″ダンスの救世主″カリスマカンタローかく語りき  後編 ダンサーの本質的な幸せと権利

(C)D.LEAGUE 20-21

「僕は、ダンサーがより良く幸せになれたらと考えているんですが、ダンサーが自身のダンスで自分の表現を認めてもらい、個々の承認欲求が満たされ、かつファンが増えていくことが、自然の流れになることが、とても大切なのではないかと思います。コンテストやバトルでただ勝ちたいというのはSNSのイイネとも似ていて、脳内で一瞬炸裂する快感を味わいたいのかもしれませんが、それがその後の自分のライフスタイルや人生にどう影響を及ぼすのかってことですね。幸せに基準はありませんが、もっと本質的なところでダンサーが幸せになることはどういうことかと日々考えています」。

「いま取り組んでいる音楽の問題もそうで、ダンス動画は音楽のシンクロ権が問題なので、それを開放することによって、音楽とダンス動画が合体出来て、海外にも発信できる。それが自分達のものになるという挑戦です。でも、これもまだ「すごいですね」って概念があっても、皆の合点がいっていない。この理解が深まると、『あ、ダンサーが権利を持てるって意味はこういうことなんだな』と分かってくれるかなと思っています」。

あらためて、ダンサーが幸せになるということを、ここまで真剣に考えて実行してくれる人は、これまでいなかったけれど、とうとう出現した!と筆者は全ての現役ダンサーに向けて、祝福を贈りたい気持ちになってくる。

「あとは、これからDリーグの子たちへの注目が増すにつれて、ポジティブな応援だけでなく、あそこをミスった、ここが嫌い等、ネガティブな反応も出てくると思うんですが、それに一喜一憂しているようじゃプロじゃない。そういう反応さえも人気の内、という捉え方も浸透させたいですね。そして、ダンスという分野だけでなく、情勢を知り、色々なものを見て勉強することで、それをダンスに持ち帰って踊りを深めてほしい。まあでも、現役のダンサーの子たちに、「色々勉強してから踊って」なんて言っても、みんな勉強したいとも思ってないし、「上から目線でなんかウザいこと言ってるよ」と思われているだけかもしれませんけど(笑)」。

■FIDA(日本国際ダンス連盟)の設立、そしてD.LEAGUEのセカンドシーズンへ

「圧倒的にこうなるだろうって、自分が頭の中で見たビジョンを信頼しきっているんです。その景色にならないって思ったことがないです。今までも、絶対そうなると思っていると、勝手に色んな人と出会って、勝手にそうなって動いていくので。そういう意味で言うと、これが自分のものって感覚もないです。自分のビジョンですけど、そのビジョンは自分の幸せだけを考えているものでは一切ないので。『こういう世界が創られたら、世界中が熱狂するし、ヤバいことになる』って像を、ずっと想像しているだけなんですよ。Dリーグを、創りはしましたけど、これは、Jリーグやラ・リーガ、NBAやNFLみたいなものになると思っているし。だから、ここまで来たのも、メンタルや意思の強さで推し進めたと言うよりは、『絶対にこのビジョンをやり遂げて死のう』って決めているだけですね。そこは自信があるんです」。

不思議な感覚。それこそ、量子力学の波動の法則通りに、神田さんのバイブレーションがビシバシと伝わってきて、彼の見たビジョンが自分にまで投影されて見えてくる気さえしてくる。人を動かす力というのは、こういうことなのだろう。

「これも例えですけど、もしもマイアミに広大な土地をもっていたとしたら、自分も住むけれど、広大すぎるから、『皆も住んでよ』ってなると思うんですよ。もともとは自分の土地だけど、気にしなくなるというか。それが小さかったり中途半端な広さだと自分の物だと専有性にこだわることになるんだと思うんですね。そんな感覚で、Dリーグがどれだけ広がっても、ダンスアライブがどれだけ大きくなっても、自分のモノ感はあんまりない。その場でみんなが遊べて、結果、それで財を成しても、その財でまた新しいものを作って、それを贈り返している感じです。皆、自分の好きなダンスで食べていきたいのに食べていけないから、自然と食べていける環境を整えたい、というのもそうですね」。

話を聞いていたら、一つのイメージが筆者の頭をすり抜けた。そういえば、神田さんの風貌は、ミュージカルだったら「ジーザスクライスト」のキャスティングなども嵌まるかもしれない。そう〝救世主“だ。インタビュー中、心の中でこっそり膝を打つ。

「今回、東京オリンピックのスケボー種目で、堀米悠斗選手が金メダルを取りましたけど、オリンピックの後はLAに行って、アメリカのストリートリーグに参戦するそうです。国内には彼の受け皿がなかったんですよ。でもブレイキンが正式種目となる2024年のパリ・オリンピックで、ISSEIShigekixTSUKKIなのか、女子もいっぱいいますけど、誰かがメダルを取ってきたら、その先にはDリーグがある。彼らの受け皿にもなれると思っています。そうなれば、オリンピックのメダリストだからこそ、年棒5千万、1億円って世界が実現するかもしれないし、Dリーグがオリンピックとどう関わるかだけではなくて、次の3年後のオリンピックに向けて選手をサポートする場として存在するってことも、必ず良い結果につながっていくと思っています」。


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