今週は秋のマイル戦線へ向けた前哨戦、第69回スワンS(GII、芝1400m)が京都競馬場で行われる。
今年は、レース連覇を狙うオフトレイルをはじめ、ヴィクトリアマイル4着のエリカエクスプレス、NHKマイルC5着ダイヤモンドノットらが秋の大舞台を見据えて参戦。そのほか、芝1400m重賞3勝のウインマーベルや、愛知杯を制したアイサンサン、ダービー卿CT覇者スズハロームなど、重賞ウイナーが計12頭エントリーしており、どの馬からでも狙えそうな混戦模様だ。
そんな中、昨年の牝馬クラシック戦線を盛り上げたエリカエクスプレスが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■逃げ馬には厳しい一戦…初距離が裏目に出なければ良いが-
エリカエクスプレスはデビュー2連勝でフェアリーSを制すると、牝馬クラシック3冠を皆勤。秋華賞では勝ち馬からコンマ1秒差の2着と、GIタイトルにあと一歩及ばなかった。4歳の今年は3戦すべて4着と勝ち切れないレースが続いているが、ヴィクトリアマイルでは、自分でレースを作って、1分31秒4の好タイムをマークしており、そのスピード力はトップレベル。初めての芝1400m参戦で、その才能が開花するか、期待は大きい。
とはいえ、マイル路線やスプリント戦から臨戦してくる馬、そして、芝1400m巧者がターゲットとするスワンSで、初距離という点はいかにも分が悪い。過去10年のスワンSでも、勝ち馬10頭は、前走距離が芝1200~1600mの馬で占められており、前走芝1800mだった馬は【0.2.1.7】と勝ち切れない。これまで戦ってきた道中のペースとは、また異なるパターンも予想され、距離への対応力が大きなカギとなる。
その点は、エリカエクスプレスの戦法にも変化があるかどうか気にかかるところ。同馬は速い発馬からハナを奪って結果を残してきたが、過去10年のスワンSでは、前走逃げた馬の成績は【0.0.1.11】で、連対例がない。スワンS自体では、逃げた馬は【1.0.2.7】の成績で、2020年カツジが優勝しているが、11番人気の伏兵だった。
18年3番人気レーヌミノルや、昨年の1番人気ワールズエンドなど、人気を背負ってマークされる立場にある逃げ馬は、ことごとく掲示板を外しており、簡単には逃がしてくれない。エリカエクスプレスは、いつものように逃げを選択すれば、捉えられる可能性は高く、番手に控えて、その持ち味を発揮できるかどうか。いずれにしても、戦い方は難しい。
■血統や鞍上実績……さらに重なる不安材料
血統面では、父エピファネイア産駒は、マイルから長距離まで、多くの結果を残しているが、芝1400mでは重賞で【2.2.2.19】と、まだまだ活躍馬は少ない。勝った2頭は3歳世代限定重賞で、古馬混合重賞は未勝利。クラスを問わず、京都芝1400mでは【3.3.6.70】の成績で、同距離が施行される5つの競馬場のうち、勝率、連対率、複勝率はすべてワーストと相性は良くない。このあたりも、エリカエクスプレスにとっては減点材料だ。
鞍上武豊で期待値の大きいエリカエクスプレスだが、3戦目以降勝ち星からは見放されており、武豊に替わってからは未勝利と、結果が出ていない点も気にかかる材料。加えて、初距離への対応やレースでの戦法、血統面など、人気ほどの信頼度は乏しく、妙味を考慮すると、少なくとも「頭」勝負は避け、場合によっては「消し」でいってみたい。
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■著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。













