6日、コロナ禍にあっても変わらず満開の時を迎えた桜が美しく散り始めたこの日、D.LEAGUE(Dリーグ)セカンドシーズンのラウンド10が開催された。花曇りではあったが、“マンボウ”明けの春休み、有明ガーデンシアターにはこれまでになく沢山のダンスファンが詰めかけ、以前よりもリラックスした高揚したムードが会場を覆っていた。
いまだ声援NGのルール下ではあるが、声援する気持ちを拍手に替えて選手に届けんとする観衆の熱気を心地よく感じる中で、今ラウンドもさらにパワーアップした珠玉の11ナンバーが各チームから贈られた。
◆【実際の演技】念願のシーズン初優勝をしたavex ROYALBRATSの「達者」な表現力のダンス
■ユーモアとエネルギーが盛り込まれた演出
このラウンド10で、優勝争いにくい込む一つの指標となる、ジャッジポイント70点以上を叩き出したのは、KOSE 8 ROCKS(73点)、avex ROYALBRATS(73点)、SEGA SAMMY LUX(74点)の3チーム。ここに、Dリーグ独特の追加得点であるオーディエンスポイントが加算された結果、今ラウンドは、ファーストシーズンの総合優勝チームでありながらダンサーの総入れ替えをして今シーズンに臨んでいる“新生avex ROYALBRATS”が、念願のシーズン初優勝を飾った。
ROYALBRATSのダンスの良さを一言で述べるとしたら、それは、観る者を愉しませる、そのプレゼンテーションの巧みさと言えるだろう。今回のナンバーも、「上手い」というよりは「達者」と言った方がしっくりとくる表現力の素晴らしさが印象に残る作品が披露された。よくある日常の一コマをダンス・パフォーマンスに落とし込んで昇華し、わずか2分15秒のナンバーがひとつの劇を見ているような物語性たっぷりの作品となっていた。観客は間違いなくそのストーリーに驚き、楽しみながら、彼らのダンスを堪能したことだろう。

念願のシーズン初優勝をしたavex ROYALBRATS (C)D.LEAGUE 21-22
Dリーグでは、毎回演技が始まる前に、チームメンバー1人1人のお披露目をしながらダンサーが舞台に登場し、また、そのナンバーのテーマ(題目)を言葉で紹介する映像が流れるのだが、今回ROYALBRATSの映像から、明確なテーマの発表はなく、「家で楽しい会食があってみんな寝不足~」と状況の説明だけが投げかけられ、メンバー全員が会食で飲んだ後、エプロンをしたまま家で寝てしまったらしいという設定で、そのまま舞台に彼らが寝転がった態勢から演技が始まった。
そこに、けたたましく電話が鳴り、慌てて起き出すというシーンからダンスに入ってゆくのだが、全員が地味な色のトレーナーとスラックスに、濃いピンクのエプロン姿という今回の彼らの“衣装”を見た時、私の頭の中には真っ先に「踊るにはあきらかに邪魔」と思われるエプロンをどうやってパフォーマンス内で処理していくのだろう、という興味とも心配ともいえる疑問が渦を巻いていた。
しかしまさに、そのエプロンが、見事に彼らのステップを際立たせる、“目から鱗”の小道具として活用されたのだ。その演出には、ユーモアと、彼らの持ち味である観る者を笑顔にさせるエネルギーがふんだんに盛り込まれていた。