【ラグビー】熱戦相次ぐトップリーグ プレーオフの展望と見どころを占う

NTTドコモレッドハリケーンズの躍進を支えるTJ・ペレナラ(左、2021年4月10日)(C)Getty Images

ラグビートップリーグは11日に最終節が終了し、ホワイトカンファレンス、レッドカンファレンスそれぞれの順位が確定した。17日から、さっそくトーナメント制のプレーオフが始まる。熱戦が多かったリーグ戦の振り返りとプレーオフの展望を占ってみたい。

【画像】トップリーグ、プレーオフの組み合わせ・日程一覧

■パナソニック、神戸製鋼は実力伯仲

ホワイトカンファレンスの順位

ホワイトカンファレンスはパナソニック ワイルドナイツが首位、神戸製鋼コベルコスティーラーズが2位となったが、勝ち点差2という大激戦だった。パナソニックはリーグ最少失点、得点もリーグ首位の318と完璧な数字を残した。特に失点数76は16チーム唯一の100以下と、ディフェンスの強さを証明。また、反則47も飛び抜けて少なかった。

4日に行われたパナソニックと神戸製鋼の直接対決は強い雨が降るタフなコンディションとなり、両チームにハンドリングエラーが多発、13-13というロースコアの引き分けに終わった。できればいい状態で雌雄を決して欲しかったが、この2チームの実力が伯仲していることはよく分かった。

3位にはNTTドコモレッドハリケーンズが大躍進した。最終節の神戸製鋼戦は80分まで29-26とリードし、あわや大金星かという接戦を演じた。最後はロスタイムの逆転トライに屈したが、今年の飛躍を象徴する試合となった。ちなみに、昨年の神戸製鋼戦は0-97の大敗だった。

躍進の立役者はスクラムハーフのTJ・ペレナラだ。オールブラックスではアーロン・スミスの2番手というやや地味な役回りだったが、日本にきて爆発した。プレーの閃きもさることながら、生き生きとした姿が胸を打つ。こんなに楽しそうにラグビーをする選手は見たことがない。

■やはりスーパースターだったボーデン・バレット

レッドカンファレンスの順位

レッドカンファレンスは、サントリーサンゴリアスが勝ち点34(満点は35)と頭ひとつ抜け出した。しかし、トヨタ自動車ヴェルブリッツには39-36、クボタスピアーズには33-26といずれもノーサイド寸前までもつれる辛勝だった。その2試合で勝負を決める得点を上げたのが、スタンドオフのボーデン・バレットだった。やっぱり強い星の下に生まれたスーパースターだ、と実感させられた。

最終節に激突したトヨタ自動車とクボタの試合も期待に違わぬ好ゲームとなった。マルコム・マークスの2トライなどでクボタが24-18とリードしたロスタイム、トヨタ自動車がパスをつなぎウイングの高橋汰地がトライを決めて1点差に迫ると、ライオネル・クロニエが冷静にコンバージョンを通して劇的な逆転勝利を収めた。両チームがサントリーを追う拮抗した力を持つことを証明した試合だった。

両カンファレンスともに上位3位までのチームの充実が目立ったが、残念だったのは東芝ブレイブルーパスキヤノンイーグルスだろうか。東芝にはリーチ・マイケル、キヤノンには田村優田中史朗というレジェンドがいるが、ともにリーグ5位に甘んじた。

■神戸製鋼vsクボタ、ドコモvsトヨタ 準決勝2試合に注目

ノックダウン方式のトーナメント戦はホワイト、レッドの7、8位とトップチャレンジリーグの上位4チームの試合から始まる。そのなかでは、得点力がある豊田自動織機シャトルズの下克上に期待したい。

ドロー表を見ると、やはりサントリーとパナソニックは順当にベスト4に勝ち上がりそうだ。楽しみなのは準々決勝での対戦が予想される、神戸製鋼vsクボタと、NTTドコモvsトヨタ自動車の2試合。NTTドコモのアッカーマン・ヘッドコーチは「今期の目標は8位」と発言していたが、“TJ劇場”が炸裂すればベスト4も夢ではない。

もちろん、5月15、16日の準決勝2試合、5月23日の決勝は見逃せない。来シーズンから始まる新リーグ、2023年のワールドカップ・フランス大会を意識しながらじっくりと楽しみたい。

最後にレフェリングについて一言コメントしたい。試合を観ていて感じるのが、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル。ラグビーにおけるビデオ判定)の多さ。そして、判定が下るまでの時間が長さだ。多いときは、同じ映像を10回も再生していることがある。長い中断は観戦する側にとっては苦痛以外の何ものでもない。

もともとラグビーでは審判が下す判定は絶対だったはず。TMOはジャッジを助けるための道具であって、何がなんでも真実を見つけ出すことが目的ではない。欧州や南半球の審判は毅然とした態度で、TMOを確認の素材として利用している。判定に要する時間もわずかだ。一流のスター選手が来て盛り上がるトップリーグだが、選手だけでなくワールドクラスの審判を呼んでレフリングのお手本を見せてもらうことも必要だと感じた。

【ラグビー】新外国勢が躍動「台風の目」は…… トップリーグ前半戦を振り返る

【ラグビー】3部構成の新リーグ概要が発表 現行トップリーグからの変更点とは?

著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」(産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。


この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします