「湘南美容クリニック presents RIZIN.40／RIZIN vs. Bellator 全面対抗戦」が31日、さいたまスーパーアリーナで行われる。
今年はベラトールとRIZINのトップファイターが対決、RIZINからはライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザやフェザー級王者クレベル・コイケらが出場予定。ベラトールからはデビューから18連勝無敗のフェザー級王者AJ・マッキー、パウンド・フォー・パウンド1位のパトリシオ・ピットブル、RIZINとベラトールの日米2冠・堀口恭司らが参戦する。
ここでは「RIZIN vs. Bellator 全面対抗戦」」大将戦として組まれたメインマッチ「ホベルト・サトシ・ソウザ vs. AJ.マッキー」の試合を展望、勝敗のゆくえを予想する。
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■1ラウンド“秒殺”の実績を持つ両者
サトシはこれまで15戦14勝1敗、うちKO／TKO勝ちは4回、一本勝ち10回。ボンサイ柔術をバックボーンとしたグラウンドの攻防はRIZINの中でもトップの実力を誇り、これまで一本勝ちを記録した10試合は平均2分45秒で決着している。このデータから寝技の攻防に持っていく技術と、組みついたら逃さず極める力があることがうかがえる。
サトシのフィニッシュ力を象徴的する一戦は、2021年6月のトフィック・ムサエフ戦。ムサエフはサトシに唯一土をつけたジョニー・ケース、後にBellatorライト級王者となるパトリッキー・フレイレに勝利したこともある強豪だ。そのムサエフから開始早々にテイクダウンを奪い、下からの三角絞めを極め、わずか1分12秒で沈めてみせた。
対するAJ・マッキーは20戦19勝1敗、KO／TKO勝ち6回、一本勝ち7回、判定勝ち6回。打撃、寝技ともに優れたファイターであり、デビュー戦から18連勝を記録してBellatorフェザー級の王座に戴冠した。現在はライト級に階級を上げており、サトシとの対戦はライト級2戦目となる。
マッキーはこれまでの実績が示すとおり、隙がないファイターではあるものの、ここ最近は判定までもつれる試合展開が多い。なかでもライト級初戦となったスパイク・カーライル戦では、終始優位に試合を進めるも、フィニッシュに持ち込めず判定決着となった。階級が上がればそれだけパワーや耐久力が必要となってくることを考えると、まだライト級に馴染めていないことも想像できる。
■被弾を覚悟でテイクダウンを奪えるか
両者の実績を踏まえると、打撃ではマッキーに分があるが、寝技ではソウザが優勢。
しかし、マッキーはライト級の打撃に適応しきれていない可能性、主戦場としている八角形のケージ（金網）から四角形のリング（ロープ）へ替わる点、ベラトールのラウンド毎に採点する「ラウンドマスト」とRIZINの総合評価で異なる判定基準の違いなど、対応しなければならない「課題」は多い。
サトシは試合を経験していくうちに打撃面でも向上が見られ、最近ではリングで拳を交えたケースと共にトレーニングをしていることもあり、レスリングをベースとする米国ファイターへの対策という点から見ても、優位であることは間違いない。また、サトシのテイクダウンが決まれば、マッキーとしても容易には抜け出せない。専門分野である寝技に持ち込めば、技の多彩さや展開の速さで一本を勝ち取ることも可能だ。
サトシにもタックルのスピードや3ラウンドをフルで戦ったことがないという懸念点はある。また、マッキーには会見で宣言しているサッカーボールキックをはじめ、テイクダウンを阻止する打撃の準備がある。勝敗のゆくえは、サトシが被弾を覚悟でテイクダウンを奪いにいくか、で決まる。
試合前インタビューで「ジャッジを待つような試合にはならない」と語ったサトシには、RIZIN総大将としての「覚悟」があると見た。寝技にさえ持ち込めば、サトシの“ジャイキリ”は成立する。これまで数々の下馬評を覆してきた柔術界の至宝が、大晦日のさいたまスーパーアリーナで勝利の雄叫びを上げる。
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文●塚本元気（SPREAD編集部）
