの2部制だが、新リーグでは3部制となる。チーム数の内訳が注目されていたが、結論は1部12チーム、2部7チーム、3部6チームとなった。

1部のチームが多ければレベルアップを計れるという一方、実力伯仲の8チームのほうが面白い、という意見もある。確かにスーパーラグビーのニュージーランド・カンファレンスはたった5チームだが、どの試合も接戦でスリリングだ。

1部に所属すればテレビ放映契約も期待できるし、メディアに取り上げられる機会も増える。自然とファン獲得も容易になるだろう。

さらに1部で上位になると、海外チームと交流試合ができるという“特典”も発表された。国境を越えるという意味で、クロスボーダーマッチと呼ぶそうだ。将来、南半球、欧州のクラブチームを招いたカップ戦が実現すれば画期的だ。これは価値がある。

逆に3部チームは年間10試合しか組まれないケースもあり、プロ化どころか尻つぼみになる恐れもある。新リーグの不安点といえるだろう。

■ディビジョン分けの基準は?

現行のトップリーグは16チームが参加している。どのチームが1部12チームに残れるのだろうか? 当然ながら、2月に開幕するトップリーグ2021の成績を基本とし、事業運営力(ファンクラブの会員獲得状況やSNSの発信状況など)も加味されるという。

万が一、コロナの影響などでリーグ戦が不成立、順位が確定しなかったらどうなるのか? 昨シーズンは不成立、2019年もワールドカップが実施されたことから期間短縮しての開催であった。こういった事情により、2018年以前の5年間の成績を参考に決定するという。

1部に入れるかどうかは死活問題なのに、そんなに以前の成績で決めて不満は出ないのだろうか? ラグビー協会としては、何がなんでも今シーズンの順位を確定させたいというのが本音だろう。

■2023年W杯に向けて新リーグの責任は重い

こんなアイデアも出ている。リーグ戦開催中の代表試合に選手を出したときはボーナスポイントを付加する。面白い試合をしたチームにはボーナスポイントを付加する……いったい「面白い試合って何だ?」ということになるが、いろいろなアイデアを検討するのはいいことだ。

個人的には早くリーグ名を公表してほしい。「新リーグの1部」などと呼んでいるうちは、親近感も沸かないし興味も深まらない。この点についてラグビー協会は、1~3部の振り分けが決定した6月に、(大々的に?)発表するとしている。

ケチをつけたくなる部分もあるが、ラグビーファンとしてはエキサイティングなリーグになることを期待するばかりだ。サンウルブズの活動が終了した今、2023年ワールドカップ・フランス大会に向けて、新リーグへの期待と責任は大きい。

【ラグビー】トップリーグが2月20日に開幕、全75試合 新日程・方式を発表

【ラグビー】W杯「死のプールD」決定で代表メンバーが”決意表明” 姫野、流、松島らの反応は?

著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」(産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。


この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします