■北米4大スポーツで最も国際化進まないNFL
北米の4大スポーツリーグ(メジャーリーグ、NBA、NHL、NFL)の中でNFLが最も国際化が進んでいない。それでも現在は、NFLインターナショナル・プレーヤーズ・パスウェイ・プログラム(IPP)という非北米出身の選手発掘の動きを始めており、オーストラリア出身でラグビーリーグ(13人制ラグビー)の選手だったジョーダン・マイラタ(フィラデルフィア・イーグルス)やドイツ出身のヤコブ・ジョンソン(ラスベガス・レイダース)といった選手がNFLで活躍している。
2021年の同プログラムには、チリ出身のサミス・レイエスという選手が参加し、同年、ワシントン・フットボールチーム(現ワシントン・コマンダーズ)で同国初のNFL選手となった。身長196cmでアメフトではTEやスペシャルチームでプレーするレイエスは、元々はバスケットボール選手で、同国のバスケットボール代表として2019年のFIBAワールドカップ南米予選にも出場しているほどの力量の持ち主だ。
レイエスと同じ21年にIPPプログラムを経て、攻撃ラインマンとしてロサンゼルス・ラムズでプレシーズンゲームに出場したイタリア人のマキリミリアン・パーチャーはハンドボールのバックグラウンドがあるということで、こちらも面白い。
マイラタやレイエスのような、アメフトの経験がないながらIPPを通じてアメフトでの才能を開花させる例は今後、あるいは増えていくのではないか。Xリーグによると、10月にロンドンで開催されたIPP入りを目指す選手たちが集ったインターナショナルコンバインには13カ国から計44名の参加者がいて(Xリーグ・富士通フロンティアーズWRの松井理己も加わった)、うち13名がクロスオーバーアスリート、つまりアメフト未経験者だったという。

21年CFLジャパンコンバインでのRB李卓。同年のNFL IPPプログラムの候補生にも選出された 撮影:永塚和志
■プロリーグがない日本の環境
日本で他競技からだと野球経験者がアメフトに転向する例が多いように感じられる。アメフトにはボールを投げる、捕る、走る、タックルする、キックをする、といった体格や適正によって多岐のポジションがあるが、筆者個人としては、バスケットボールからの転向者がもっといてもいいのではないかと感じている。
バスケットボールでは体躯と俊敏性の兼備、速いパスを捕球すること、瞬時の判断力、リバウンド時に体をぶつけながら優位な位置取りをするボックスアウトといったアスリートとしての総合的な能力が養われる。これらがアメフトにおいても生きると感じるからだ。
NFLでも、元選手のアントニオ・ゲイツはケント州大時代、全米大学バスケットボール王座決定大会のNCAAトーナメントに出場するほどの力量を持っていた。ゲイツは大学でフットボールはまったくプレーしていないにも関わらずNFL入りを果たし、サンディエゴ・チャージャーズ(現ロサンゼルス・チャージャーズ)タイトエンド(TE)として歴代1位の116タッチダウンを挙げた名選手となった。
トニー・ゴンザレス(元カンザスシティ・チーフス等、TE)やジュリアス・ペパーズ(元カロライナ・パンサーズ等、ディフェンシブエンド)などもNCAAトーナメント出場経験のあるNFL選手だが、こうした例は他にも多い。
しかしながら、冒頭でも述べたように、競技人口が少なくプロリーグがない日本の環境で、NFL入りができそうな選手が自然発生的に出てくる確率は少ないと言わざるを得ない。今回実施されたクロスオーバー測定会は、従来ならば高校で競技生活を終えていた他競技の選手たちに、アメフトに来ることで大学以降もプレーを続けてもらうという意図がある一方で、IPPプログラムを通してNFLを目指せるような選手を輩出する道筋を示す目的もあると言える。
「NFLに挑戦しようとする場合、通常(アメリカの選手だと)ならカレッジからNFLへということになりますが、日本の大学の環境とはかなりの差があるということもあるので、であれば優れたアスリートに対してXリーグが練習や試合に参加できるような環境を作ることで(選手たちが)NFL、に挑戦することができればと考えております」











