■的を得た愛あるジャッジ…TAKAHIRO氏の名解説もハイライト
dip BATTLES(C)D.LEAGUE 21-22
他チームも、三味線の音に合わせて踊り、昔から忍者がこんなアクロバティックな踊りを踊っていたのでは?と思わせてしまうクールな和の世界観で会場を沸かせたdip BATTLES。高速でヘッドスピンをしながら頭でジャンプするという超人技を見せたRYOSPINと、音にぴったり合わせ床で回り続けるベビーウィンドミルを繰り出したISSEIを有するポジティブエナジーと運動量が尋常でなかったKOSE 8ROCKS。妖艶さと共に、内に強く秘めたるパワーや哀しみを情緒たっぷりに届けるBenefit one MONOLIZ。華があり、“ダンサーの格好良さ”と自分たちの魅せ方を熟知していると感じさせる現在総合1位で王者の風格漂うSEGA SAMMY LUX等々。本当にすべてのチームがダンスの上手さやスキルに留まらず、それぞれの持つ個性にまで磨きがかかり、ラウンドを経て彼らの輝きはいっそう増すばかりだ。
最後に、印象に残ったこととして、今ラウンドでゲストエンターテイナージャッジを務めた、輝かしい経歴を持つダンサー&振付家であり、大学で教鞭をとる教育者としての一面もあるTAKAHIRO氏の解説が素晴らしかったことに触れておきたい。MONOLIZを「美しい、悲しい、儚い、などの形容詞がたくさん出てくる踊り」、RAISERZを「めちゃくちゃ恰好いい! 負けて泣き、勝って泣くダンス」というように、それぞれの踊りのエッセンスを的確にとらえた言葉と共に、しっかりとジャッジの根拠となる解説を届けてくれた。出来ることなら、すべてのチームについて語られた彼の言葉を聞いてみたかった。
ゲストエンターテイナージャッジを務めたTAKAHIRO氏(C)D.LEAGUE 21-22
ダンスは見て感じて、心を動かすものではあるが、そこに的を得た愛ある言葉が紡がれた時に、より深く人々の胸に残るものとなるだろう。今回、TAKAHIRO氏の解説を聞きながら、Dリーグへの理解や、Dリーグ自体の可能性がさらに広がると感じたファンも多かったのではないだろうか? ぜひ今後のDリーグ興隆のためにもTAKAHIRO氏もレギュラージャッジとして迎えて欲しいものである。
感動冷めやらぬまま、ラウンド6も待ったなしで約2週間後の1月27日にやってくる。躍進遂げるDリーグが次回はどのような感動と驚きを届けてくれるのか、さらなる期待に胸を膨らませて待ちたい。
◆THE GREAT HEART of“8ROCKS” ブレイキン世界一のISSEI率いる熱き魂
◆日本中の「ダンサー」に幸せをもたらすDリーグ 魂までが踊りだす喜びがここにある
◆″ダンスの救世主″カリスマカンタローかく語りき ダンサーの本質的な幸せと権利
著者プロフィール
Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。