日本でドジャースと開幕戦を行うことで、例年以上に国内でも注目を集めているカブス。
昨シーズンはチームのエースとして奮闘、サイ・ヤング賞5位の好成績を収めた今永昇太投手が開幕戦で登板することが濃厚だが、もう一人の日本人選手である鈴木誠也外野手のチームでの立ち位置が昨年とは少し異なることになりそうだ。
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■鈴木誠也の守備はなぜ評価が高まらない?
昨シーズンは右翼手として72試合、左翼手として1試合に出場したものの、指名打者としての起用も多かった鈴木。今季はアストロズからカイル・タッカー外野手が加入したことも影響し、指名打者専門での出場を想定していることを監督が示唆している。
この決断の背景には、鈴木に対する守備面での不安もあるとされている。しかしながら、鈴木といえば日本でゴールデングラブ賞5回を誇る守備の名手としても知られていたはずだ。一体、鈴木の守備に何が起きているのか? データとともに紐解いていこう。
まず、MLB公式データサイト『Baseball savant』が掲載しているデータによると、守備指標であるFielding Run Valueの数値は「-2」と平均以下になっている。一方で、Arm Value「1」、Arm Strength「89.4」と肩の強さは平均以上の数値であるため、課題は守備範囲やスピードにあると考えられる。
実際にRange(OAA)は「-3」と平均以下の数値となっている。外野手のOAA算出にあたっては、やはり移動距離やスピード、方向の正確性が評価になってくるので、鈴木の場合は「肩は良いものの、守備範囲や正確性に問題がある」と言い換えられるだろう。また、米データサイト『Fangraphs』が算出したデータによると守備指標の1つであるUZRは「2.2」となっている。
■新加入タッカーと指標を比較
一方、今季から加入のタッカーの数値をみてみよう。Fielding Run Valueの数値は「1」と平均よりやや上ではあるが、Arm Value「0」、Arm Strength「85.3」は鈴木より少し下。Range(OAA)は「1」と鈴木より上ではあるものの平均レベルといえるだろう。
しかしながらUZRは「4.2」と鈴木を上回っているため、タッカーを右翼手に置いた方が失点を防ぐ上では有効的と首脳陣は考えているのだろう。また、昨シーズンは怪我でフルシーズン出場していないためサンプル数が異なり単純計算はできないが、鈴木は失策3に対してタッカーは0。さらに鈴木は先日のレンジャースとのオープン戦でも1失策をしており、数値の面よりも印象として「守備が上手くない」と思われている部分もあるだろう。
打撃面では昨年チームNo.1の成績を収めた鈴木がフルタイムのDHとして昨年以上の成績を残すことを期待されているかもしれないが、守備につくことでリズムを整える選手も少なくはない。コディ・ベリンジャー外野手を放出したもののタッカー獲得で、正右翼手の座を奪還できるか難しい状況になっている鈴木。今後のオープン戦での起用にも注目が集まる。
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