【スーパーフォーミュラ】ダブルヘッダーの開幕2戦、もっとも躍動したのは前年チャンピオンの野尻智紀

ダブルヘッダーの開幕第2戦を制した野尻智紀(C)JRP

国内最高峰らしい、しびれるような戦いが繰り広げられた開幕戦の余韻が残る翌日、もう第2戦が観られるというのは昨季までにはなかった喜びだ。ひとつ懸念したのが、わずか1日違いでコンディションが大きく変わることは考え難く、開幕戦と勢力図をそう変えずに展開するのではないかということだった。

しかし朝、サーキットに到着し、どうやらそうではなさそうな予感がした。天が施した演出なのか気温は前日よりもかなり高くなり、前日ドライバーたちを悩ませた強い風も影を潜めていた。各チームはこの変化に適応するために、ぶっつけ本番でマシンをアジャストしなければならない。そうでなくとも、これは後で聞いた話だが多くのチームが前日のデータをもとに戦力をより高めるべくセッティングを変更していた。確かにダブルヘッダーの開幕戦を両方とも落とし大きく出遅れてしまえば挽回は難しくなる。逆に開幕戦で多くのポイントを獲得したチームは第2戦でさらにポイントを獲って抜け出したい。勝負に出ようと考えるのはどちらも同じだ。

初戦を2位で終え、この日は予選でポールを獲得した野尻智紀(TEAM MUGEN)もセッティングを大きく変えており、決勝前に「吉と出るか、凶と出るか、走ってみなければ分からない」とコメントしていた。開幕戦とは違った勢力図のレースとなる要素は十分だ。

しかし実際に第2戦のレースで優勝争いをしたのは開幕戦と同じ2人だった。

◆ 2022年、新規ダブルヘッダー開幕戦は野尻智紀 vs 平川亮の熾烈バトルから

■野尻はトップを快走

3番グリッド笹原右京(TEAM MUGEN)がスタートで2日連続エンジンストールしオープニングラップで上位は結構混乱したが、野尻は落ち着いてトップを守った。一方、前日優勝の平川亮(TEAM IMPUL)は8番グリッドからスタートダッシュで3位か4位あたりまでジャンプアップしたものの、その後はポジショニングが悪く、ペースの遅い中団グループからなかなか抜け出せなかった。

平川が来ないのであればもう、優勝は野尻で決まりだろう。

後続との距離をしっかりコントロールしながらトップを快走する姿を見ると“吉か凶か“は“吉”の方だと思えた。ところがその野尻に21台全てがピットインを終えた25周目、約1秒差で迫ったのは平川。野尻の4周前にピットインした平川はTEAM IMPULの迅速なタイヤ交換作業とアウトアップ後数周のプッシュで、一気に追いついたのだった。だからといって、決してがっかりしたわけではない。昨日の好バトルがもう一度観られるかもという、どちらかといえば歓喜の方だ。

結局バトルまで発展することはなく、第2戦は野尻が余裕で逃げ切った。セッティング変更がうまく行ったこともあるが、開幕戦は中団ポジションから一気に逆転優勝を目指した戦略と走り、今日はトップを守るための戦略と走り、実力トップの王者であればこそ後者は容易だ。野尻は予選ポールのポイント加算もあり、ここでランキングトップに。2位の平川とは2ポイント差も3位には19ポイント差と大きくリードし、2連覇への第一歩をかなり順調に踏み出した。これこそが開幕ダブルヘッダーの妙。野尻がもし今季2連覇を達成できたとすれば、この開幕2戦がポイントだった、ということになる可能性は高い。

なお私が開幕戦で注目したTEAM GOHの2人のルーキードライバーには、2戦目も大いに注目させられることになった。今回は三宅淳詞が主役で、予選Q1では前日の佐藤蓮に続きトップタイム。Q2ではふるわずグリッドは9番目になったが、決勝では平川をオーバーテイクするなどのアグレッシブさ、そして冷静なところも見せ5位でフィニッシュ。わずか1日で大きく成長したように思えた。第3戦以降も台風の目として、上位をかきまわし続けてほしい。

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◆【著者プロフィール】前田利幸 記事一覧

著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター
2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。


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