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【Bリーグ】開幕節で涙を流した男・三遠ネオフェニックス牛尾信介代表取締役社長、その理由とは…

 

【Bリーグ】開幕節で涙を流した男・三遠ネオフェニックス牛尾信介代表取締役社長、その理由とは…
三遠ネオフェニックスを率いる株式会社フェニックスの牛尾信介代表取締役社長 提供:三遠ネオフェニックス

三遠ネオフェニックスBリーグ2022-23シーズンの開幕を静岡県浜松市で迎えた。

浜松アリーナで1日、2日に開催された川崎ブレイブサンダースとの開幕節。会場を眺めながら1人の男が涙を流していた。三遠ネオフェニックス(株式会社フェニックス)の牛尾信介代表取締役社長だ。

昨シーズンの10勝48敗という成績と向き合った時、牛尾は「何よりも勝たなければいけない」という思いを強くした。そのためにコーチ陣も選手たちも入れ替えが図られ、チームは大きく変革の時を迎えた。

◆【インタビュー】ジェッツを常勝軍団へと導いた大野篤史HCが新たに就任した三遠ネオフェニックスで築き上げるバスケとは……

■大野HCを選定で変革が加速

この大変革への着手により「カットマン」とまで揶揄された。

改革には痛みが伴う。オフシーズンに入ると選手やスタッフとの契約更新、移籍情報などが飛び交った。残ったのは、サーディ・ラベナ、太田敦也、山内盛久、半澤凌太の4選手だけ。スタッフ陣も大きく入れ替わった。しかし、いきなりの大きな変化をすんなりファンが受け入れられないことも頷ける。牛尾の耳にも「カットマン」という言葉が届いていたが、心を鬼にし断行した。

まずコーチの選定から。候補は5人。日本人ヘッドコーチが3人、アメリカとヨーロッパのコーチは2人の名が挙がっていた。その1人が今シーズンから就任した大野篤史ヘッドコーチだった。牛尾は2017年に株式会社千葉ジェッツふなばしに入社し、共に戦った間柄だ。

人物像、実績、ディフェンス、オフェンス、リクルート。以上の5つの項目で比較した。そして「その人物の言葉を信じられるかどうか」が重要だった。千葉Jで大野は圧倒的な信頼を仲間から得て常勝チームへと押し上げ、2020-21シーズンにはリーグ優勝、さらに17、18、19年と天皇杯3連覇を成し遂げた。千葉Jは年々ファンが増え地域に根付いたクラブへと成長していた。その礎を築いたのは間違いなく大野だった。すべての判断基準を数値化し比較。信頼度は桁違い、牛尾は大野にしか託せなかった。

そして「大野が動く」そんな噂が業界に流れた。

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「決して優しいコーチではない」と自らを表現するだけに試合中に激を飛ばす大野ヘッドコーチ 提供:三遠ネオフェニックス

すると「三遠に来たい」という選手も現れるようになった。その1人がスモールフォワード金丸晃輔だった。それまで牛尾の交渉リストに金丸の名はなかった。だが「三遠に来たいというメンバーで戦いたい」というヘッドコーチの言葉がきっかけだった。今シーズンは「三遠ネオフェニックスに来たい!」という思いを伝えてくれた選手にこだわった。

■「非難は自分にだけに向けて、改善するので見守ってほしい」

リスタートを切ったチーム。まずは「ファンに認めてもらうチームになること」が必要だった。

開幕戦、なんとしても勝利を収めたかったが、残念ながら結果は連敗。GAME1を85-87と接戦を落とし、GAME2も競った展開になり終盤、ラベナのスリーポイントが見事に決まりオーバータイムへと持ち込んだ。会場のボルテージも一気に高まっていた。しかし相手の川崎はBリーグ誕生から毎シーズン必ずチャンピオンシップに出場する強豪。試合巧者だった。オーバータイム、川崎の篠山竜青に7得点を許し、84-88とこれも惜しくも敗戦となった。

大野は試合後の会見で「勝たせてあげたかった」と悔やんだ。若い選手も多い。経験と自信をつけてあげることが必要だ。試合のクロージング、勝ち切るところに差が表れ、川崎の経験がこの開幕節は上回った。

牛尾も大野も勝つだけでなく「チャンピオンシップ、優勝を目指している」と語る。だが、決して前評判は高くなかった。大方の予想では「いきなりチームが良くなることはない」と一蹴された。しかし、開幕から2戦で明らかになったのは、たった2カ月の間にディフェンスの質、個々のプレーの質ともに明らかに高まっているということだ。今シーズン、どれほど成長するのか期待がもたげて来た。
 
勝つことはできなかった。それでもGAME1では4067人、GAME2では4580人の観客が詰めかけた。勝てずとも「戦う姿勢は見せられた」と思う。牛尾は「40歳を越えて泣くのはなかなか。でもそれだけチームが追い込んできたのを知っている。だからこそGAME2でも4500人を超える人が来てくれたと思う」と悔しさをまた滲ませていた。

この開幕戦を観戦したファンはまたアリーナに戻って来ることだろう。チームだけでなくファンを迎え入れるクラブの社員も共に成長が必要だ。「育てていかなければいけない。非難は自分にだけ向けてほしい。いろいろな面を改善させていくので見守ってほしい」とファンへメッセージを送っていた。

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