米ツアー第3戦「ザ・アメリカンエキスプレス」が18日(日本時間19日)、カリフォルニア州PGAウェストのラ・キンタ・カントリークラブ、ピート・ダイ・スタジアムコース、ニクラウス・トーナメントコースで開催される。出場する日本人選手は蟬川泰果と久常涼の2名。
蟬川と久常は先週のソニーオープンにも出場し、ともに30位タイ。まずまずの順位で終えた。
蟬川は3日終了時点で首位と3打差の4位タイにつけて優勝争いに加わり、今年の更なる飛躍の気配を漂わせた。昨年のザ・アメリカンエキスプレスは5打足りず予選落ちとなったが、今年、その悔しさを晴らしたい。
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■蟬川泰果、ソニーオープンSGオフザティー2位
最終日、優勝を争える位置でスタートしたのは2022年大会チャンピオンの松山英樹ではなく、松山と同じ黄色いウェアの蟬川だった。
2番ホールで3メートルほどのパットを3パットしてダブルボギーを叩き自滅したものの、大会を通してティーショットが安定。
4日間トータルのドライビングディスタンスが314.70ヤードで9位、フェアウェイキープ率が62.50%で30位タイ、ともにツアー平均を上回り、SG(ストロークゲインド):オフザティーは4.575で2位。昨季の日本ツアーでのトータルドライビング6位の力を発揮した。
「緊張した」と語った最終日もSG:オフザティーは1.295で6位と、ティーショットの精度は落とさなかったものの、2打目以降のプレーの部分で緊張が悪い方に表れた。
SG:アプローチトゥグリーンは-2.020で77位、SG:アラウンドザグリーンは-0.717で65位、SG:パッティングは-2.657で75位と、2打目以降のSG指標がすべてマイナスだった。
緊張を良い方向に作用させられるようになるためには、優勝争いの場数の問題もあるのかもしれないが、それ以上に、アメリカ特有の芝質への対応力を含めた、ドライバーショット以外の技術力の底上げが必要。
パー4やパー5の2打目、パー3のティーショットを打った後の、カップまでの平均残り距離を示すプロキシミティトゥホールは41フィート1インチ(※)。
今季現時点のツアー平均は37フィート5インチ。3フィート6インチ(約1メートル7センチ)差を無くし、ツアー平均以上の記録を出せれば、より好スコアに期待できるだろう。
(※)1フィート:30.48センチ、1インチ:2.54センチ
■久常涼、ソニーオープンSGパッティング5位
久常の米ツアールーキーイヤー初戦はパットがさえた。
初日のSG:パッティングは0.909で45位だったが、2日目は2.842で10位、3日目は1.502で18位、最終日は1.697で15位。4日間トータルでは、6.950で5位だった。
また、3パットが3回あったものの、72ホール中32ホールで1パットだった。1パット率の44.44%は今季ツアー平均の37.13%を大きく上回っている。この調子をできるだけ長く続けたいところだ。
心配なのは得意のドライバーショット。SG:オフザティーは初日が0.406で63位、2日目が-1.621で136位、3日目が0.143で45位、最終日が-0.808で57位。4日間トータルでは、-1.880で69位だった。
フェアウェイキープ率が51.79%。今季のツアー平均は57.47%。この5.68%の差を埋め、今のパットの調子があれば上位進出の可能性が上がるだろう。
■難コース攻略なるか
PGAウェストコースは難コース。鬼才ピート・ダイ設計のピート・ダイ・スタジアムコースは「世界で一番難しくしてほしい」という要望に沿う形で造られた。
だが、完成したコースでプレーした選手が「難しすぎる」という声を上げ、長期に渡り大会での使用が禁止されていた。
そのようなコースと、蟬川と久常はどう対峙するのだろうか。
今大会にはスコッティ・シェフラー、ザンダー・シャウフェレ、パトリック・カントレーも出場する。この、現時点での世界ランキング1位、5位、6位の選手はソニーオープンには出場していなかった。
コースだけでなく出場する面々にも手強さが加わるが、日本の次世代を担う23歳と21歳の勢いと日欧で培った経験が、どれだけ通用するか注目だ。
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野洲明(やす・あきら)
ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。