【プロ野球】阪神の勢いが衰えない要因は何なのか 打撃データ分析で見えてきた昨季からの“進化”

阪神・佐藤輝明 (C)共同

プロ野球のシーズンはまもなく折り返しを迎えるが、セ・リーグ阪神の独走が続いている。2位の巨人ヤクルトに6ゲーム差。優勝への目安が貯金20と言われる中、すでに貯金は21を数え、仮に今後5割で戦っても、十分に優勝できる貯金をすでに積み重ねている。

阪神がここまで好調な要因は何なのか。ここでは主に打撃面でのデータをもとに、考察してきたい(成績はすべて6月21日時点)。

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■開幕からほぼ固定のメンバー

阪神のチーム打率.254はリーグ1位で、.246でリーグ5位だった昨年から大きく飛躍している。

しかし、個人打撃成績でベスト10以内に入っているのは、9位に入っている中野拓夢(.290)のみ。一見、突出している選手がいないようにも思えるが、中野に加え、サンズ佐藤輝明マルテ近本光司大山悠輔梅野隆太郎の7人が規定打席に達しており、これはリーグ最多の人数だ。

2位のヤクルトは塩見泰隆中村悠平村上宗隆山田哲人の4人のみ、巨人に至っては、21位にランクしている岡本和真ただ一人で、阪神は新型コロナウイルスの影響や故障者が少なく、開幕からほぼ固定のメンバーで戦えている点が、他チームに比べて優位に働いているのだろう。

■機動力を駆使し、チャンスに強い打線

3割バッターこそいないものの、得点圏打率に目を向けると、リーグトップ.386の梅野を筆頭に、2位マルテ、4位サンズ、5位佐藤輝と、ベスト5に4人が3割越えでランクイン。チーム全体でも、昨年は.258だった得点圏打率が、今年はここまで.274と大きく向上しており、ここぞという場面でチャンスをものにできる打者が複数いることが、得点力アップにつながっている。

また、盗塁数59個も、2位の巨人・ヤクルトの39個を大きく引き離してリーグ1位。個人では中野が13個でリーグ2位、近本が12個でリーグ3位と、すでに2ケタの数字を2人がマーク。昨年は近本が31個で盗塁王に輝いたが、2ケタ以上は近本のみで、ルーキー中野の加入は機動力アップに大きく貢献している。

加えて、終盤の代走で、江越大賀熊谷敬宥(ともに5個)、植田海(4個)らが、足のスペシャリストとして貴重な働きを見せており、相手バッテリーに大きなプレッシャーを与えている。

■チームの弱点を佐藤輝明が埋める

ルーキー佐藤輝の活躍が目覚ましい。シーズン当初は2割前半だった打率も、現在は.283まで上がり、チーム3位の数字。18本塁打、46打点はともにリーグ3位、長打率とOPSは、ヤクルト村上に次ぐリーグ2位と、すでにセ・リーグを代表する長距離砲に成長した。

佐藤輝は、シーズン当初は6番ライト、大山が離脱した際は4番サードに入り、現在は主に5番を務めている。昨年、主に5・6番を務めたのはボーアで、ライトを守っていたのが糸井嘉男。長距離砲として期待されたボーアだったが、打率.243、17本塁打と十分な期待には応えられず一年で退団。ベテランの糸井も故障などの影響で衰えは隠せず、規定打席には到達できなかった。

二人の穴を埋めるべく、佐藤輝がこのポジションにはまったことで、“2人分”の働きをカバー。大山、サンズに頼りっ切りだった打線に、昨年はケガで離脱していたマルテも加わったことで、1・2番の機動力に、主軸の長打力、そして勝負強い梅野が下位に控える、切れ目のない重量打線が完成したのだ。

先発陣の防御率は2.91、リーグトップの21セーブをマークしているスアレスも防御率0.62で、9回は万全。イニング別で見ると、8回の失点数が多く、リリーフ陣の整備は今後の課題だが、リーグ随一の打線が安泰なら、これからも大きく取りこぼすことはないだろう。心配なのは故障者が出たとき。それでも、選手層の厚くなった今年の阪神なら、この快進撃は止まらないだろう。

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文・SPREAD編集部


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